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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
9章 新訳・学園編
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失われた世界の隅でトチ狂った事を叫ぶ聖女CHU–KO

燃えたのだ。


萌えではない、萌えたのだ。いや、燃えたのだ。いや、青春駆け抜けたわけではない。燃え上がったのだ。いや、機◯戦士でもない。


それは深夜の事だった。ギルド、教会、領主邸の三ヶ所が暴徒と化した領民によって襲撃、略奪され最後に火を放たれた。


当時ギルドは無人であり、教会や領主邸には人がいたものの危害は加えられず破壊と略奪と放火以外は犠牲者無しであった…3人を除いて。


セバスチャンと教会司祭はその場でタコ殴りにされて火に包まれ、ギルド長は様子を見に来たところを暴徒に捕らえられ燃えるギルドへ投げ込まれた。それは凄惨な事件だった。まあ、映像だけじゃ足りなかったので「立てよ領民」とかって毎日演説してましたが、私が。煽るのは得意です。魚は炙ったサーモンでええかな、今日は。サーモンのタタキです。



「これからどうなるのでしょうね、この土地は」


「うーん…領主さんも廃爵だからね」


「このサーモン美味いにゃ」


「どうにかなるのです。きっと…」



そう言うシャルロッテ、マール、ルーチェ、ミリルの胸には銀等級のプレートが輝いている。何故かギルド長代行までランクアップしたフの字から「もうこれ以上何もしないでください、ランクあげますから」と言われて銀等級になったわけである。アイリスも代行にするのを渋々嫌々不本意ながら認めざるを得ない状況であったので、この判断もスルーした。ギルド燃えたらあかんよね。俺も燃やせとは言ってない。炎上させろと言ったが物理的にとは言ってない。


で、もうこれ以上する事が無いのである。銀等級も達成してマールの言うように豚バラのソイソースは家はお家断絶。ミリルは映像の功績があるので咎めは無かったが帰る場所を失ったので完全同行である。神の力で百人までならなんとかなるだろうし…


だが、この世界のラスボスが未だに出ていないのである。ワイの予想ではギルド長や司祭、セバスチャンと戦うと思っていたのだが違ったようだ。ちなみに正規ルートでは銀等級昇任試験の討伐魔物が相手であった。そんなに強いわけでもないのが特徴的な銀色ウサギである。ちょっと高級なウサギ肉である。市場では見た事無いけどな。


さて、ボス倒さないと次の世界行けんのやけどどーなるんやろ?










その頃、焼け落ちた教会の片隅にて…



「チクショーチクショーチクショーチクショーチクショー…」



拠点にしていた場所を失い、司祭の悪事を見抜けなかった間抜けな聖女リリアン・ビッチーノ・チューコーノもといビリタリカ・シュクレーノは憤っていた。もっとも、悪事を見抜けなかったのではなく悪事を持ち込んだというのが正しいのではあるが。


教会は焼かれ、この教会を牛耳る司祭が死んだ。少なからず影響は大きく、孤児の寝食を行う場所の手配において教会にて聖女の地位であるリリアンの責任は付き纏い、かなりの身銭を切る事となった。


そして何より、あの映像に残されていた音声により教会の信徒の信頼は地に墜ちた。過去の罪すら暴かれ、聖女の名前同様に墜ちたのだ。


違法座薬の取引に加担し、違法な場所に居た事は羞恥の事実である。周知でもあるが羞恥である。捕らえられて利用されたと言えば同情の余地はあったかもしれぬが、彼女のみそのような痕跡は見られなかったのである。それが憶測を呼び、彼女こそあの場所の主催ではなかったかとの噂も飛び交っている。まあ、事実だから仕方ない。こいつ、腐ってやがるというわけである。


そもそも、彼女を聖女とするウィロー教は同性愛や異種族婚は認めていないのだ。その教えを破り、違法な座薬や違法行為を唆した彼女は大罪人として処分されてもおかしくはない。今回の事が総本山の大聖堂に伝われば聖女の地位剥奪は免れないだろう。


だから、憤っていたのだ。それを宥める仲間の4人の言葉など耳に入らないかの如く。だが、そんな彼女に聞こえた声があった。



『力が干しイカ…いや、欲しいか?』


「だ、誰よっ!?」


『力が欲しいかと言っている』



気付いた時、彼女の目の前には黒マントの人物と白マントの人物が立っていたのだった…





海鮮丼するには海の幸が無さすぎて困ってるソールくんです。更に困った事に最近、ギルドの再建にブロック魔法を使って頑張らされてます。フの字容赦無い…拾ってやった恩を忘れたかとか言って無理矢理恩返しさせられている次第であります。あいつ調子乗ってる、いつか絞める。


シャルロッテとマール、ミリルの高貴組はこの街の政治再建のアドバイザーとして民主主義だの共和制だのを有志連中と話している。学園はまた後回しである。むしろ、再建は遠のいた。ロリ魔王ちゃんみたいなカリスマある人間が居ないのだから仕方ない。


アイリスはギルドの仮店舗にてフの字のお目付け兼指導を、ルーチェは略奪された資料を取り戻すために暗躍している。もうこのまま住まわされそうな勢いである。それでもええかもしれんが、こんな危険な街に住み続ける気も無い。だって、今のところ一番権力持ってるのがギルド長代行なんだぜ…だってよ、フの字なんだぜ?


それになんだか最近変な連中が人々を襲っているという噂である。山賊とかではない。自警団がそこら辺の対策はきっちりしているのである。


なんか、「逆走戦隊アブナインジャー」とか名乗って変なスーツを身に纏って変なポーズをしている五人組らしい。それは確かに危ない。新手のご当地ヒーローだとしても、色々と危ない。カラーも赤緑青黄桃の定番らしいので危ない。関わり合いにはなりたくないのである。


とか考えてたら、唐突に始まったりするんです、変態ヒーローショーが。



「数の暴力は許さない、燃え盛る火炎…アブナレッド」


「悪しき奴らは許さない、吹き荒れる暴風…アブナグリーン」


「弱い者いじめは許さない、荒れ狂う青雷…アブナブルー」


「罪を犯す者は許さない、揺れ動く大地…アブナイエロー」


「神の敵は許さない、溢れ出る生命…アブナピンク」



「「「「「我ら逆走戦隊アブナインジャー」」」」」



おまわりさん、こいつらです。突然ゲリラショーを始めた変態スーツ姿の五人組。一般の人たちを次々と襲っています。どう見ても正義の味方ではありません。どないしよ…これなんの撮影なん?


カメラ、監督、スタッフの類いは見当たらない…というか、あいつら数の暴力はとかええ事言った割にはそれを実践しているのですが、それは……


つまり、「単独」で「俺は悪くねぇ」と言いつつ、「強がる連中」を「正当防衛」で「神自身」が倒してしまったら何の問題も無いという見解でよろしいのでしょうか。うん、良いに決まってる。答えは聞く気ない。


とりあえず、ワンヴァルカンにこっそり隠れて変身だ…誰が変態対決やねん。あっちは変態が複数なんだぞ。ピンク以外の4人がやたらと背後を気にしていたりピンクがなんか臭いんだぞ。あんな危ない連中と一緒にされては困りマックス。


それでは軽くお仕置き致しますか。金色ウサギを一突きして以降、初の本格的な愛刀の出番です。え、地鶏の長男は網で捕まえましたよ。召喚魔法「魔法の球でも返せる万能虫取り網」ですよ。さあ、いざ戦いである。

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