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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
9章 新訳・学園編
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それは不思議な不思議な物語…という自作自演

とりあえず、はしたない格好して誘わない事、投げやりにならない事、守り抜く事を約束させました。どれが一番大事ってもっと他に説教したいけど、冷めても食った点は一応評価してやるからって事で解決ですん。というか、トンカツ揚げてカツサンドにする時間が必要だっただから許した。サーモン祭りに参加してもトンカツ食いたいという気持ちはやめられないとめられない縦横斜めのどれでカッティングしよう。え、タクアンの話はしとらん。


カツサンドに加えて白身フライサンドと照り焼きチキンサンドも出来上がりである。地鶏の長男の在庫処理はまだまだ終わらない。だって一羽倒したら次から次へ湧いてくるんだぜ…今夜は鶏肉メインで考えよう。サーモン祭り次第である。


というわけで領主の館にやって参りました。ここは新市街の高台にある富裕層地区のもっとも大きな邸宅である。まあ、領主なんだから当然の事であるのだが。


その庭園には多くの着飾った人々が集まっていた。はい、冒険者の格好したのは私だけです。シャルロッテやマールは勿論、ルーチェやアイリスもドレス着てます。それはええんや、必要品として昨日買ったので。え、ワイか…みすぼらしい格好で何が悪いか。ボロは着てても心はボドボドなん。着飾ったところで、むしろ服の事を悪く言う奴にロクな人間はおらんのん。こちとら元ジャージ生活民やで。ファッションになんてコスプレ以外興味あるかい。


庭園に入ってシャルロッテとマールは社交界恒例の挨拶回り、ルーチェはサーモン祭りに、アイリスはフの字が居たので監視に行きました。決してオラと知り合いじゃないアピールではない。場違いな格好だからって避けているわけではない…多分。


声を掛けてくる人間…というか、逆ハーも居ない。あいつらもボイコットか。え、SOSって言ってそうだって。あの中に乙女はおらん。だからピンチじゃないと思うん。依頼優先して招待蹴るとかないわー。スケジュール管理が甘過ぎやわ。


とか考えていたら、どうやら主催者側の挨拶が始まるようだ。つまり、豚専の登場である。



「えー、この度は当家の息女であらせられるミリル・ブルターノ・ソーザッハ様の生誕ならびに成人の祝いにご参加いただきまして誠にありがとうございます。私は当家の筆頭執事セーバ・スゥ・チェアンと申します」



リアルでセバスチャンって言う人見たわ。で、豚食うのソース派ですか、ポン酢も合うんやで。そういうの教えてやりたい。後、ミリル嬢は豚ではありません。立派な可愛い人間のおんにゃのこですよ。そこは変えないといけないポイントだったのだ。


で、設置された壇上に女の子…つまり、ミリル嬢が上がってくる。子豚を抱えて。



「この度はミリルの誕生日にお越しいただき誠にありがとうございます。ペットのフィルムットも喜んでいます」


「ぶーぶー」



フィルムット、お前は犠牲になったのだ。そんなに豚が好きなら豚になっちゃえばいいじゃないである。アイリスもどうしてこうなったとこっち睨んでいるが、野豚とイケメンなんて取り合わせは無いと思うんだ、ぼくちん。


というか、このサーモン祭りって単なるお誕生会だったのね。あれ、これオラが参加する必要あるのかい。というか、カルパッチョとか生物ばかりで加熱品が少ない…あ、調理人として呼ばれたわけですな。よし、頑張ろうではないか。





調理機材を借りて、手早く調理開始です。作るのはサーモンフライのタルタル掛けやちゃんちゃん焼き、ホイル焼きや巻き寿司なんかも良かです。ポン酢を用いた料理も作ります。ああ、そこの子豚くんは邪魔だからカツサンド食ってろ。喜んで共食いしてるわ。


と同時に多くの来客陣も次から次へと食い散らかしている。いつの間にやらコック風の奴やらメイドの格好をした連中も加わっている。やはり、ワイは外食デリバリーサービスとして呼ばれたわけだ。サーモン以外も持ってこい。こうなりゃ自棄っぱちなん、何だって作ってやるわい。


屋敷の食材が無くなって、多少のブラックバスと地鶏の長男、サーモンなどの持ち出しはあったが皆様満足してくれたそうな。あー疲れた疲れた。これで領主依頼も達成したから連中星3つになるんなー…え、そんな依頼は出してない。勝手にお前がやっただけだろって…なん…だと…



「どうしてそういう誤解を致しますの…」


「だって、サーモンのマリネとかカルパッチョとかばっかりやってんもん。朝も洋食で昼も洋食とか嫌やん。それにいくらサーモン祭りゆうたかて、サーモンばっかりは飽きてんで」


「あれはあくまでオードブルなんじゃ…」


「前菜も善哉もゼンマイもなか。そもそも立食パーティーで全部出してないのが悪かろうもん。それに次々料理を出すにしても厨房から庭園に行くまでに冷めたら意味無かと。今朝もゆうちゃろ、飯は熱いうちに食えと」



高貴なご身分の2人、特に食い意地張った方はいつもみたく沢山食べられなくて立腹しているようだ。猫かぶるのはルーチェだけでええんやで。あいつだけいっぱい食ってたわ。フライドチキンも気に入ったらしいわ。まあ、その分今夜の鶏肉料理は無くなったが。


あれ、つまりは地鶏の長男捕まえて、いじめて仲間を呼んで、その仲間を狩ってさえすれば簡単にフライドチキン屋が経営出来るんじゃねぇの。


とか思ってたら、件のミリル嬢にお呼ばれされたとセバスチャンが言ってきた。というか領主依頼受けないといけないんだが…え、かのミリル嬢が領主代行だってか。領主本人は出張で居ないとか、子どもの誕生日に祝わない親とかロクでもないんですけど。まあ、やなっさんの親よかマシですかね。


確か、最初の設定では養豚のフィルムットを人間化するための薬を探して欲しいという話だったはず。とある薬問屋に行って材料を集めれば依頼完了である。まあ、そんな薬出来ないけど。飲んでも人語を話す豚の出来上がりでしかないけど。七つくらい大きな罪を抱えてる結果とかじゃないですかね、前世で。人を悪者扱いしたりして。


セバスチャンの案内で、屋敷の応接間に通されたワイら一行。なんか途中でコックが弟子入りさせてくれたか言ってきたけど幼女じゃないからお断りしたん。そういうのはちゃんと専門学校行って、お店に弟子入りすべきなん。ワイは弟子は取らんのん。だって、奥義教えたら暁に死ななきゃいけなくなるわ、弟子が変な奥義の使い方するわで酷くなりそうなんだもの。え、扇は元々酷いだって。そりゃ、敵の騎士を寝取るくらいやもんな。


とりあえず、待たされる事しばし…どうやら子豚が見つからないと騒いでいる声が外から聞こえる。言っておくが調理はしてない。ここでは豚料理作ってないもん。豚のエサ探して共食いにでも出掛けたんじゃね?


案の定、庭園のゴミ箱にて残飯を食べていたとの事。そのまま焼き豚になれば良かったのに。豚に罪はなくともその魂は大罪を犯してるんだから仕方ないねん。豚な妹があんなに萌えないはずがあるって結果のせいやねん。せめて、ぐるぐるメガネどまりにしとけば許されたというのに。

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