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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
9章 新訳・学園編
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それは宵闇の彼方からやってくる良い病み

サーモンの料理を作って晩飯を堪能した後の話である。大量のサーモン皮でジャケット作った…いや、シャケットと呼ぼう。流行らんわ。


とりあえず、隠密チックに単独行動です。シャケットは赤と緑とピンクと青と…悩んだ結果、原色まみれの恋愛とかしたいのでシルバーです。後、口を覆うマフラーマスクしてます…ウィローだった頃を思い出すね。誰がアニソン界の兄貴コスやねん。


さあ、未怪傑◻︎ビンの出番や。誰がハゲチャビンやねん、ワイは土瓶蒸しが食べたい…誰や、シ入れたんわ。


というわけでやって来ました、新市街のとある倉庫。



「ほ、本当に大丈夫なんだろうな…この植物は座薬の原料だぜ」


「当たり前だろ、だから金になるんじゃねぇか。安心しろ…この前4人もご新規さんが増えたんだよ」



あ、現場間違えた。ロマンシングな性はどうでもええねん。え、ご新規さんに心当たり…知らんなぁ。









気を取り直して、猫小僧が予告状を出したとある屋敷に潜入成功。ええ、心配だとか理由付けてますが何か?



「本当に大丈夫なんだろうな。この程度の警備で」


「ご安心ください。こう見えても我々は金等級のチーム『イーター・ポール』ですぞ。猫小僧ごとき生け捕りにして見せましょう」



何か、見たことあるようなハレンチなトレンチコートを着たおっさんと数人が金庫を持ってガタガタ震えているおっさんを取り囲んでいる…おっさんばかりだな、つまらん。


後、金等級ってのは嘘だろう。見せびらかしているプレート、メッキ禿げてるわ。だからあんなに深く帽子被って…え、髪の話はしてない。さよか。


今のところ猫小僧の気配は無い。というか丁寧に予告状出すとか余程自信があるのだろう…それで失敗すれば良い恥晒しである。ご丁寧にテーブルの上へ出しっ放しだから読んでみよう。ちなみに私は今屋根裏に居ます。



『予告状 今宵、月の煌めく頃に金庫の中身戴きに参ります。 怪盗カレイドキャット』



誰やねん。誰も探してる夢はきっとあるのけ…後、やるなら新月とか月明かり少ない時にやればええものを。月の煌めく頃ってだいたいいつやねん。


その具体性のない予告状は予告になっておりません。で、気になる金庫の中身ですが…現金なら預金しとけ。コレクションなら金庫以外に入れとけ。ベッドの下とかな。


で、◯形のおっさんっぽいおっさんはさておき、他のメンバーがサル顔、ヒゲ、ナイスバデーなオカマなんですが、これ私が13代目ポジですか。ガラスの灰皿で頭かち割ればええんですか?





それから小一時間後…別に頭脳が大人な探偵とか現れる事もなく平穏な時間が過ぎた。後、日付も変わった。今宵とはいったい…まあ、30時までは認めよう。それで来なかったら金庫の中身を確認して帰ろう。朝飯作り何にするべや。


と、その時…声が響き渡った。



「主よ、タネも仕掛けもあります事をお許しくださいにゃ…根気に才気、無邪気に活気、運気に英気、怪盗カレイドキャット、神に導かれただいま参上にゃっ!」



いや、導いてません。部屋に突然スモークが撒き散らされて、晴れたら変な格好の女の子が居ました。ここはレイヤー広場かなんかですのん。ワイが言ってもお前もだろと言われそうなん。


さて、変なコスプレしていますが視聴者の方には正体バレバレなルーチェである。どうしてこの手の変身ヒロインものは正体を隠したがるのか…あ、全裸変身シーンがネックなんですね。バレたら痴女扱い確定ですものね。後、いい歳こいてレイヤーの心意気無い女の子が衆人環視の中でとかもう、それなんてタイトルのエロゲである。敗北イベント待った無しである。


話を戻そう。ルーチェは元勇者である。二つ名は風雷である。そう、二重属性なのである。他の連中が単属性や単属性と得意武器の二つ名だったのに対して、魔法のみの二つ名で、他にもその属性は居るといういかにもミスリードを誘う設定に加えて猫耳と語尾ににゃの設定過多な後衛型なのにスキルが盗賊系で装備は短剣とか軽いものしか使えないキャラである。設定を重視した結果、体力無いのに突撃ラブハーな奴である。


が、なんという事でしょう。見事に警備している連中の攻撃を避けているではありませんか。これには匠も驚きました…変身した影響なんですかね。または警備から猫小僧って呼ばれてるのをいちいち「カレイドキャットにゃっ!」と否定してムキになっているだけなのか。


とはいえ、あんなフリル付きの衣装で縦横無尽に駆け巡る事が出来ますわ。あの衣装、何処のフリマアプリで手に入れたのやら。そんな事を考えている間に警備パーティは全員雷魔法による麻痺状態で全滅です。あの猫耳、電磁波を覚えてやがる。後でヨーヨーでも買い与えてやるべきか。



「ひ、ひぃぃ…や、やめてくれ。これは命の次に大切な…」


「命は取らんにゃ。金庫の中の……にゃ…………要らんにゃ」



屋敷の主人らしきガタガタガータガタキリ震えてるおっさんから金庫を奪って手早く中を取り出し一見したルーチェはその紙束を放り投げた。ふむふむ…違法座薬の会のメンバーリストだってさ。俺でも要らんわ、というか違法座薬ってなんぞ?


ルーチェの目的は義賊であるからして現金または価値のある物品や不正の証拠であろうが、こんなの手に入れてもどないせいっちゅうねんである。つまり、今回の窃盗事件は未確定、不成立だーって事で…え、十分強盗未遂事件ですってか。こまけーことはいいんだよ。


ルーチェさんが退室しそうなので尾行しますか、無論イエスである。カモン、大型段ボール。これで蛇のように付いて行ってやるぜ、突撃お宅のお夜食である。








屋根を駆け、軒を飛び、街を通り抜け、猫が行く。足を出し、距離置いて、箱が後から追い掛ける。そりゃ歌手も帰りますわ。


旧市街のとあるあばら家にルーチェは住んでいる。というか、旧市街自体がブレイブ・スクールのものである。無論、旧市街と呼ばれる程荒廃しているし、魔王殿なんて無い。ウィローの隠し財産はあるので後日取りに行こう。



「いつまで付いてくる気にゃ?」



旧市街に入り少ししたところでルーチェが突然振り返ってそう声を発した。何だと、この俺以外にも尾行している奴が居るだと…


後ろの持ち手のところから後方確認するが姿は見えない。なるほど、余程の手練れと見える。この段ボールを用いない尾行をするなんて、気を付けなければならない相手だ。



「バレバレなのにゃ」



そう言ってワイの入った段ボールを蹴ってくる枯れ井戸某。なんと、この完璧な変装を見破ったと申すか。そんな事があるわけない。こちとら天下御免の段ボールだぞ?


だが、蹴りの威力が増してくる…バレテーラである。あれか、シャケット特有の臭いでバレてしまったのか。さすがは猫である。仕方ない、今こそ正体を見せる時っ!



「とぅっ……ハハハハハ、よくぞ見破った。天知る地知る鯛のあら汁、この世に灰汁がある限り美味しいご飯が作れない。人呼んで…………………………………孤高の戦士ワンヴァルカンっ!」


「すごい熟考したにゃっ!?」



だって名乗りは大切なん。だから猫小僧とか言われるんだろ?

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