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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
9章 新訳・学園編
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無くなったもの、無くならなかったもの

ギルドの一室で待つ事暫し、受付嬢と共に3人が入ってきた。今度は待機していたのか早かった…数分だけ。実質、夜を明かしました。宿代が浮いたけども座って寝るのは疲れますわ。



「消えていれば良かったものを…では、紹介しますね」



受付嬢の態度が酷過ぎるのはデフォルトとして受け入れた。だが、4人中半分がゴミ虫を見る目なのは辛い。


無論、キャラクター設定は概ね初期化してます。好感度はゼロよ、ハナセである。


受付嬢の紹介は丹頂なものだった。時給千円くらい長いものであった。ほぼほぼ知ってる内容だったが、主として俺が粗相を働かないようにという念押しばかりだった。あまりのしつこさに3人がだんだんと死んで3日経った魚のような目になってきていた。後、同情されてる、金くれた。最低限の装備を頼まれた。さすがに布の服だけでは心許ないらしい。武器は何でも構わないが、防具は整えろと言われた。


さて、ここでパーティメンバーのおさらいです。買い物シーンなんて要らんやろ?


まず、パーティの前衛にしてリーダーの細剣の使い手、シャルロッテ・ドゥ・エスラント。


無論、勇者ではないのだがエスラント王国の三女な王女の設定は継続、氷の魔法しか使えないのも変わらずである。とはいえ、少なくとも入学したての正義感と王族の価値観に縛られているわけでも、騎士頼りで何も出来ない姫様でもない強さは持ち合わせている。


続いて、パーティの回復担当兼後衛の弓矢の使い手、マール・フォン・イスペランサ。


無論、大国イスペランサの公爵令嬢。水魔法を主体とし、回復をしつつ弓でサポートもするらしい。イフォルマくんの面影はあまり残ってない気もするが、いざとなったら剣も使えるとの談。キャラがぶれまくっている証拠である。いつの間にか金髪ロングヘアーになっている点でお察しである。


そして、パーティの魔法と補助担当の短剣の使い手、アイリス・C・ブロッサム。


ユニーク魔法と無属性魔法との消去は行なってません。弓スキルもあるからマールから借りて使える器用さも健在です。とはいえ……かつてのように父として慕ってくれる様子は皆無である。当然といえば当然なのだが、寂しい気持ちもある。フード被ってないだけマシですかね。


閑話休題。もらった金額は3000、そこから風呂入って(−600)飯食って(−1200)下着の替えを上下3枚ずつ買ったら(−1500)…物価高いな、錆び過ぎた刀しか買えなかった。



「バカなの、死ぬの?」



はい、ツンデレの定番セリフいただきました。でも、これが最善の選択なんですがね。清潔感のない男を率いるとか出来ますか、腹ペコのヒモ男を率いるとか出来ますか、磨けば卍か…否、挽回出来る装備を見逃すとか出来ますか。



「腹が減ったら死にます。だから、飯を食いました。汚かったら死にます。汚物は消毒とか言われて焼かれます。残った金で買えるものはこれしかなかった。でも、折れた剣を杖にして立ち上がるボロボロのプリンセスだって居るんだから何とかなるだろう」


「屁理屈ですわ。マール、アイリス…少し痛い出費ですが、この男の装備を見繕いに行きますわよ」


「仕方ないですね」


「…了解」



こうして、3人にドナドナされて適当な装備を与えられるのだった。計算通りですが、何が虚しいです。


ソールはミスリル装備を手に入れた。具体的には胸当てのみですが十分です。というか、1800で買える防具ってどうなのだろう。やっぱ物価がおかしいよ。


つまり、この物価が異常なのを正すのがジャスティス。どうでもいいですがな。


防具見繕ってくれてる間に刀の錆落とししました。炉とか無料で貸してくれましたよ。権力振りかざして脅したともいう。


火力が足りなかったが、アイリスが何故かサポートしてくれたのでいきなり強武器ゲットだぜ。


ソールは刀・八天刃を手に入れた。発展場とか後ろに気を付けなければならない名前なのはどうにかならんかったんだろうか。本当に色々と酷過ぎる…誰だこんな世界にしたのは。


刀と胸当てはきちんと装備しました。攻撃力とかが上がった気もする。まだ刀の解放は出来てないけどね…そんなのあるかも知らんけど。



「本当に感謝して欲しいものですわね。ただでさえ支度金に3000も使ったというのに…」


「足の指でもペロペロすればええんやな」


「したら潰しますわよ」



怖い怖い、暴力系ヒロインは流行らないんやで。シャルロッテの好感度は最初からゼロだから仕方あるまい。だが、後の2人はなんか好意的…まあ、マールはマルフォイくんの時からそうだったから構わないんだが、アイリスが何か好意的で怖い。いや、記憶とか全部無くなったはずだ間違いない。



「では、早速ですけど…まずはソールさんの実力を見たいので薬草取りを兼ねて外へ行きましょう」



マールが言い出したのはギルドの最初の定番、薬草採取である。薬草とか言ってもアロエとかヨモギでええんやないかな。というか、道端で野草取ったら不衛生だから気を付けろ。せめて山奥へ行くべきだ。


え、そんなの気にして回復なんてしないってか。というか売れれば良いのだから量だけあればええと。てか、高級回復薬あるからそんじょそこらの薬草なんて使わないと。これだからブルジョワジーは…いや、お貴族様だったか。まあいい、野草の美味しさ教えてやんよ。






でだ。何か不思議な事が起こってしまった。近くの山へ行き薬草を取っていた時のことである。シャルロッテたちはお手並み拝見とばかりに周囲の警戒ばかりでちっとも手伝ってくれなかったです、はい。


薬草とか野草を手当たり次第に採集しつつ、お野菜ばかりじゃ栄養偏るからと突然現れた金色のウサギを一撃で倒した。とてもウサギらしからぬ大きさだが、所詮ウサギはウサギ。碧くなければ食えると思うの。碧いのは薬物中毒になる気がするの。


で、やったどーとシャルロッテたちに見せびらかしたら驚愕の表情…え、スプラッタはお嫌いでしたか?



「そ、それグローバルモンスターじゃないっ!」


「どうやって倒したんですか?」


「討伐推奨パーティレベル70以上」



え、ご注文は金色ウサギですか。モザイク処理しておきましょうか。グローバルモンスターって何だっけ…あ、アナログまの親戚でしたね。じゃあ、これ落ち目の進撃なマスコットなん…ワイは畜ペンが好きです。


そんな事はさておき、今夜はウサギの肉で唐揚げしつつ山菜おこわと天ぷら、ヨモギでお餅でも作るべや。野草の四季感無くて草生えるんですが仕方ない、草だけに。


そんな所帯染みた考えは3人が俺の首根っこを掴みギルドへ赴く間に消えてしまう事になるわけだが。どうしてまたあのクソ受付嬢と会わねばならねばねばーる。あ、納豆食いたい。






「どういう事ですのっ!」


「ですから、間違いなくその男は村人程度のステータスしか持ち合わせていないという結果が…」



ギルドでシャルロッテたちがステータス確認にやってきていた、無論ワイの。ちなみにステータスはオール8である。エンドレスな8である。誰が忠犬やねん。



「もう一度ステータス確認を。それで全てが解決しますよね?」


「マール様、それは不要です。どうせ、何かしらの理由で死骸となって放置されていたゴールデンラビットをこの男が拾っただけでしょう。この男、運だけは良いみたいですので」



人をお通じがええみたいに言わんとって欲しいものだ。というか死骸で放置するとかアホの所業ですん。金になるなら売るし食うなら食うし。むしろ、そんな強いモンスター倒せるモンスターが居るなら街にやってきてバイオバイオしますわ、非常事態宣言出せますわ。あかん、こいつオラへの敵愾心で仕事どころか思考もサボタージュしておるん。



「フィリス…お前の内申点マイナスで深刻しておく」


「あ、アイリス様、それは…」



受付嬢の名前、フィリスっていうんやな。ありがちな名前過ぎてどうでもいいです。というかアイリスの強権力がとんでもない気もするん。まあ、魔王の娘ですから私は慣れていますです、はい。


で、再測定である。アイリスたちから思いっきりやれと言われるが、私の8は不貞寝して起き上がらない。つまり、∞である。思いっきりが足りない。午後は〇〇の〇〇ってなんや並みに足りない。



「む、無限大…まさか、そんなバカな……」



何も無い世の中みたいに言われても困るのん。愛しい思いも負けましたよ、ワイは。金色ウサギ没シュートとか泣けるわ。金の板っきれと等価交換されましたがな。おのーれ受付嬢め。

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