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神の所業。そして始まるもの

恨み辛み妬み嫉み嫌み僻みやっかみ…そんなのより甘味旨味塩味苦味酸味の方が好きです。


「ど、どうして……」


「神核を貰い受けるだけだ。この紙切れの中では俺も一応神扱いされていた。だから、神になる資格だってあるだろう……」


「っ…まさか、今度は神になってまで自分を消すつもり。そんなの不可能…神は神殺しでもしなければ死なない。自ら命を奪うなんて事はほぼ出来ないんだから…」



そんなのは百も承知してまんがなでんがなはくん。


それでも、世界を元に戻すつもりの無いバカ勇者を良識あるトチ狂った勇者に戻すにはもうこれしかないじゃない。


神の力を思う存分発揮したオトナの事情炸裂拳こと、残念ながら冒険データ0%にならせあそばされました…つまり、初期化ですわ。


カス神ことアホの子に壊されて本と化したこの世界は今はただの紙束にまで成り下がっている。それを新たに紡いで装丁して一冊の本にして再び最初から読み直す。それが唯一の正解なのだろうと。


そうすれば少なくとも途中で投げ出すようなポカをやらない限りはさっきまでいた勇者抹殺大作戦みたいな探偵崩れのクソストーリーから回避出来るはずだ。


なにせ、表の攻略すらリセットされるのであるからして色々と初期化されているはずであり、更に神核を奪った菊花を一登場人物に成り下がらせる事で防げる自体もあるはずだ。例えば、怨念勇者がおんねん的なストーリーは回避出来るんじゃないかな?



「また最初から始めればいいだけの話だ。今度は間違わないように……だから、カス神ではなく勇者の一人として待っていろ」



神核を完全に奪った代わりに1つの指輪を彼女に渡す。菊でもかすみ草でもないその花は彼女に相応しいものだろう。



「嫌だ、消えたくない……もうあなたを置いて死にたくなんて…」



知ってる。その気持ちは…だが、それはある意味彼女への最大の罰なのだろう。


人の命を弄んだという…


こうして、神核を失った彼女は紙束の一部にその存在を押し込められた。




◻︎◆◻︎◆◻︎◆◻︎◆◻︎◆◻︎◆◻︎◆◻︎◆◻︎



空は高く風は無風…約束されたバッドエンドはこうして回避されたのかどうか分からないが、どうやら俺はただの村人で済まされなくなったのだけは理解している。


はい、とりあえず勢いだけでやったらこの有様だよ。イルムとアダムとイブ的なノーマルエンドでも良かったんじゃないかなと思うの。というか、今の今までがチュートリアルと思う事にしよう。でないと虚しくなる。


そんな事を思いつつ、俺は紙束をパズルの如く纏めていく。別にタップして連鎖消しなんてしないからな…あれは俺には無理なゲームだったし。そんな事はどうでもいい。


新たなる世界の話をしよう。だから俺は刹那派だというのだから中に誰も居ない展開とか嫌いですの。だから、元に戻す事を決めた。


だが、ただ元に戻すだけでは悲劇など回避出来ないし、既に元の姿とは大きく異なっているものもあった。だから神核の力を用いてねじ伏せるように書き換えもした。




様々な国の様々な人間が冒険者としての基礎を学び、強くなっていく王道的学園ストーリー

第1章 『勇気と魔法のレゾナンス』



突然現れた異形の怪物に立ち向かう極普通の人々を描いたパニック系ストーリー

第2章 『デッドリーシティ』



魔物を配合し最強の魔物を作り上げていくテイマーストーリー

第3章 『ミキシングモンスターズ』



良き妖怪と共に悪しき妖怪と対峙する冒険物ストーリー

第4章 『陰陽双極記』



機械仕掛けの鎧を身に纏って戦い続ける神話的ストーリー

第5章 『鋼のハイマ』



命を賭けたサバイバルゲームを繰り広げるバトルストーリー

第6章 『銃撃の円舞曲』



対象者の命を守りつつ敵を退けるヒロイックストーリー

第7章 『SECRET SAVIOUR』



異世界から召喚された勇者たちと共に世界を駆ける主軸ストーリー

第8章 『名も無き勇者のラプソディ』



この全八章からなる分厚い書物ーーー

『新訳・八芒星物語集』



「我ながらネーミングセンス皆無なのは知ってる」



とはいえ、完全に改訳してしまってはあいつらを殺す事になってしまうので意味が無い。もっともリセットされた時点で俺の知るあいつらはもう居ないわけですが。


まあ、強くてニューゲームならまだ結末まで知ってるからええんや。だが、俺の仕出かした事は某イレブンで言えば死んだ仲間蘇らせるために世界を危機に陥らせた並みの事であり、それは同時に他の仲間との絆を断ち切っただけの話である。


つまりは、自分の存在を消すためだけに無かったことにしたのだ。後悔は無いが、見られもしない本を再構築しただけの話であり結局誰かが読まなければ停滞しかしないという悪循環を食い止める事は出来てないのである。



「どうして、こんな損な役回りばかりするかな、俺は……」



最初は好きになった女の子を失う悲しみから始まった。


次は妹になった女の子を守ろうとしていた。


その次は結婚まで約束した女を失い、自棄になった。


そして、生まれ変わっても俺は………


本当にロクでもない村人だな。ああ、村人で十分だ。


俺はカス神から奪った神核を床に叩きつける。


書き換えた事で不要となったページが床に散らばっていた。


かつて神が壊した世界の一部であるのならば、それは自虐狐が守ろうとした大地へと再構築されるかもしれないししないかもしれない。


だが、信じるものは掬われる。救われはしないのは実証済みですわ。不要となったページの大半は俺がキッシュ他村人数名としてあいつらと過ごした日々と未来……つまり、この手で殺したに等しいのだ。


そもそも、チェリアたちを殺してでも終わらせる覚悟が多少なりともあったのだから、まだ救いのあるパターンに落ち着いたと思わねばならない。少なくとも生きていればそれでいい。が、元々そのつもりだったのにカス神が手抜きするから復活させられてしまったのだ。


つまり、身内が狂っていて辛いクソゲーという人生をコンテニューさせられ続けられる件とかってタイトル付くような話である。誰か中古で買い取ってくれないものか。


そんな事を考えていると神核を飲み込んだ白紙のページどもが土気色に変わっていく。え、意味が違うとか言うなし。俺の顔もきっと土気色だろうし。


覚えておいででしょうか、かつて地下深くに閉じ込められて答えは何処イェイイェイイェイ的な白骨化した私の事を。このままじゃまた土に飲まれよである。お疲れ様ってところね。


世界が元に戻ろうとしているのだから、これを妨害出来ない…というか崩壊させた元従姉妹と元婚約者の悪意ぱないの。まあ、それも元を辿れば恋心とかになるわけですからオラにも責任の一反木綿はあるべや。それに気付かずデリートしてくれと言った結果がご覧の有様だよ。


このまま馬じゃないよ埋まるって展開でも構わないのだが、それだとせっかくの新訳本が絶版になるじゃないの。キッシュ神とか絶版ソールさんとか嫌だわ。


という事で新訳本の中に逃げ込むの確定。とはいえ、本が埋まると全身全霊で遊び尽くした後で後悔するの確定なので対策しておかねばならない。


手持ちの神エスカリボルケインを生贄に新訳本を守る為の結界を展開する…そんな事すればソールなワイはレベル最低限でリスタートかまさなきゃいけないのだが仕方ない。でも、入る前に結界作ったら入れないオチが待っているからきちんとして出発しよう。


え、きちんとした試しがないから無理だろうとか言うなし。

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