DQNネームは計画的に…するから後悔するんやで
天使に会えたよ。いや、オラの天使は撲殺犯だと思うの。ぴぴるぴー…
突如として目の前に現れた3人の翼の生えたエンジェルと今まさにワンナイトなカーニバルが始まりそうなん。いや、むしろカニバが始まるんじゃないかとテーゼってる。悲しみがそして始まるんだよ、分かれ。
「あー……オラ、生まれも育ちもど田舎です。姓は嘘っぱち、名は偽り。人呼んでただの村人と発します。突然やってきてなんですか、その言い草は。変な言いがかり付けてきて人を襲い命を奪おうとするその所業。それでも天使ですか?」
「誰が天使と呼称しましたか?」
「我等はイリス計画初期ロット、通称白い悪魔」
「天使などと呼称した覚えは一度たりとも無い」
「どうせ、ウィリス、エイリス、オイリスとか言うんやろ。試作品扱いのへっぽこ三人娘で、モブ扱いされて量産機の戦いで知らないうちに墜ちてるんやわ」
「「「なぜ我等の名をっ!!!???」」」
あ、自分たちがDQNネームだと気付いてなかったんですね。イリス、アイリスまでは良しとしよう。中にはそれらしい名前になるのも居るだろう…万能ネーム◯イリス。だが、それは電鉄でやって欲しいのん。誰が貧乏神や。ワシはスリの方がええねん。
さて、このウエオ向いて歩く3バカ娘はどうしましょう……涙が出ちゃう、おんにゃのこだもんって展開はあまり望ましくない。仮にも率いて平和ボケした王国を壊す展開に持ち込むのだから戦力低下は阿寒湖のマリモ。
どうせ、白いなんてのも4から6って意味だろうし……え、なら3は何処かだって。敵になるんじゃないかな。で、初号機が噛み砕くと思うの。
とりあえず、ロンギヌスとか持ってないからエスカリボルケイン出すしかないと思うの。一欠しなきゃ大丈夫だと思う……むしろ、それしなきゃ村人バーサスクローン勇者×3とか茶番もええとこやないですか。こっちはバイオとロボとブラックと共闘出来ないというのに。
「とりあえず、敵というのなら容赦しない。秘技……敵前大逃亡なのんっ!」
ダッシュダッシュダッシュ、キックせんとダッシュで180度回頭して一目散に駆け出すオイラ。
え、エスカリボルケイン出すとか思った……わざわざ立ち向かう暇があるならアレカレと合流するっすわ。
……え、ボスからは逃げられないんじゃないかだって。それはやってみないと分からんのん。
◇
おそらく……その推論は当たっていた。あの人はいつもトラブルメーカーだったと。
手に持っている見慣れた杖と相反する見慣れぬ姿。そして、追う妹達……正確にはそれを模した偽者たち。
わたしは知らない。姉以外の後発組を……だけど、居たのだという前提で再現した。魔王を倒す為の魔王を模した模造品。それは今、勇者のレプリカに過ぎない。
その主たる目的を履き違えているレプリカには制裁を与えるべきだと思う。
「誰がパパを殺せなんて命じた?」
◇
本日の天気、所により女の子や矢の雨が降るでしょう。どうなってるの、あま◯つー。え、居ないって知っとるわ、そんなの。
降り注いだ無数の矢は3バカ娘を貼り付け獄門にした……まあ、無傷で出来てる時点で誰がやったかなんて想像出来る。新手のテロ、ウィリアム・テロですね、意味分かりません。
その矢を放った主が空から舞い降りてきた。天使にふれたよって感じなのか、オラ達は天使だったという感じなのか……白い翼を3対備えたハイブリッド天使娘と化したアイリスが居たわけです。え、それ分離して小さいアイリスとかになるんだすか…ならない。そんなんしってんしー。いや、熾天使と掛けただけで他意はありませんよ。別にアイリスが太ってるわけでもないですし。
それにオラ、セブンソード派ですし。でも、やっぱ杖が最強だと思うん。
「だから、オイラは魔砲少女な杖を作る職人になりたいただの村人なのん。それだけなのに絡まれてたのん……ただ杖に使えそうな間伐材の伐採に許可が要るなんて知らなかったのん。許可を取って出直すから見逃してクレランス」
「パパ。そんな適当な言い訳求めてない」
「誰がパパですか。私はお酒飲めないからその手の店には縁もゆかりもない……うわぁぁぁ、この世界を変えたいとかって言うべきなん?」
「言わなくてもパパのせいで十分変わった」
若干、アイリスタソの反応が冷たい。だが、私は最早パパではない……から言う事を聞いてくれぬ。ひなだお…いや、オイラはキッシュではないだお。キッシュは既に死んでいる。アタタ違う、既成事実だ。
キッシュという存在は桐生柳が存在しなかった時点で消滅している。それが無かった事になっても、この体がキッシュではないのだからパパではないのだ。
と同時に、心の一部はアイリスタソの義兄(笑)のウィローだったのだ。妹に手を出すとか……俺の妹がこんなに可愛いわけだから仕方ないよね。なんてヨスガな気持ちがあまり湧かないんですよね…
つまり、関白宣言が完遂したオイラは淡白になったのん。1日でも長生きしてくれると思ったのに数百年も長生きして転生待ってたとか恐怖以外の何物でもねぇっす。だから病んでる嫁たちとは他人で居たいと思うのは普通だがね。
むしろ、他人になって幸せな人生を過ごして欲しかったとも思えてならない。むしろ、それが俺の本質なのだ。誰が寝取られ属性持ちやねん。
「お姉様……そんな冴えない男が我々の父だと言うのですか……」
なんか、ウの字がディスってきとるん。冴えない村人で何が悪いか。冴えてる村人なんて居るのかと逆に聞きたいわ。え、いっぱい居るだろって……冴えてる村人の育て方ってアニメでもやってんの?
「ウィリス…そんなに死にたいのなら楽にしてあげる」
「ひっ……」
殺意の波動に目覚めそうなアイリス……オラ、そんな道着姿のアイリスは見たかないん。後、それならオイラはとっくに目覚めてるはずなのん……そんなの出来たら前々前世でやってるのん。マスゴミ一掃してらぁ。
という事でウィリアムテロしようとしているアイリスの前に立ち塞がる。僕は死にましぇんって感じで………え、死亡フラグだってか。もう2回も3回も死んでるからええんでやんす。むしろ、姉妹が争うのは遺産相続の時だけでええんやで。
当然、放たれた矢は止まるわけないので無事貫通するわけです。矢ソールの完成ですな……身長差とか考えたら心臓に天使の矢がキューピッド的に刺さるんです。つまり、DQNネームを改名するには死んで戒名得ろって事なんですかね…ないわー。
まあ、構わないでやんす。変な希望なんて持たない方が幸せな場合もある。キッシュの紛い物が死んだ所で何の不都合があるだろうか……むしろ、存在してはいけないものが存在する時点で歪みまくっている世界が…
なんて走馬灯がループしてるわけですが、矢ソールにならんのん。そういえば、連れに居たかな……もう1人の遠距離系勇者が。
◇
遡る事数分前。何かやらかしそうな3バカ娘を追ってアイリスが出立した後に残りの2人……つまり、カンナと葵も勇者たちと合流を図ろうと地下基地から地上へと出てきた。
「勇者の魔導力場反応から追っては来たものの、どうして以前の神の使徒たる勇者とそれにすら入れなかった落ちこぼれが同行しているのか仔細を説明願います」
「仔細って言われてもね……とりあえず、それがあいつの望みだったからとしか言えないでしょ。自称村人の望みとしか」
カンナの問いにアレアはそう答えた。もっとも、本気で答えるのをソールに押し付けたともいう。
「そんな事はどーでもええのん。キッシュ…もとい、桐生柳さんの善の転生体はどこぞなもしなん?」
「善のとか言っちゃう痛い子だよね、葵ちゃんは」
「何言ってんすか。黒影と魔月を持って、ヴィリスを奪ってバンキッシュを名乗ってる悪の転生体が実在しているんだから当然じゃないっすか。リンドウと蓮華たんもそちら側に回っている時点で監視だと悟って欲しいっす。我々がする事は半分の善の転生体を探して、融合する事と決まっているじゃないっすか」
「…勇者の理想像がどんどん崩れていきますわ」
奇怪な勇者のリーダー葵の姿にシャルロッテは失望に加えて呆れているが、だいたいの事実なんてそんなものである。むしろ、まともな人間だったならキッシュ関連の出来事も起きていないわけで、総じて勇者は真っ当に寿命を終えて存在していないはずなのでもある。
「あのー……とりあえずこちらの勇者様方もソール様と合流してから落ち着いて話し合うべきだと思います。全てを知るのは彼なわけですし」
「ふむ……君がキッシュお気に入りキャラのTS娘だね。つまり、ある意味敵だけど味方って認識で構わないのかなかな?」
「バカな勇者がまたバカな事をいつものように言っていると警告します。なお、この情報は逐一勇者クレアにも送信されています」
「そういうチクりやめーや」
「いい加減にしなさいよ、あんたたちっ!」
ふざけた現状に対する威嚇のつもりでアレアが放った1発の銃弾……否、その振りをしてカレアと共有した意識から感じ取ったソールの死という未来視を変えるために放たれたそれは数秒後にアイリスの放った矢を撃ち壊したのだった。