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歪んだ歴史とその功罪

山を越え谷を越え、夜は火の番やって来た。ハッキョリくんになりかけたー。という事で、たとえ火の中水の中草の中森の中土の中雲の中には突っ込んでいってもスカートの中には手を出さないまま目的地である大国との国境をやっとこ越えたろうなソールくんとシャルロッテですわ。


いや、寝ずの番が嫌で少し大きな街へ寄ってみたのよ。勿論、フード被りーのして。オラたちお尋ね者になってました。フードしてなかったら街の住人に「あ、お尋ね者のソールとシャルロッテだ。兵隊のみなさーん」って言われてたかもしれん。まだ退魔の剣持ってないから苦戦するかもしれないじゃない…え、杖使えって?


どちらにしても、人相書きまで出てる俺たちは騎士5人を惨殺した極悪人らしい。いや、コランダムベアがやりましたって王城の奴らは誰でも知ってるし、それを仕向けたのは大臣一派だろうと…だが、市井の人間にそんな事を知る由はない。むしろ、そんな人間を「兵隊のみなさーん」と呼んで助かると思っているのか。殺人犯を脅迫するバカは推理小説だけで十分だって思うの。



「この国にも手配書が回っているとしたら、多少厄介ではあるな」


「そうですわね。ですが、こちらの国の方が対処しにくいですわね。恩を売るつもりであれば是が非でも捕まえようとするでしょうね」



大国にも大王が居るし、貴族も多く商人やら何やら有象無象小僧が沢山居ますねん。隣国の王国に恩を売るともれなく恩恵がよーけ入ってくるでげね。あれ、それだと国境越えた意味無いのぉ……オラたちいつの間にかインターポールの警部以上の輩に追われる身になっとったん。オータクには自分の世界がある、例えるなら、部屋を彩る無数のプラモデルって具合ですん。意味分からんわ。


とりあえず、追われる身に変わりはない。元より勇者に追われる身ですたい。熱烈なファンが少し増えたところで食ってしまえばハーレム増えるだけでふ。


そんな事はさておき。まともな協力者が必要なのも事実…パトロンともいう。勿論、対象はイフォルマくんである…というより他に検討つかへん。公爵の子という事もあるし、恩を売るより国をくれって方向に持っていけば後ろ盾も得れる。問題はノブレスの塊であるイフォルマくんが納得出来るのか否か……出来ない場合の展開も考えねば。



「とりあえず、ここは公爵領のはずだ。このまま一気に山を下り公爵の居る場所へと赴く。そして、次期公爵のイフォルマくんに助けを求めて俺たちは安泰の生活を送るとしよう」


「イフォルマくん……誰ですの、それは。この大国イスペランサにはフォン公爵しかおりませんし、その公爵の子は女性ですわよ?」


「なん……だと……」






山越えして疲れたから見つけた山小屋に宿泊するん。空き家は有効活用せねばならぬ…え、山小屋は空き家違うって。こまけーことはええんやよ。


とりあえず雨風しのげるならという事で一泊ですわ。そして、その間に不在の次期公爵イフォルマくんについて調査兵団を派遣せねばならんと思う……あ、巨人よりカープファンやったわ、オラ。


という事で、シャルロッテに事情聴取ですん。カツ丼が無いのは残念ね……え、実際に取調室では食えないって。知っとるわい、元重要参考人でしたもの。


この辺りの地形は学園編…『ブレイブ・スクール』のものであるというのは皆様ご存知。え、知らなかったって…悟れよ。


シャルロッテからの情報では、まず当然ながら勇者の証があるわけもないので他の勇者全てが面識あるはずもなかった。とはいえ、半数が地位のある人間だから多少なりとも面識や名を聞いた事はあるようだ…いや、シャルロッテの情報だから他は知らんが。


シャルロッテの話では、合衆国の貧乏貴族はお家潰しを何故か回避しているし、公国の七男坊はムッキムキだし、神国の性女はお盛んなようです。他は知らんがな。ウチのアイリスたんは生きてそうだからええやろ。


そんでもって、一番肝心なのは我らがイフォルマくん………居ないみたいですん。その代わりに存在するのが同ポジらしき公爵令嬢のマール・フォン・イスペランサ…略したらそのまんまなん。それはさておき。


シャルロッテ曰く、水魔法の使い手で弓使い…で、マール。あれ、ならシャルロッテの正体はカエルですか。オラはラスボスに消されてしまうんですか……あ、既に消された後でしたん。人形手に入れるミニゲームしなくて済んだわ。



「そして、マールこそがわたくしが亡命を求めるべき唯一の相手ですわ。彼女だけは何が何でも信じられます…親友ですので」


「親友ですか…」



ボッチの辞書には無い言葉ですわ、それ。まあ、信用していいんじゃないかな。イフォルマくんが見事に性転換果たしたと思えば…きちんと女だと確認するけど。つまり、悲願達成っすわ。もう何も悔いは無い…首から上食われてもええわ。あ、既に体験済みでしたん。



「水の魔法の使い手として優遇されている彼女と半端な氷の魔法の使い手として冷遇されているわたくしとが親友で何か問題でも?」


「いや、大丈夫だ。問題無い」



軽く死亡フラグを立てておくとしよう。だって、親友がオンドゥルのは定番じゃん?


それと共に、勇者のいずれかと既に接触している可能性だってある。キッシュのイフォルマくん女体化計画は勇者全員が知る所だろう。もしかしたら、全員で待ってるかもしれんのん……あれ、本当に死亡フラグ立ってるん?







翌日……久々にぐっすり寝れたん。しかも、野宿じゃないって素晴らしき事ぞなもし。宿屋でお楽しみする勇者の意味が分かった……いや、単にコランダムベアの毛皮に包まって爆睡してただけですけどね。シャルロッテの貞操観念厳しいでやんす。雪山だったら裸で抱き合って寝たんですけどね……どうしてわだすに氷雪系の魔法が無かったのか。



「わたくしを担いで一気に山を駆け下りるだけでなくそのまま領都に到着するなんてどれだけの脚力を持っていますの、貴方は………」


「単に近かっただけだろう。それに、着ている毛皮のお陰だ」



今の俺は最強無敵のコランダムベア改めバイオロボベアRX8なん。コランダムベアの毛皮を縫って着ぐるみをし直したん……親友ならまだしも、不審な男が同伴したら怪しむから再び使い魔になったん。え、どうして8なんだって……別にロータリー関係ないん。イージー仕様なん。添い遂げる為なん。


それにしても、武器防具補正って素晴らしいですわ。最強の杖とまあまあの着ぐるみ………勇者な嫁以外の相手なら勝つる。


さて、そんなのは当たり前だのクサヤ。とにかく、第1の目標は女体化イフォルマくんとの面会だ。このまま着ぐるみで行くのは怪し過ぎるが余所の国の騎士の格好や布の服上下よりはマシなはずだ。世のゲームには下着姿で仲間と歩く女メンバーも居るんだぞ。そんなのに比べたら着ぐるみくらい可愛いもんじゃないか………え、誰がゆるキャラやねん。


そんな事を考えている間にシャルロッテはモンペ…じゃなくて門兵にメダルを見せてさっさと入って行く。その後をオラはアナログなステップで往くのです。変なコンビだね、誰も近寄ってこないよ。え、ぜんぶオラの所為ですん………シャルロッテがゴロツキに声掛けられるよりええやん。余計なイベントは結構ですのん。


そして、歩く事数十分……さすがにアナログステップは疲れるわぁ。やっとこ領主の館にやってまいりました。とても大きいです……どうして、城とか館って大きくて白くて高層なんですかね。白亜の豪邸とかっていっても飛行物体ぶつけりゃ炎上でしょうに。やっぱ地下要塞の方がいいと思うん。


再び、シャルロッテがメダルを見せてさっさと中へ入っていく………それ、鷹とか虎とかバッタの絵でも描いてあるん?



「さっきから気になっていたが、そのメダルは?」


「これはマールとの友情の証ですわ。公爵家の家紋を印してありますの。これがある限り、少なくとも兵士は無闇に手出し出来ませんわ」



つまり、印籠なんですね。オイラ、尻のプレイは興味無いとです。というか、そのメダル無かったらオイラ捕まってると思うん。たかだかメダル一枚にそんな意味を持たせるとかバカですわ。あ、死ぬ前にメダ◯ットやりたかったなー。レベル上がってロボ作る才能が戻ったらそれっぽいの作ってバトル大会開くん。プラ粉無いけど。


白亜の豪邸の門がゴゴゴゴ言いながら開いていくん。

あれ、オイラ真理◯扉に能力奪われたんやろか?


そんな事を考えていると中の様子が見えてきた………どうして使用人って客を出迎える時に入り口の両サイドに立ってるんだろう。そんな事より自分の仕事しろよって思うんよ。でも、シェフとかはあまり見ないな…


軽く2、30人が頭を下げて出迎えている……まあ、一応王女様が来てるんだから仕方ないね。はて、こんなに都合良く待ち構えてるのは何故だろう……アナログステップで遅かったから、その間に早馬で知らせてたんですね、分かります。


で、両サイドの使用人とは別に中央に金髪ショートカットの胸なき子……ではなく、イフォルマくんの面影がある女の子が居たりする。つまり、美少女でありどストライクですわ。え、守備範囲広いだろって…胸が無ければストライクゾーンですん。



「お待ちしておりました。シャルロッテ様……そして、キッシュ様」



はて……キッシュって誰ですのん。オラはソール・クーヘンなん。もとい、キッシュという存在自体が食べ物以外であるはずかないのだ。思ってて虚しい……



「我が名はバイオロボベアRX8…決して魔王たちの婿にして一村人ではない。ましてや、キッシュという名前でもない」


「その言い回し、尚更です。それぞれの勇者から聞かされたノロケ話のままです」



やはり、勇者たちと繋がっておられた。これは由々しき事態だ。嫁が来週来襲する……いや、来週言わずに空飛んででも来そうだ。だが、今の俺はキッシュとウィローの融合体にして桐生柳に記憶を持つ何者にもなれないヒマージンなんですわ。生存する為の戦略を立てるべきなん。オラ、ペンギンよりゴマフアザラシが好きですたい。



「例えオラがキッシュだとしてもキッシュみたいな何かだよ。それに、勇者たちが集団催眠にでもかかっとるんでないかい……なあ、シャルロッテ?」


「わたくしに話を振らないでいただけます……マール。とりあえず入り口で話し合うつもりは毛頭ありませんわ……そして、この方はわたくしの命の恩人。貴女が言うキッシュという勇者に近しい存在ではなく、自称記憶喪失の不審者ですわ」



あらーっ、酷い扱いですわ。まあ、わざと変態紳士気取ってますし前々世の反動ではっちゃけてるのは認めよう。でも、もう恋なんてしないなんて言わないよゲイじゃないし。


まあ、真面目にしたところで結果は分かり切っとらんど。というか、自称記憶喪失の不審者としてはスクランブルダッシュで逃げてええだ、逃げてええだ、逃げてええだ……


ジリジリと後ろに下がっていこうとするのだが、いつの間にかメイドに退路を塞がれていた。



「何処に行こうと言うのですか、お兄ちゃん?」


「キッシュ……あたしらが何百年待ってたと思ってるのよ。逃がすわけないでしょ」



はて、ライオン耳と狼っぽい耳の獣人メイド2人にそんな事をを言われる筋合いは…………おろ、何処かで見たような……………



「あ、キュアジェ◯ートと賢狼ホ◯っぽいん。つまり、レイヤーさんですね。あんまりコスプレ興味無いから撮影するつもりは無いので他のカメコ当たってください。いくら好きなキャラでも三次元がやったら萎えますから」



コスプレして髪染めたり、再生技術で眼球復元したり……オラの好みのアレアとカレアは死んだ。ナズェダ?


あ、はい私のせいですね。全部オイラが悪いのだー。

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