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王城の地下でお勉強。⑨みたいな天災目指して頑張っていってね

お漏らし王女をお姫様抱っこで被害最小限に抱えて洞窟を脱出すると、そこは王城の真裏でした。そして、見張りに捕まりさあ大変。


現在、俺は牢屋の中で臭い飯を食ってます。卵かけ納豆ご飯は美味いのぅ……え、意味が違うって?


とりあえず、不法侵入って事で捕まったが王女を助けたのは事実なので無茶な事は出来ないでいるというのが現状らしい。いやぁ、王城の地下に牢屋があるって設定がまず無茶じゃねぇかと毎回思うでやんす。


とはいえ、持ち物は杖とコランダムベアの遺体しかないから何も出来ない。脱獄して王城に放火する魔力も無いし……え、その杖あればどうにでもなるってか。せやな。


せめてもの暇潰しはシャルロッテからの差し入れと兵士に渡された歴史書である。


これによると、悪辣な女神に唆されたこことは別の王国に召喚された遊者な勇者と聖女は魔王以下愉快な仲間と共に女神を撃退したとか。そこに杖に貫かれて爆発したって事は書かれとらん。


そして、世界の多くが書物に移されていたという事も記載されていない。つまり、桐生柳の存在が世界崩壊させたという事実が覆ったという事かもしれない…ほうかい。


だが、俺が居なくなったという事実は同時に差異を生み出したという事である。例えば、偽魔王のカタタマキンとか、都市の大虐殺とか、Mハゲ王子とか……まあ、そっちはええねん。問題はアイリスとかリンドウ、蓮華にカンナとイルムという俺と関わった事で直接、間接を問わず人生が一変した元嫁たち。


やはり、あの時「僕をたい焼き泥棒にしてください、うぐぅ」って言っておけば良かった…なんて冗談を考えるが、歴史の復元力ってのは恐ろしいものだ。現に桐生柳の記憶を保持しつつキッシュやウィローの記憶もあり現在豚箱で豚のホルモン焼きを食べているんだし。王城のくせに処理が雑だわ、マジ臭い。


シャルロッテの現状を鑑みるに、巻き戻っているというのは確実。まあ、元々書物の世界が無かった事になっているので、今が正しい時間で進んでいるといっても間違いじゃないかもしれない。


ならば、アイリスはともかくとして、リンドウたちが存在していない可能性は………なんて考えながら歴史書を読み進めると女神を倒した勇者たちの名前一覧があった。


剣と光の勇者 ソレイユ・フルール

斧の闇の勇者 チェリア・K・ブロッサム

弓と無の勇者 アイリス・C・ブロッサム

鞭と炎の勇者 リンドヴルム・スカーレット

槍と水の勇者 14代目橘蓮華

鎧と地の勇者 カンナ・エクスマキナ

銃と雷の勇者 アレア・レオニックハート・キメリス

拳と風の勇者 カレア・ウルファング・キメリス

盾と命の勇者 クレア・ポーウロウ

爪と獣の勇者 イルム・クリサンセ


あれれ、よーく知ってる気がしてきたん。でも、苗字とかあるから概ね別人な気がするん。もっとも、勇者にそう易々と会えるなら構わないんだが、この歴史書にはまだ続きがある。つまり、この勇者とカス神の戦いは昔々の事じゃったというわけだ。具体的には、この歴史書は後二百ページ程書き記されている。


まあ、実際にチェリアたちが狂った勇者を封印して二百年は最低でも経過している…あるいは最長で初代から14代目に至るまで。つまり、もう………なんて事はなさそうなのが俺の嫁。だって、この歴史書の著者の1人がロリ魔王の偽名、桐生桜花なのん。これ、間違いなく俺に向けた当て付けなん。


探しに行くのが先か、見つかるのが先か………とりあえず、生まれ直した命で楽しんでから考えよう。とりあえず、読書の続きだ…そんな事よりおうどん食べてラノベ読みたい。豪華な臭い飯はもう要らん。




それから臭い飯は続いた。あれか、臭さで発狂させて廃人にするつもりですか……風呂にも入らず、水桶も出されず。臭い私に私はなりとうなかった。丸3日もおうぜさまの命の恩人を臭い飯だけの待遇で放置民ですか。


歴史書以外の差し入れはされとらんのです。二百ページも読んだが、大した事は書かれていなかった。いや、むしろハゲ天使やドエムゴンをはじめとした初代の事を書いていなかったのが疑問でしかない。まあ、どうでもいいのくん。


そんな中、これからやるべき事を考えていた。嫁たちとの再会は最終目標だ。容姿も変わってるから判別は難しいと思う…キッシュって名乗るつもり無いから尚更だ。まあ、神エスカリボルケインが唯一の身バレポイントであるが。


とりあえず、近隣の国々は学園でもお馴染みのバカ国ばかりだったのでアイリスを除く勇者の様子でも見に行くとしようかなと………思ったけど、メリット無いなぁ。あ、イリス計画がどうなってるのかとか、イフォルマくんがどうなったのかは気になる。


もう脱獄してもええよね。答えは聞いてない………



「ソール様。長らくお待たせして申し訳ありませんでしたわ」



脱獄を決意した瞬間、シャルロッテが鉄格子の向こうに現れた。その姿はミスリル装備に身を固めたものだった。え、戦闘するんですか?



「わたくしは今、王位を簒奪しようとする者の手により継承権を剥奪されています。このまま隣国へ亡命するつもりですわ。ですが、その前に恩を返しておかなければなりません。ですから、まずこれを………」



差し出されたのはコランダムベアの眼…もとい、2つの宝石。恩を返す前に返品されたんですの。やったね元キッシュたん、またアナロベアになれるよ。加工技術喪失しとるけど。



「そして、これが牢の鍵ですわ。近いうちに第3王女はあの洞窟で死んだと偽の情報がもたらされると共に目撃者である貴方は秘密裏に処分しようという動きがあるはずですわ。ですから、その前に………」


「俺を殺して亡命した事実を隠匿するって事か」


「違いますわっ……命を救っていただいたお方に刃を向けるなどエスラントの恥晒しのような真似はいたしません。ただ逃げて生き延びて欲しいと思っているだけですわ」



ふむ、全くもって気に入らんな。すごすご逃げる女ではなかった事など俺は十分知っている。亡命なんてせずに立ち向かって命をちらし寿司な展開は目に見えている。


つまり、ノブレス・オブリージュなんてくだらない考えでこいつは死のうとしているのだ。村人にそげな崇高な思想を理解しろなんて無駄無駄無駄なん。


誰が死にに行く嫁を送り出しますかよ。



「なら、俺も亡命出来る安全な場所まで連れて行ってくれ。護衛に1人くらい増えたところで構わないだろう?」


「あまりにも危険過ぎますわ。わたくしが生きている事自体がそもそもの問題なのです。追われるならばまずわたくし……その間に貴方ならば逃げ切れるはずですわ」



そういう自己犠牲は俺だけで十分だっちゅーの。それが恩返しならクソ食らえですわ…それに逃げるは恥で役にもクソにも立たないんだわ。クソばっかり使っとるやん、ワイ。



「逃げる事と見捨てる事は同義じゃない。向かってくる敵は力でねじ伏せればいいだけの話だろ?」



要は勝てばいいだけなん。才能も駆け引きも置き去りにして来たけど、自分だけは自分信じてるん……前々前世からでも愛してるし一億と二千年後だって愛してる自信はある相手を見殺せる程、俺は腐りきってない。神だって敵に回した男を舐めないでいただきたい…あ、性的な意味では全然舐め回してくれて良いですよ?



「………どうなっても知りませんわよ。王国全てを敵に回す事が生易しいものではない事くらい、幼子だって分かる事ですわ。それなのに……」


「記憶喪失者にそんな事分かるわけないだろ。それに………王国が怖くてあんな場所に居れるか」



すなわち、オイラは最初からこの国と敵対するデスティニーだったんですん。これがアニメだったらきっと声優キャスト順は3番目に降格するん。


とりあえず、脱獄して逃げ出すん………え、このまま地下道通って教会にでも行くんやろか。そんで闇世界に行ってウサギになるんやろか。オイラはトラ派だっての……え、孤児院に寄付とかする展開が待っているだって。そんなに幼女の嫁は要らんですたい。

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