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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
7章 偽典・箱庭編
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改変された世界のあらまし……よりあら汁飲みたい。いや、あらよっなラーメンが恋しい

世界から1人の影響を取り除いたところで、その1人が村人程度の影響しかないならば大した変化はないだろう……というのはあくまでもゲームの話。だからこそ、終盤だけでなく序盤から俺は悪くねぇって感じで街とか簡単に崩壊しゃうのん。やったねルー◯、ヘイトが増えるよ。


もし、1人の人間が生まれてこなかったという現象が生じると………メロンパン好きな赤い髪の女の子と出会えるんじゃないかなと常時思考が迷子な私は思うわけですよ、荒須さん。


いや違う……存在そのものが無かった事になるのだから、ぼくと契約するのも無くなるんだよね。訳がわからないよ……って事になっちゃうんだよ。つまり、今ここにりゅーちゃん…もとい、キッシュの作った鎧が存在しているのはおかしいんです、ジョージさん。


さて、私の中では今この世界にやってきた後の私の記憶が書き換えられている。


目に見えない精霊が転移した直後から居たのは同じ……それがみずきちゃんの双子の妹の転生したものだったのは知らなかったけども。


アレアとカレア、チェリア以下勇者メンバーと出会った状況は大差無い。但し、神器を手に入れるための対価が全く異なっている。


チェリアは翼を失わず、アレアとカレアも眼球を失わなかった……そして、私も無いものを対価には出来ない。でも、その代わり菊花ちゃんの存在が駄女神と入れ替わった事に気付かなかった。


そして、元々の私はそれすら利用された。大切な仲間の消失による絶望とそれをもたらしたもう1人の自分への憎悪…それと便座カバー。


まあ、それは散々繰り返したからさておき。今の上書きされた世界には私のダークサイドは居ない。つまり、シュコーシュコー言えないのん。


その代わりとなったのは本来の打倒対象である女神………正直、倒す理由が希薄だっちゃ。偽者だったとかならまだしも、隠しダンジョンでもないのに本物の神様ですからねー。そんな事より種返せ愚王子って感じですん。


そう、王子なんです。光とか悲しみ…あるいは炎とか怒りとか、別名太陽の子とか…………そう、太陽の子がやらかしてくれたんです。






「………やっぱ、ご主人1人で良かったんじゃないかな」


「そうじゃの…………」



時が巻き戻り、カスミが本性を出した刹那、あの真エスカリボルケインが何処からともなく現れてカスミを貫き爆発させたのじゃ。



「まあ、元ネタが全能の神でも木っ端微塵だから仕方ないのん」


「いい加減その口調直しなさいよ………でも、最後の最後まで兄さんは兄さんだったのよね。あの杖にあたしたちを守る為の細工までしていたんだから」



ウィローの腕輪があの杖の持ち手に通されておったのを見逃した者はおらぬ。キッシュの……いや、桐生柳の意志はわらわたちを守るというただ一点のみだったのじゃろう。じゃから、鎧も指輪もあの杖さえも消えずに存在しておった。ならば、まだ希望はあるやもしれぬ。



「………じゃが、神を倒したのは紛れもなくあやつじゃ。もし、キッシュが新たな願いを抱いていたなら、奇跡は起こるやもしれぬな」



わらわたちを守りたいと思っておったならさっさと気付くのじゃ。そして、戻ってこい。








◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



この日、世界は救われた。不可解な事象と共に。


世界は書物から解き放たれ、元に戻った。


だが、書物に居た多くの人は知らない。世界の元の姿と今の勇者の活躍……そして、新たに現れた神の箱庭だった島が元の世界には無かった事を。


ただ、かつての勇者たちが何かを成したと人々は思い込んだ。いや、そう思わざるを得ないように仕向けた。


誰が信じるだろうか。勇者を召喚した結果が世界の破滅を導こうとした事を。


誰が認めるだろうか。その勇者の凶行を止めたのが存在しない者だと。


そして、誰が理解するだろうか。世界や民を守るべき女神が元凶であったなどと。


何より、たった一人の村人と杖が勇者の強さも女神の強さも上回るチートキャラだったなどと知られるわけにはいかない。


それは操り人形を再び作る事に他ならない……叶うかどうかも分からない祈りの為に勇者たちはそう仕向けた。


杖に書かれていた文を信じて。



『I will be back to the futureなん。永遠はあるんよ、どっかにあるんよ…せやから僕のこと忘れてくださいなん。もうゴールしてしもたん。だから、幸せになればいい……また来世で会いませう』



もっとも、勇者たちがこの文字を読み終えた次の瞬間、その杖は跡形も無く消え去ってしまったのだが。当然、へし折ったり魔法で消し炭にしたのではなく、忽然と消えたのだ。まるで主人を探すかのように。


ならば、それを追っていけば良いと探索を開始した者。


世界の混乱を沈める為に動き出した者。


世界を見て回ろうとする者。


そして、あるべき場所に戻った者。


勇者たちはそれぞれの道を歩み出した。一時の事と覚悟しながら。


その頃………………






「…………その時、不思議なダンジョンが起こった。いやいや、そろそろ統合思念体になるべきか。どうもご無沙汰しております、桐生柳です…………誰に言ってんだ、俺?」



書物の中から追い出され、キッシュの体からも追い出され………その真相をそろそろ語りたいはずなのだが、本来俺はカス神に願いを叶えて貰うと同時に真エスカリボルケインで一欠してやった。そもそもの原因はきちんと帰還の手順を構築してなかったあいつの責任だからな。某北の国でも拉致った人の一部は返してただろうに。


そんな事をやってしまったから、某王女の伝説みたいに歴史の分岐が発生してしまった。ほら、俺……もといキッシュが俺の消滅を願った時点で消滅したという歴史と最初から居なかったという歴史が分岐。更に俺が居なかったという過程において居た事による歴史の変革が無かった事になった時からの差分が様々に分かれた結果………俺は地球外生物と契約して因果律になりかけた。


いや、キッシュみたいな事を言ってるわけじゃない。分岐し、消えていく宿命の中で時を遡り防ごうとする存在が居た。まあ、誰かは言わずとも分かると思う。


その結果がキッシュの誕生であったり、ウィローの創造であったなどという事はあまり知られていない。俺も知らんかったけど。


とにかく、俺の完全消滅によって歴史は書き換わりお役御免になるはずだった。が、どうも神殺しの代償が必要だったらしい。そりゃあ、分岐全てのカス神を一欠すればそうなりますわな。


だが、神代行とか新世界の神とかにはなれんかった。ノート貰ってないし、刀はタヌキにやったままだし。


結果、弱くてニューゲームですよ。キッシュとしてもウィローとしても引き継ぎがなく、2週目プレイの特典は真エスカリボルケインのみ。むしろ、神エスカリボルケインって名前変わってます。これ、カス神の意識取り込んでないだろうな?


それはさておき、幸いだったのはニューゲーム…つまり、転生扱いになったのはキッシュとして願いを叶えた世界だったという事だろう。何故それが分かるのかだって……何故だろう?


いや、はっきりと分かる理由はあるんだが、それを語るには俺がウィローだった頃を語らなくちゃいけないわけで………


とりあえず、目の前の出来事から目を背けちゃ駄目なんだろうな。交わした約束忘れないよう目を閉じ確かめたりする。誰が円環の理やねん。


嫁は助けなきゃいけない。それがたとえ現地嫁であったとしても…更に言えば記憶を無くしていたとしても見過ごせるものではない。


さあ、新たな冒険を始めますか。ろくな事にならない気しかしないけど。

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