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始まりの始まりは終わりと共に

今日、1つの大人気…いや、人気…はっきり言おう。過疎のゲームが終わる。


『八芒星物語集』…ダサいネーミングで掴みは失敗。ゲームシステムもありきたり。更に、時代に逆行したガラケー対応の旧式ゲーム。


正直いって、最初から失敗するしかないゲームだった。でも、それを俺がやっていたのは何故か?


そんなのは簡単だ。これはファンメイドに近いものだったからだ。かつて、俺が…いや、俺たちがハマっていたゲームがあった。だが、中途半端なストーリーや展開。そして突然の閉鎖によって完結どころか謎は謎のまま永久に終わる事となった。


それから数ヶ月後、そのゲームの攻略サイトにファンメイドの『八芒星物語集』のアドレスが貼られた。俺やその他大勢とまではいわないが、あのゲームにハマっていた人間たちは飛びついた。


著作権違反で消されないようにストーリーや展開はオリジナル。課金は最低限…それでも、世の中にはその手のゲームが溢れ出した時代。新しいゲームに移る奴も居れば、ゲーム自体に興味を失うのだって居る。ファンメイドだからこそ、そういうのも早かった。


結局、やりたい事をやりきって有志の運営は解散が決定。中には元のゲームメーカーに引き抜かれた奴も居たとか、課金した金を使い込んだとかの憶測もあるが知った事ではない。


1プレイヤーの俺としては楽しいクソゲーだったと思う事にしよう。


そう思っていたのだが…














「どうしてこうなった?」



最終日の終了時間になった直後、ガラケーから眩い光が溢れ出した。直視出来るはずもなく、目を閉じ次に開いた瞬間にはもうこうなっていた。


目の前に浮かぶのは8冊の本。『八芒星物語集』のワールド選択の画面そのままの光景が画面越しにではなく、直で目の前にあったわけだ。


所謂、ゲームの世界に来ちゃいました的な展開だ…いやいやいや。クソゲー終了するとか思ったら人生というクソゲーの方が終わったとかいうパターンか?


こういう場合はセオリーとすれば神様的な存在が説明してくれるかなと思うわけだが…影も形もない。目の前には八角形の部屋に8本の柱。8枚の壁と天井。『八芒星物語集』のオープニングで見た出入り口の無い閉鎖空間そのものだ。


『八芒星物語集』はあまり親切なゲームではなかった。ファンメイドだから元々のゲームを知ってやる奴には分かるだろうという前提で作られたものだった。


それに加えて、やたらと8という数字に拘っていた気もする。例えばステータス関係だ。8つの分類とかスキル系統とか。そういえば、これがゲームとかそれに類似した世界なら確認出来るはずだ。そう思い立ち見られるかどうか試してみた。その結果、簡単に見れたわけだが…



《ステータス》

名前 キッシュ

年齢 18

性別 男

種族 人間

髪色 青銀

瞳色 エメラルドグリーン

利き手 右

称号 世界の表を知りし者

《パラメータ》

レベル 92

耐久力 920/920

魔法力 999/999(補正+80)

攻撃力 999(補正+80)

防御力 999(補正+80)

魔攻力 999(補正+80)

魔防力 999(補正+80)

瞬発力 999(補正+80)

《武器スキル》

剣 10/10

斧 10/10

槍 10/10

弓 10/10

拳 10/10

鞭 10/10

銃 10/10

鎧 10/10

《魔法スキル》

炎 10/10

水 10/10

風 10/10

地 10/10

雷 10/10

光 10/10

闇 10/10

命 10/10

無 10/10



見事に使っていたアバターのステータスそのままだった。改めて説明するまでもないがだいたいそのままの意味だ。


武器スキルや魔法スキルはレベルが最大10で全てカンストしている。剣と一口にいっても両手剣や片手剣、短剣に刀などなど様々な種類があるし、鎧だって防具全般が含まれる。命魔法は俗にいう回復魔法で無属性魔法なんてものもあるが、スキル技はそれぞれ元のゲームより淘汰された所為で多いとはいえないが取捨選択の必要が無いので楽といえば楽だった。


更にはカンストボーナスでパラメータに補正するので体力以外はカンストしているわけだ…この雑なステータス仕様が飽きさせる要因になったのは否めないんだが、あくまでも終了前のボーナスクエストとかをやり込んだ結果としてこんなステータスになってしまったのは事実だ。


ついでにアイテムボックスも見てみるがこちらは空っぽ…ではなかった。使役していた魔物の類いや武器や防具、魔法媒体なんかは消滅していたが『神魂の破片』とかいう使えないし売却も捨てる事さえ出来なかったアイテムが残っていた。ちなみにこのアイテム、攻略サイトにも載っていないほどの謎アイテムだった。ボーナスクエスト中に拾ったはいいが、何に使うのか分からずアイテムボックスを圧迫するものでしかなかったのだが…



「まさか、これの所為とかじゃないよな…」



そんなバカなと言ってから思うが、他の貴重なアイテムが消えたのにこんなゴミが残っていたという不思議。不用意に捨てたら消滅するのは俺の方なんて事になったら嫌だからしまっておくとしよう。説明文は文字化けしてたから今更だし…


さて、夢ならそろそろ違和感とか非現実的だと思う頃合いなんだがそんな感じが全くしない。仮に夢だとするなら醒めるだろうし現実ならどうしようもないのだが…あるのは空中に浮かぶ本だけ。


この8冊の本がこのゲームのストーリーを構成しているわけだ。元々のゲームを踏襲しつつも著作権に触れないようにしてはいるらしいが、グレーなのもあった気がする。


開始直後に用意されたストーリーは2つ。


勇者を集めた学園の編入生になって共に魔王を倒そうと奮闘する『ブレイブ・スクール』…通称、学園。


ただ何も無い平原だけの『エデンの箱庭』…通称、箱庭。


元々のゲームをやった奴なら箱庭は地雷だと知っているからだいたい学園の方を選ぶ。実際に俺もそうだったし、チュートリアル的な物語だった。


で、次々と追加されていくわけだ。


崩壊した近未来の日本を舞台にした『革命都市』…通称、都市。


魔物を従え戦わせる事を目的とし、鞭の武器とスキルを解放した『エレメント・ファーム』…通称、牧場。


侍やら神話などを織り交ぜて、刀を解放した『ジパング見聞録』…通称、大和。


1人乗りのロボットを操り戦う事を主軸にした『機械仕掛けのアイアンメイデン』…通称、ロボ。


銃の武器とスキルを解放し、直接のPvPが行えるようにした『ガン・オブ・バレット』…通称、魔銃。


読み物としての意味合いが強く、推理モノを主軸にしつつも所々無意味な戦闘シーンが入る『死神探偵の黙示録』…通称、探偵。


で、箱庭以外のこれらをクリアする事で箱庭がようやくストーリーとして動き出すわけだ。本来のストーリー…俗にいうラスボスとの対決ものへと。


一応、俺は色んな人とパーティを組んでストーリーを完全制覇した。その後はひたすらレベル上げの日々だったのだが、サービス終了間際になって運営はボーナスクエストと共にとんでもないストーリーをぶっ込んできた。


それぞれの物語の裏ストーリーだ。攻略サイトでは様々な事が書き込まれていたが、終了間際になってのストーリーという事もあり1つをクリアするのが時間的にギリギリであったはずだ。だから称号が「世界の表を」なんて勿体ぶったものだったのかと悟る人が多く居たとか居なかったとか掲示板では話題になっていた。つまり、箱庭の裏ストーリーだけは解放されないままだったというわけだ。


攻略サイトを見たから7冊の裏ストーリーは多少把握してある。とはいえ、さすがにソロで全てを攻略出来るかと言われたら微妙なところだ。


そこでサイトの書き込みを思い出した。どうせ夢と割り切るべきかはともかく、ここで待っていて事態が好転する気がしない。更新時間があるなら数時間足止めされるわけだし。いや、『八芒星物語集』には時間更新無かったけれども。


とにかく、俺は1冊の本の前に立った。存外、この手の展開でボッチというのも虚しいものだったからだ。サイトの書き込みを信じて行動すれば、NPCが正式にパーティに加わるこの裏ストーリーを最初に攻略するのが一番だ。武器と防具が無いのが心許ないが…


俺は『ブレイブ・スクール』に手を伸ばした。すると、先程と同じように目の前の本が眩しく輝きを放った。通常なら暗転して本の中へご案内というパターンだったので裏ストーリーへ入る仕様エフェクトなんだろう…たぶん。


本の裏表紙が開き、俺はその中へと吸い込まれていった。

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