第2話:夜這いと添い寝と眠れない夜
ベッドに入る。
隣に、リーシャ。
距離は、三十センチほど。
十分な距離だ。何も問題ない。
──と、思ったのは最初だけだった。
「クロード様」
「なんだ」
「寒いです」
「……暖炉はある」
「でも、寒いです」
彼女がにじり寄ってきた。
距離が、二十センチに縮まった。
「クロード様」
「なんだ」
「まだ寒いです」
「…………」
また、にじり寄ってくる。
十センチ。
もう、彼女の吐息が感じられる距離だ。
甘い匂いが、より濃くなった。
「リーシャ」
「はい」
「それ以上は来るな」
「なぜですか?」
「なぜって……」
言えるわけがない。
君が近くにいると、理性が壊れそうだから、とは。
「クロード様、顔が赤いですよ?」
「熱いからだ」
「さっき寒いと──」
「いいから寝ろ」
私は強引に会話を打ち切り、目を閉じた。
しかし、眠れるわけがなかった。
隣から聞こえる、規則正しい寝息。
時折、寝返りを打つ気配。
そして──彼女の体温が、布団越しに伝わってくる。
柔らかい。温かい。
こんなに近くに、美少女がいる。
しかも、婚約者。
……いや、だからこそ、手を出してはいけない。
結婚式までは、あと二ヶ月。
たった二ヶ月だ。
我慢できる。我慢しなければならない。
──だが。
「んん……クロード様……」
リーシャが寝言を言った。
私の名前を呼んでいる。
幸せそうな寝顔で。
心臓が暴れ出した。
ダメだ。こんなの、耐えられるわけがない。
私は布団から飛び出し、窓際のソファに避難した。
ここなら、距離がある。
何とか、朝まで耐えられるかもしれない。
──そう思った矢先。
「クロード様? どうしてそんなところに……」
リーシャが目を覚ました。
半分眠そうな顔で、私を見ている。
寝巻きが乱れていて、肩が露出している。白い肌が、月明かりに照らされて艶めかしく光っている。
「クロード様、一緒に寝ましょう?」
「いや、私はここでいい」
「だめです。風邪を引きます」
彼女がベッドから降り、こちらへ歩いてくる。
長い黒髪が揺れる。細い腰がくびれている。寝巻きの裾から、白い脚が覗いている。
──見るな。見てはいけない。
だが、目が逸らせない。
「クロード様」
彼女が私の目の前に立った。
上から見下ろす形になる。
寝巻きの胸元から、谷間が──
「さあ、一緒に」
「……わかった」
私は観念して、ベッドに戻った。
眠れぬ夜が、始まった。
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