表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/9

第2話:夜這いと添い寝と眠れない夜

 ベッドに入る。


 隣に、リーシャ。


 距離は、三十センチほど。


 十分な距離だ。何も問題ない。


 ──と、思ったのは最初だけだった。


「クロード様」


「なんだ」


「寒いです」


「……暖炉はある」


「でも、寒いです」


 彼女がにじり寄ってきた。


 距離が、二十センチに縮まった。


「クロード様」


「なんだ」


「まだ寒いです」


「…………」


 また、にじり寄ってくる。


 十センチ。


 もう、彼女の吐息が感じられる距離だ。


 甘い匂いが、より濃くなった。


「リーシャ」


「はい」


「それ以上は来るな」


「なぜですか?」


「なぜって……」


 言えるわけがない。


 君が近くにいると、理性が壊れそうだから、とは。


「クロード様、顔が赤いですよ?」


「熱いからだ」


「さっき寒いと──」


「いいから寝ろ」


 私は強引に会話を打ち切り、目を閉じた。


 しかし、眠れるわけがなかった。


 隣から聞こえる、規則正しい寝息。


 時折、寝返りを打つ気配。


 そして──彼女の体温が、布団越しに伝わってくる。


 柔らかい。温かい。


 こんなに近くに、美少女がいる。


 しかも、婚約者。


 ……いや、だからこそ、手を出してはいけない。


 結婚式までは、あと二ヶ月。


 たった二ヶ月だ。


 我慢できる。我慢しなければならない。


 ──だが。


「んん……クロード様……」


 リーシャが寝言を言った。


 私の名前を呼んでいる。


 幸せそうな寝顔で。


 心臓が暴れ出した。


 ダメだ。こんなの、耐えられるわけがない。


 私は布団から飛び出し、窓際のソファに避難した。


 ここなら、距離がある。


 何とか、朝まで耐えられるかもしれない。


 ──そう思った矢先。


「クロード様? どうしてそんなところに……」


 リーシャが目を覚ました。


 半分眠そうな顔で、私を見ている。


 寝巻きが乱れていて、肩が露出している。白い肌が、月明かりに照らされて艶めかしく光っている。


「クロード様、一緒に寝ましょう?」


「いや、私はここでいい」


「だめです。風邪を引きます」


 彼女がベッドから降り、こちらへ歩いてくる。


 長い黒髪が揺れる。細い腰がくびれている。寝巻きの裾から、白い脚が覗いている。


 ──見るな。見てはいけない。


 だが、目が逸らせない。


「クロード様」


 彼女が私の目の前に立った。


 上から見下ろす形になる。


 寝巻きの胸元から、谷間が──


「さあ、一緒に」


「……わかった」


 私は観念して、ベッドに戻った。


 眠れぬ夜が、始まった。

【作者からのお願い】

もし、「おもしろい」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマーク登録をしていただけるとうれしいです。また「いいね」や感想もお待ちしています!

また、☆で評価していただければ大変うれしいです。

皆様の応援を励みにして頑張りますので、よろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ