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あまねえ師匠



休日の部活練習後、旧校舎の一角


「アナ、音が泳いでる。もっと前に出して」


「は、はいっ! すみません、あま姉っ」


天音の厳しい指摘にも、アナはちょっと笑って返す。


「すみません、じゃなくて、吹いて」


「うう、こわい~……でも、あま姉が言うとやる気出るんですよね、不思議と」


天音は少しだけ、照れたように目をそらす。


「ちゃんと見てるからよ。……それに、アナはやればできるんだから」


その横で、紗耶が笑顔で言う。


「うちの師匠、今日はご機嫌ですね」


「誰が師匠よ。ほら、紗耶も。三拍子の切り返し、甘くなってる」


「へいっ、あまねえ師匠!」


「甘くねえなあ〜」


「あまねえだけに?(笑)」


「いうなよ、ほんとに(笑)……」


けれど、その声にはとげがなかった。

航はそのやり取りを、遠巻きに見ていた

優しい表情を見せている姿が、どこか意外に思えた。


天音は人に優しいはずなのになんで自分にだけ嫌味ばかりいうのかなあ…


航には全然わからなかった







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