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先輩の退部

遥先輩は翌日も傷だらけの腫れた顔で登校してきた 

登校するということはあの傷で人前に出てる。

見られるということだ。

みんなそれだけでも信じられないとあちこちで話していた。

その反骨精神とでも言うのか…

気にしないそのたくましさとでも言うのか…

痛くて笑うことも話すことも不便…

女子、それも見た目を気にする年なのに…

先輩はその顔で毎日…

少しずつ状態はよくはなっていたが…

怪我の状態はとてもホルンを吹ける状態ではなかった

当然部活は休むことに…

-

事件は学校中が知っていた

噂では家でケンカしたらしい。それも派手にやってしまった。でもそれもかなりいつものことで多いらしい…

それくらいは知ってるやつはたくさんいたがでもそのケンカの原因までは知らなかった

あの事件のあと当然吹部でも話題になった。


「聞いた〜遥先輩しょっちゅうケンカするらしいよ。それも殴り合いだって…」


「遥先輩の家ってどうなってるの…格闘家?」


「遥先輩武闘派だったんだね〜(笑)」


などという変な噂まで広まっていた。

それを不味いと思ったのか遥先輩と仲のいい3年生のパートリーダーの先輩が他言無用だからねと念押してぽつりぽつりと話してくれた。


遥先輩は、母親を小さい頃に亡くしていた。

父親もその後なぜか家を出た。先輩は一人残された。

それからは、祖父母に育てられたという。


特に祖父は厳格でやたら教育熱心な人らしい。

「音楽なんて必要ない」

「勉強して、一番の大学に行け」

──そんな考えの持ち主。

今でも女に勉強は必要ないとかいう時代錯誤の人はいるみたいだが逆に先輩の家は勉強しろという。それ以外は認めないというのもすごい話だとみんなで言いあっていた。

だが、この高校ではみんな上を目指していることも確かだ。

それを目的にして入学してくる。

だから、勉学優先して他は…というのはあながちここでは間違った選択ではないようだが…

誰もがそこの本音を隠して毎日を送っているものがほとんどだ。

殴り合いのケンカしてまでなにをしたかったのか…

そう思っている者も…


それから、しばらくして

遥先輩は部を辞めた


誰も、止められなかった。

誰も、助けられなかった。

誰も止めなかった…

誰も助けなかった…

音楽を続けたかったのか…それとも…


あっさり部を辞めたことが航にはわからなかった…


航は、見えない重たいものを胸に抱えてるようにみえる、遠ざかっていく先輩の背中を思った。


──好きなだけじゃ、続けられない。

まだ子供の高校生…家庭や周囲の理解と協力がなければ…


その現実を、嫌というほど叩きつけられた気がした。

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