表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/20

第13話 “夢界サミット”開催!──聖女、寝言で予算を決める

夜。

私はふかふかの布団にくるまりながら、マリアに聞きました。


「ねぇマリア。“夢界支部”って、結局どうなりましたの?」


「はい。“お嬢様が眠ると自動で各国の代表が召喚される”とのことです」


「……こわい仕組みですわね」


「殿下曰く、“国連より出席率が高い”そうです」


「寝坊したら欠席ですものね」


「まさに“出席=睡眠”。健康的な政治でございます」


「褒めていいのか分かりませんわねぇ……」


私は湯たんぽを抱えて欠伸をしました。


「まぁ、寝ながら平和になるなら、それもいいですわね」


そして、すぅっとまぶたを閉じました。


――――――


――夢の中。


「本日、第1回“夢界サミット”を開催します!」


司会役の夢マリアが高らかに宣言。

円卓の上にはパン、にんじん、トマト、そして……なぜか枕。


「聖女リリアナ様、開会のご挨拶を!」


「ん……すぅ……Zzz……」


「……ただいま、“神の沈黙”が始まりました!」


「沈黙こそ、最高の開会宣言!」


夢の議事録係が猛烈なスピードで筆を走らせます。


「本日の議題は、“夢界予算分配”についてです!」


「……むにゃ……あんまり無駄づかいしちゃ……だめですのよ……」


「“倹約の御言葉”が下った!!」


「第1条:夢界予算、節約を旨とする!」


「……パンは……多めに……」


「“福祉支出拡充”です!」


「第2条:パン配布制度、拡大!」


「……おやつも……」


「第3条:おやつ補助金創設!」


「……ふかふか……」


「第4条:国際平和の象徴として“枕共有協定”を締結!!」


――満場一致。

世界の夢が、寝息のリズムで決まっていきました。


――――――


翌朝。

私は気持ちよく目を覚ましました。


「マリア、おはようございます。よく寝ましたの」


「おはようございます、お嬢様。……世界もよく落ち着きました」


「まぁ、良いことですわね。昨夜は何かありました?」


「ええ、“夢界サミット”で来年度の予算が成立しました」


「よかったですわねぇ……って、予算!?」


マリアが真顔で頷きます。


「総額、にんじん一万束分です。パン・おやつ・枕に配分されます」


「どんな予算構成ですの!? おやつが入ってますの!?」


「はい。“聖女の寝言”に明記されておりました」


「寝言って……わたくし、何を言ってたのかしら……」


「“クッキーもあったほうがいいですわ”と」


「恥ずかしいですわねぇ!!」


ベルナーが横から報告書を掲げます。


「お嬢様、夢界通貨“スリープル”も発行されました!」


「寝てる間に通貨が増えてますの!?」


「価値基準は“睡眠時間”。長く寝るほど裕福に!」


「……健康的ではありますわね……」


マリアが笑いました。


「“寝れば寝るほど豊かになる”――この国の理想がここにあります」


「なんだか世界が、ゆるい方向に行ってません?」


「はい。でも、戦争も怒鳴り声も消えました」


「……まぁ、それなら……」


私は再びあくびをしました。


「お嬢様、まさかまた寝るおつもりですか?」


「ええ。“補正予算”が必要かもしれませんもの」


「お嬢様、それ以上は……!」


でももう遅かった。

私はふわりと眠りに落ちました。


――――――


夜。

各国の新聞が同じ見出しを掲げました。


【第2回夢界サミット、即日開催】

聖女の寝言「おかわり、もう一枚」により、パン配布量が倍増。

各国代表、「実に温かい政策」と賞賛。


マリアは頭を抱えながら、それでも微笑みました。


「……お嬢様が寝ている限り、世界はきっと平和です」


「すぅ……Zzz……パン……ふかふかですわねぇ……」


その寝顔を見つめながら、誰もが思いました。

――この人こそ、本物の平和そのものだ、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ