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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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5か月目~第1週~キキョウの決意

あっちの世界(ファンタジーワールド)、聖地と呼ばれている場所。

そこに、3人の女神とキキョウがいた。


岳に試練を言い渡した、あの女神たちだ。


その3人の前に立たされているキキョウ。

彼女には何処から見ても、好意的ではない視線が向けられていた。


「で、あなたの決意を聞かせてちょうだい」

と3人の真ん中に立つ女神アテナが言う。


「どうなの?キキョウちゃん。あなたの役割、わかってるんでしょ、なのになんで」

と助け船のように優しく語り掛けたのは、アテナの隣にいた女神、アルテミスだ。


「ねえ、ほんの気の迷いよね、キキョウ。あなたが恋なんて」

そう言ったのは、アルテミスとは反対側にいた女神、ヴィーナス。


「ねえ、アトロ・キキョウ、よく考えてよ。あなたの人間の血を浄化するのに900年。そして女神見習いになって100年。女神への昇格は目前なのよ」

とアテナが再び口を開いた。


「私は」

そこでキキョウが口を開いた。


「私は、女神昇格のためにこの任務を志願したのではありません。

リアルワールドの女神伝説は私のルーツ、浄化されたとはいえ、私の中には人間の血が流れています。

成就の力の復活、これを見届けるのは私の責務だと思っています」

とキキョウ。


「だから、そう思ってるなら」

とアテナ。

少し苛立ちながら言う。


「あの、青年とのことは任務には影響ありません」

とキキョウが言う、先ほどよりも口調が強い。


「でもね、あなた。恋してるでしょ?」

とアテナ。


キキョウの雄太への思い、アテナにはお見通しだ。


「あなたとあの青年との最接近の時、恋のキューピッドができる天使を玲奈として送り込んだんのに」

とアテナ。

フィールズのことだ。


「天使の力で恋に落ちたのであれば、解除するのは簡単です。でも自発的でとなると」

とアテナがため息交じりに言う。


「キキョウちゃん、いい顔してるもんね。これぞ恋する乙女の顔だわ」

と口を挟んだのはヴィーナスだ。


愛と美の女神、ヴィーナス。

キキョウの本心をこの3人の中では一番理解していた。


「私は自分の気持ちに正直でいたいのです。でもご心配は無用よ。必ず任務は遂行します。

岳の成就の力をきちんと守り、そして取り戻す」

とキキョウ。


「そんな事言い切っちゃって大丈夫?

これが失敗したら、あんた永久にに見習いのままよ」

とアルテミスが心配そうに言う。


「私はキキョウノウエの娘、意思を継ぐ者。大丈夫、必ずやり遂げる」

とキキョウがはっきりと言った。


「そう」

仕方ない、と言う感じで頷くアテナ。


「でもなぜ、そんなに恋にこだわるの?あなたなら自制なんか簡単でしょう?」

と続けた。


「だって、岳が、毎日毎日、玲奈に対して愛を告げるの。

それを見ていたら、いいなって思っちゃって。

リアルワールドにいる間は、高校生の都留田キキョウ、恋もする普通の女の子でいたいの」

とキキョウ。


「わかったわ、アトロ・キキョウ。貴女を信じましょう。

決して揺らぐことのないように」

とアテナ言った。


「わかっています。それは、私の役目だから」

とキキョウは言うが、その目の奥にある苦渋の色を3人の女神は見逃さなかった。



「アトロ、何してんの?呼び出されちゃって」

と声をかけて来たのは、合宿の時、玲奈としてリアルワールドにいた天使フィールズだ。


女神たちの元から、やっと解放されたキキョウをみつけたフィールズは

すかさずキキョウに近寄ってそう言った。


「ホントに、なんでバレたかねえ」

とキキョウ。


「そりゃ、女神に隠し事なんかできるわけないでしょ。

それにしても、私が愛の背中押し、発動前する前にはキキョウの心が動いてたからねえ」

とフィールズ。


「自分に正直にね。せめてわずかな間だけでも」

キキョウは言う。


「でもそれが」

とフィールズが言いかけるが、それを遮るキキョウ。


「わかってる。それがつらい結果になっても。でも私は後悔はしないから」

と言い放つキキョウは、まるで恋する乙女の顔、になっていた。


「あんたさ、自分がやんなきゃいけないこと、わかってんの?」

と小さく囁くフィールズ。


しかし、その声はキキョウには届いていなかった。





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