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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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4か月目~第4週~テント

高校生男子の会話

女子たちが順番にシャワーを使っている間に、

岳と雄太は庭にテントを張った。


「わざわざ庭で寝なくてもいいのに。リビングでいいじゃん」

と岳は言うが、


「せっかくだからテントにしようよ。キャンプみたいだし」

と雄太。


内心、外じゃ蒸し暑いし、テントは狭いし、こんなやつと二人で?

と岳は思っていた。


「俺さあ、キャンプとかやったことなくて」

と雄太。


雄太はどう見ても、内向的なインドア派だ。

それもうなずけるが、


「家族でも?親とかに連れていかれなかったの?」

と聞いてみた。


「俺んち、祖母ちゃんと二人暮らしだから」

と雄太。


そういえば、雄太の両親の話は聞いたことがない。

入学式や文化祭、参観日などにも来ているのはいつもあのお婆さんだ。


「そっか」

とだけ言い、岳は黙々とテントを整えた。


準備が出来上がったテントは、大人二人が何とか寝られるくらいの大きさだ。

このテントをもって、岳と父の二人でよく出かけた。

岳が小さい頃は、余裕だったがだんだんと二人で寝るには窮屈になってきた。

その頃から、テントを持っての小旅行にはいかなくなっていた。


「岳んちは、仲がいいんだね」

テントに寝ころびながら、雄太が言う。


「家があったかい」

と言いながら。


「そうかな、普通の家族だけど」

と岳。


しかし、岳はそれ以上話さなかった。

自分の思う普通と、雄太の思う普通、これが同じとは限らない、そう感じたから。


「花火してた時、いなくなってたよね、お前とキキョウ」

と岳が聞いた。


「気付いた?」

と雄太。

少しだけ、声が上ずっている。


「で、進展はしたのか?」

と岳。


「あの」

増々言葉に詰まる雄太。


そして、ポツリと

「忘れられない、夏になった」

と言った。


やはり、雄太は気付いていない。

キキョウの本当の姿に。

岳はそう直感した。


「あのさ、お前と玲奈は付き合ってるじゃん。どっちから告白したの?」

と雄太。


岳は玲奈との馴れ初めを話した。

文化祭の最終日、体育館の裏で玲奈から告白されたことを。


「そっか」

と雄太。


「俺はキキョウと付き合えるのかな」

と雄太が続ける。


「でもさ。忘れられない夏、ってのがあったんだろ?」

と岳。


そんなこと言われたら大体の察しはつく。

岳だって、高校生の男子だ。


「告白、してみてもいいのかな」

と雄太がポツリと言う。


「あの、キキョウは拒まなかったんだろ?じゃ脈ありなんじゃないの?」

と岳は言うが、


「でも、なんかキキョウの態度、少し不自然だったし」

と雄太。


あの、キスをした時。

キキョウはまるで何かの台本通りに動いているような感じだった。

そのことを岳に話すと、


「お前、今までに女の子とキスしたことってあったの?」

と岳が聞いた。


「ないよ。幼稚園の時、クラスのまなちゃんからチューされたことはあるけど」

と雄太が言う。


「じゃあ、キスしたばかりの女の子がどんな態度とる、とか全然知らないんじゃん。

キキョウだって、緊張してんでしょ。あいつ、大人っぽいのは外見だけだし」

と岳は言った。


ここで、キキョウはお前の事なんか相手にしてないからだ、

そうとでも言ってしまいたかったが、ぐっとこらえた。


「文化祭か、俺も文化祭の時告白するか?どうしよう」

と雄太。


「急に話変えんなよ」

と岳は言う。


別に、明日にでも「告白」すればいいのに、そう思う岳だったが、

雄太としては、ここで拒まれたらこんな風に一緒に過ごすことも出来なくなる、それを思ったのだろう。


「俺はさ、お前の防衛隊長なんだから、チームに色恋持ち込めないんだよ」

雄太はそんなことも言った。

岳の力を守る、それが自分に課せられた任務、そう思っている雄太。


それが、「告白」することの歯止めになっている。

自分を納得させるように雄太は言っている、


が、しかし、

それはまるで告白なんかしてはいけない、その言い訳にしている、

と岳は感じていた。



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