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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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4か月目~第4週~忘れられない「夏」

夏の日の思い出。

キキョウの唇を雄太の唇が、ふさぐ。

ほんの一瞬だ。

すぐに顔を離す雄太。

線香花火の火玉はとっくに地面に落ちて黒くなっていた。


しゃがみこんでいた二人。

立ち上がり、キキョウの傍を離れる雄太。

そして、その場を動くことができないキキョウ。


少しいびつな形の岳の家の庭。

そこはちょうど皆からは死角となっており、二人のことは見えない場所だ。

少し離れてたところで、雄太が、


「あの、ごめん」

と一言。


顔を上げて雄太を見るキキョウ、

「なんで謝るの?」

と言いながら。


ほほ笑みながら雄太に近寄るキキョウ。

雄太の方が少し緊張でもしているかのように、顔をこわばらせた。


そして、もう一度、


キキョウが自分から、自分の唇を雄太の唇に重ねた。

さっきよりも少しだけ長く。


そして、雄太の手を取り、笑顔で言う。

「私の事、好き?」

と。


キキョウは、線香花火を見ながら懸命に習得をしていた。

若い男女が二人きりで、顔を突き合わせている。

そんな二人の次の展開を。


自分なりに習得した知識に従って、行動したらこうなったのだ。


「あ、あ、あ」

と雄太は明らかに動揺していた。


それでも、キキョウの顔をしっかりと見つめながら、


「好き」

と小さな声で言った。


「キキョウ?雄太も、どこにいるの?」

真帆の声がした。


いま、キキョウと雄太がいるのは、庭の片隅の植え込みの陰。

まるで皆から隠れているかのようだ。

姿が見えないことに気付かれた。


「この日の事、忘れないでね」

と囁くように言うキキョウ。


「忘れられない夏をありがとう」

雄太はそう答える。


短い会話の後、二人は皆の元へと戻って行った。


「ねえ、みんなで同じ花火やろうよ」

と二人を見つけた真帆が言う。


「さ、みんな並んで、一斉に花火に火をつけるよ、これを動画に撮るから。

バエるよ、きっと」

と真帆。


4人が並んで、同じ花火を持ちそれが同時に火花を散らした。

ちょうど滝が流れるように火花が弧を描いて地面に落ちる。

とてもきれいで幻想的な光景だった。


「わあー楽しかった」

そう言いながら庭から家に入る玲奈。


「でも、煙で体中臭くなっちゃったよ」

そう言いながら。

見れば、庭はまだ花火の煙のせいで霞がかかったように曇っている。


「風がないからかな、いつまでも空気が循環しないのは」

と岳。


その様子をみたキキョウが何かに気付いたかのように、その顔をこわばらせた。

そして、空を見上げ、それからゆっくりと真帆を見た。


「じゃあ、俺たちは庭でテントを準備するから」

そう言うと岳と雄太が再び庭に出て言った。


「寝るころには、煙の臭いが消えてるといいな」

そう言いながら、

岳と雄太はテントを広げ始めた。


「じゃ、女子チームは順番にジャワ―使うね、終わったら知らせるから」

と真帆が岳に言った。


母との約束通り、二人の女子、玲奈とキキョウを自分の部屋に連れてきた真帆。

そして、


「玲奈ちゃん、最初にシャワーどうぞ。匂い気になるんでしょ?」


「わあ、ありがとう。じゃあ遠慮なく」


真帆に言われて、玲奈はそのまま浴室へと消えていった。

入れ替わりのように、白猫チャミが真帆の足元にやってきた。


「にゃ」

そう言いながら真帆の足に絡みつくチャミ。


「あの、聞いて言い?」

とキキョウが真帆に言う。


「あの。貴女って」

と。


その時、白猫から妖精の姿に戻ったチャミュ。

その様子を見ても、真帆は動じることもない。


「やっぱり」

とキキョウ。


「あなたなら、もうわかったわよね」

と真帆が言う。


「あの、あなた守護の力をもっているのね。

やはりあなたも女神の伝承を受け継いでいるの?」

そういうキキョウに、


「私の防御の衣、なかなかの威力だったでしょ。

おかげで、岳の力を狙うやつらの攻撃を全部防いだわ」


「いつまでも煙が外に流れていかなかった、あなたが防御の結界で家ごと覆っていたからなのね」

とキキョウはすべてに合点が言ったかのように真帆に行った。


「そういうこと。わたし、岳の守護。あいつの能力が目覚めたころから、私の本能が動き始めたのよ」

と真帆。


傍らのチャミュも、うなずいていた。


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