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4か月目~第4週~合宿~課題、少し脱線

些細の事、だけど大切な事。

「じゃあ、キキョウちゃんはどんな人が理想のタイプなの?」

と真帆。

課題図書からの恋愛談義の流れで、真帆が聞いた。


「リソウノタイプ?」

キキョウの習得が及んでいない分野だったらしい。


「どんな男子が好きかってことよ」

とその日の玲奈、フィールズが小声でささやく。


「えっと、そうねえ。頭脳明晰で運動能力に優れていて、生殖機能に問題がな」

とキキョウがそこまで行ったところで、玲奈が止めた。


「ねえ、ちょっと」

そう言いながら、キキョウの口を押える玲奈、フィールズ。


「キキョウの理想?誠実でさわやかな人、だよね」

と玲奈がキキョウに言う。


「ええ、そうねえ」

とキキョウも口裏を合わせる。

さっきは何かいけないことを言ったらしい、のがわかったようだ。


「じゃあさあ、キキョウちゃんの歴代彼氏って何人くらいいたの?どんな子?」

と真帆が続ける。


その言葉を聞いた雄太が一瞬、たじろぐような仕草をしたのを岳は見ていた。

真帆は、雄太のキキョウを思う気持ちを知らないのだ。


「え?歴代?」

とキキョウ。


「うーんとね」

キキョウはと言うと、照れる様子もなくなんだか指を使って数えている。

両手では足りていないようだ。


「ねえ」

とまた玲奈がその仕草を静止させた。


「クラスメイトの男子の人数じゃないのよ?キキョウ、わかってんの?」

と玲奈。


ぽかんとして玲奈を見るキキョウ。


「だってさ、私の運命の相手ってことでしょ?

毎年、顔合わせさせられたから三桁くらいにはなるわよ」

とキキョウが玲奈にささやく。


「ああ、そういうことね。あんたやっぱり別格ね」

とフィールズ。


その間も、雄太はチラリチラリとキキョウを見ていた。

その様子を見た真帆が色々と察したようだ。


話はもうすっかり課題から脱線し、

それぞれの恋愛事情に変わっていた。


「まあ、今までの事はさておき、キキョウちゃんは今は彼氏とかいるの?」

と真帆が改めてキキョウに聞いた。


「え、いないよ」

と目を伏せながらもキッパリと答えるキキョウ。


「え、そうなの?キキョウさん。なんか以前住んでたところに忘れられない人がいるって、聞いたんだけど」

と雄太が急に口を挟んだ。


「え?えっと」

とキキョウは以前の事を思い出す。

そう言えば、萌の家にお泊りした時、そんな話をしたような気がする。

なんで、雄太が知っているんだろう。

そんな疑問はあったが、


「あれは、片思いって言うのかな。付き合っていた訳じゃないよ、勝手に憧れていたったってやつかな」

とキキョウ。


「ふうん、じゃあ誰かと付き合うつもり、とかはあるの?」

と真帆がさらに聞く。


「そうね」

とキキョウが曖昧に答えた。

その横顔を雄太がしっかりと見つめていた、それも真帆は見逃さなかった。


そんな話をしている間に、時刻は昼になろうとしていた。

母との約束通り、昼食はデリバリーでピザを頼んだ。


テーブルにピザと飲み物を並べて、みんな食べる。

こんな食事はキキョウにとってはこの世界に来てから初めて体験することだ。


キキョウがピザと一緒に頼んだサラダを小皿に取り分けて雄太に渡す。


「ありがとう」

そう言って受け取る雄太。


その時、少しだけキキョウと雄太の手が触れあった。

ほんの一瞬だ。


ハッとして、雄太を見るキキョウ。

雄太もキキョウを見つめていた。


目が合う二人。

その時、キキョウの胸が、ドキンと高鳴った。

キキョウにとっては予想もしなかったことだった。


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