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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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4か月目~第3週~チャミュの仕業

合宿日、両親はおでかけします

「まあ、なんて素晴らしいの!」

岳の家。

夕食時のことだ。


母の悲鳴に似た声が響いた。

悲鳴、と言ってもその言葉には、まるで音符でもついているかのようにはずんでいる、

そして母が唄うように話す。


「夢みたい」

と。


その日、父が勤め先からぺ宿泊券と言うものをもらってきた。

近郊にある、最近オープンした高級ホテルのスイートルーム、ホテル内のレストランでの

朝食と夕食がついている。


「取引先からもらったんだ。役員接待用だったらしいんだけど、役員に急用ができてしまい、都合がつかず、俺に行けだと」

と父。


「どうだ、せっかくもらったんだし、行ってみないか?

1泊くらい、真帆と岳で留守番くらい出来るだろう」

と父が続けた。


「ここ、話題のホテルよね、そのスイートだなんて」

と母の声が高くなる。


「どう?」

と父が尋ねると、


「もちろん、行きましょう。

真帆、岳、よろしくね。セバスチャンとチャミちゃんのごはんとかお散歩とか。

あと、火の元には気を付けて、夕食はもうデリバリーにしなさい。あと、お風呂のつけっぱなしと」


「大丈夫よ、そんなこと」

止まらない母の話を真帆が遮った。


「で、いつ行くの?」

と岳が聞く。


「あれ、この日は」

母が、宿泊チケットに記されている日付を見て声を上げた。


「この日、岳のお友達が来る日じゃない」

と母。


岳も真帆も日付を覗き込む、そうだこの日は「合宿」をする日だ。


「どうしましょう、ねえ、パパ、日にちは変えられないの?」

と母が焦りながら言う。


「それは無理だな。変更は出来ないよ。そうか、前言っていた岳のクラスメイトが来る日だったか」

父もうっかりしていたと言った表情だ。


「ねえ岳、合宿の日程変更ができないのかしら?」

母が今度は岳に言う。


「そんな、今更」

と岳。


合宿の日はもう目前だ。


「まあ、直前だから行けなきゃ別の誰かに回してもくれていい、と役員からは言われているし、

仕方ない、明日、会社で誰か探すよ」

と父が言う。

が、


「え、そんな。せっかく役員さんに頂いたチケットなんだから行かないと。

あなたの今後に関わるじゃない」

と母が言う。


「合宿は、誰かいないの?一緒に来てくださる親御さんとか」

と母が苦肉の策を出す。


「ねえ、私がいるじゃない。もう成人した大人よ。私が監視してるから大丈夫よ」

と真帆が声高らかに言う。


確かに、真帆はしっかり者で、両親からの信頼も厚い。


「食事はデリバリーにするから家で火は使わないし、寝る前にすべての電源を落とすからお風呂つけっぱなしの心配も無用よ」

と真帆。


「それでもねえ、親のいない家にお泊りは」

と母が言う。


「それも、女の子たちは私の部屋に、岳たちは庭、これは守らせる。ちゃんとリアルタイムに動画送るから」

と言う真帆に、


「母さん、真帆たちを信用しようよ。羽目を外すようなことはしないはずだ、なあ、岳」

母と岳を見ながら父が言った。


「そう?そこまで言うなら」

と母が言うと、


「じゃ、決まりね」

と真帆。

なんだか満足げだ。



部屋に戻ると、チャミュが待ち構えていた。


「ね、ね、岳。パパとママはお出かけすることになったでしょ」

とチャミュ。


「お前の仕業か」

岳の言葉に、


「だってさ、パパとママがいたらキキョウと雄太の忘れられない夏ってのに支障が出るでしょ。

だからさ、協力したんだよ」

満面の笑みでチャミュが言う。


「そりゃあ、ご配慮ありがとさんよ」

と岳が言う。


「でもな、あのチケットって本物なんだよな?使えるんだよな?ホテルについてフロントに出してみたら葉っぱだった、なんてことはないよな?」

と岳が念を押す。


「当たり前だよ、本当にスイートルームにお泊りできるよ。僕はタヌキじゃないんだから葉っぱのまやかしなんて使わないよ」

とチャミュが不満げに言う。


「なら安心だ。で、玲奈は誰になるのか分かったの?」

と岳が聞くと、


何やら調べる仕草のチャミュ。

そして、


「あいつかあ、それはそれで問題かも」

とつぶやいた。


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