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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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4か月目~第3週~合宿計画

合宿出来そうです

「キキョウさんとの思い出を作りたい。忘れられない夏にしたい」

と岳が雄太に言われたのは、夏休みに入る直前だった。


「なんだよ、いきなり」

と岳。

雄太がそんなことを言ってくるなんて、意外過ぎて少し面食らった。

まだ、雄太の印象と言えば陰キャ、オクテ、女子なんかと話もできない、そんな感じだったから。


この前、二人でパインストアに行ったのは最強クラスの勇気を振り絞ったのだろう。

場所のチョイスにしても、ここなら自分の得意分野、ボロが出ることはない、そんな思惑があったに違いない。あれは、雄太がキキョウを自分の趣味につき合わせた、そんなもんだ、と岳は思っていた。


高校2年の夏休み、それはまさに青春を謳歌するのが宿題のようなものだ。

学校では、クラスメイトが夏の予定を楽しげに話している様子が、あちこちで見かけられた。


「来年の夏休みは、無いも同じだからなあ」

と雄太。


来年、高校3年生。大学受験ってやつを控えている受験生だ。

夏休みは、勉強に明け暮れることになるだろう。


そして、その頃、もうキキョウはこっちの世界にはいない。


「なんかご要望でもあるのか?」

雄太の言葉を聞いた岳が言う。


「そんな、忘れられない夏だなんて、気合入ってるじゃん」

と。


「思い出がほしいんだ。来年の夏じゃ遅いから」

と雄太がポツリと言った。


「雄太?」

と岳が雄太を見た。

雄太はキキョウの正体を知らない。

この試練の時期が済めば、あっちの世界に帰ってしまう事も知らないはずだ。


それなのに、キキョウとの時間が限りあるものだと分かっているかのような、

雄太の言葉に驚いた。


「来年は」岳が聞くと、


「来年は高3だ。忙しい夏になるからね」

と雄太が答えた。


どうやら、キキョウの処遇についてはうまくぼやかされているようだ。


「じゃ、例えば、どこか行きたいとかあるの?」

と岳が聞くと、


「遠くじゃなくていいから、丸々1日、一緒にいたいんだ」

雄太がすかさず、そう答えた。


「そりゃあ、意味深だ」

と岳。


「変な意味はないよ、ただ24時間一緒にいたい、それだけ」


「それなら旅行に行くとか?」


「いや、旅行だなんて、高望みがすぎるだろう」


「じゃ、キャンプに行くとか」


「いや、旅行と同等だろう」


「じゃ、なんなんだよ、何がご所望なんだよ」

と岳。


「うん、それは」

とそのまま口ごもる雄太だった。


そんなやり取りがあったのが、終業式の日だった。


「あいつ、散々悩んで、みんなで合宿ってのを思いついたのか」

と岳。


旅行と大差ないじゃなか、内心思ったが改めて、


ーそれなら、思い出の合宿になるように、協力してやるかー




「ねえ、夏休み中、クラスの子たちと庭でキャンプしてもいいかな」

とある日の夕食時、岳がこう切り出した。


「キャンプ?うちで?」

と母。


「まあ、今年の夏休み、旅行の予定もないからなあ。いいじゃないか?」

と言ったのは父だ。


「へえ、楽しそうじゃん。私も参加してもいい}

そして姉の真帆は乗り気だ。


「で、メンバーは?亮君たち?」

と母。


亮は何度か岳の家に泊まりに来たことがある、

その時も、庭にテントを張ってキャンプしたっけ。


「今回はね、同じクラスの雄太ってやつ、それから」

と岳が言うと、


「それから?」

と母が顔をピクリとさせた。


「玲奈とキキョウ」

と岳。


「なに、女の子も呼ぶの?」

と母。


「夏休みの課題の共同研究、この4人でチームなんだよ、その打ち合わせも兼ねて」

と岳は言うが、


「ふうん、そういうことね」

と真帆がニヤリとして言った。


「そうなの。じゃあ、その雄太君はいいわ。庭でキャンプしなさい。

でもね、女の子はお泊りはだめよ。打ち合わせで家を使うのは構わないけど、遅くならない間におうちに帰すこと」

と母。


この計画、マズったかもしれない。

うちで4人でキャンプ、いい案だと思ったのに。

玲奈はともかく、キキョウが泊れないなら意味がない。


「じゃあさあ、女子は私の部屋に泊まらせるわ。私が監視するから。

それでどう?」

と真帆が母に言う。


「そう?じゃあ、仕方ないわねえ。消灯は23時よ。それ以降はそれぞれ部屋と庭に引き上げる事、もちろん行き来は厳禁。いいわね」

と真穂の申し出に母が条件を付けて同意した。



それを知ったチャミュがにやにやとしながら、


「じゃ、僕に任せといて。当日は、パパとママはおでかけしゃうからねー」

とウインクをしながら言った。


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