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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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3か月目~第4週~あの「教会」

ついに新しい事実が明確に

目の前に現れたあの「教会」

ここには、キキョウも、玲奈もいる。

それならば、出没する条件はそろっている、と岳は思った。


しかし、ここは。

あのかつて白崎の森があったとされる場所とは少し離れている。

それでも協会が現れた。


「ここも白崎の森なのよ」

とキキョウ。


見ると、チャミュが先頭になり教会にはいろうとしている。

すぐ後に続くのは雄太だ。

慌てて二人を追う岳とキキョウ。


以前、神父の本田と来た時には扉にカギがかかって中に入ることができなかったが、

今は扉は開くことができた。

中に足を踏み入れる4人。


いつの間にか、雄太が一番前を歩く。

迷いもせず、礼拝堂の奥にある部屋に向かう雄太。まるでこの場所を知っているかのようだ。


そこに、あの「天使の彫像」が置かれていた。

玲奈が壊した物と同じようだ。


「見つけたよ」

と雄太がチャミュに言う。


そっと天使の彫像を持ち上げると、壁の窪んだ部分に置く。

ちょうどぴったりに収まった。


「よかった。やっぱり君だった」

とチャミュ。


頷くように、二人を見つめる玲奈とキキョウ。

この状況に、訳が分からず立ちすくんでいるのは岳だけのようだ。


「説明してよ」

やっとのことで岳が言う。


「そうね」

と玲奈。


「じゃあ、僕から」

とチャミュ。


「岳の力、これには自覚があるよね」

そして静かに話し始めた。


岳の持つ「成就の力」

これはかつて「キキョウノウエ」と呼ばれたこちらの世界に迷い込んだ女神の愛した、トウイチロウの持っていた能力だ。

あっちの世界に連れ戻されるとき、彼女はその力をこちらに残した我が子が受け継ぐように仕向けた。


時が過ぎ、人間の世界で特殊な能力が必要とされなくなったことを知った

女神たちは、キキョウノウエの子供と子孫を探し、能力の奪還を図ったが、

その能力は、子と子孫なら、「誰にでも」宿る力ではなかったのだ。


ある条件を満たした者だけが受け継ぐ「成就の力」


それが岳だった。

そのことを、察知した女神がこっそりと取り戻そうとしたが、

玲奈が天使の像を壊したことで断念することになり、再度試みていたのだ。


その間、「成就の力」を保つために、岳には玲奈へ「愛する気持ち」を毎日告げる、という試練を課した。

そして、再度、天使の像を操る者が現れた。

それが雄太だ。

雄太は、天使の像をしかるべき場所に移動した。

これで準備完了。


このまま、毎日、岳から「成就の力」を引き出せば、この試練が終わるころには、

彼から力を取り尽くすことになるだろう。

そうすれば、長きにわたる悲願であった「成就の力」を女神の手元に戻すことが出来るのだ。


「そんな。そんな力なんか俺、いらないから今すぐにでも戻してやるのに」

とひとしきり聞いた岳が言う。


「だよね、岳ならそういうよね。でもね、すぐに君の持つ力をすべてもらうことが出来ないんだよ」

とチャミュ。


「めんどうくさいな。女神だったら、俺から力だけ持っていくとか簡単にできるんじゃないの?

変な呪縛に駆られてるみたいでいやなんだけど」

岳はため息をつく。


そして

「じゃ、俺が毎日、玲奈に好きだ好きだ、と言い続けるのは変わらずってことね。

わかったよ。

それが済めば、そんな力はさっさと返す。だから必ず玲奈を元に戻してくれ」

と岳が力を込めて言った。


チャミュはそんな岳にただ頷いていた。

玲奈とキキョウもだ。


「でもさ、雄太、お前も巻き添えってことか?」

と岳が雄太に言った。


「いや、俺は、俺の家は代々、女神の守護をなり合いとしていたようだ。

だから女神の首飾りもある。

ここも、なんだか違和感がない。それによく夢に出てくるんだ、ここ」

と雄太。


「俺の役割は、岳、お前がその力を無事に女神に返すのを見届けることだ」

と雄太が続けて言った。


しかし、雄太にとってこの先キキョウと共に、何かに立ち向かう、その方が大きかった。

キキョウがいなければ、今日この場に来ることもなかっただろう。

改めて、キキョウへの思いを募らせる雄太。


ー雄太は、キキョウがあっちの世界の住人であること、それには気づいていなかったのだがー


「で、お前、玲奈、今ここにいる玲奈が毎日入れ替わってるって知ったの?」

岳が、雄太に聞いた。

この状況でも、まったく冷静な雄太。

まるですべてを察しているかのようだ。


ーキキョウのこと以外ー


「ああ、なんかおかしいなって思ってた。毎日、空気が違うし。気配も違う。

そりゃあ、わかるでしょ」

と雄太はあっさりという。


「それで、あんなに普通にしてたって、あんた大物だね」

と玲奈があきれたような、感心したかのように言う。


「雄太の感性は異次元だもんね」

とキキョウ。

その言葉に、思わず笑みが漏れる雄太。


岳と日替わりの玲奈、それからキキョウ。

この4人で、自分たちは試練に立ち向かう。

力を合わせて、乗り切るんだ。


これは、雄太が初めて感じた、仲間意識だった。


「でもさ、そうならそうと、もっと早く言ってくれればよかったのに」

と岳が言うと、


「今日で17歳でしょ。

あっちの世界では一人前。後見人なくても、交渉ができるの。

それまで、待ってたのよ」

と玲奈。


「そっか、一人前か。

後見人ってなんだよ?俺にそんなのいたのか」

岳の言葉に、


「わからなかった?

祖先のひびきお祖母ちゃんが後見人として、いつも守ってくれてたじゃない」

今度はキキョウが言う。


「え?ひいひいひいお祖母ちゃんの?」

岳が感心したように言う。


「でもね、これからは完璧には守られないから、自分でなんとかしないと。

力を狙う敵は多いんだよ。

雄太やキキョウが護衛につくけど、岳、自分でも自立しないよね」

とチャミュ。


「やっぱり狙われるのか」

岳が肩を落として言う。


前から、自分の持つこの「成就の力」これを狙う者がいる、チャミュから聞かされていた。

まるで、ゲームのような話だ。


「ま、俺たちが守るから、心配すんなって」

と雄太がそう言いながら、岳の肩をポンと叩いた。


その手から、強い「仲間意識」が伝わってくるのを岳は感じていた。

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