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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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3か月目~第2週~試験が終わり

試験も終わり、デートの約束のキキョウ。

玲奈がカンニング騒ぎにを起こしかねなかった初日の試験。

キキョウの力で、なんとか誤魔化すことが出来た。


翌二日目は、「教科書を丸覚え出来る」玲奈。

その翌日、最終日は「趣味で、リアルワールドの学問をしている」玲奈。

がやってきた。


そして、最後の科目が終わり、今回の定期試験はすべて終わった。


「ふう」

とため息をつくのはキキョウだ。


「キキョウちゃん、手ごたえは?」

そう聞くのは萌だ。


「まあまあ、かな。萌ちゃんは?」

とキキョウ。

こういう時は、まあまあ、とか ほどほど と答えるのが無難だ、と習得していた。

そして同じ質問を返す。これも学んだことだ。


「私も、まあまあ。でもこれで後は夏休みを待つだけだよ」

と萌が明るく言う。


この試験が終わると、夏休みまで登校も少なく、自由な時間が増えるのだ。


「ねえ、キキョウさん、約束、覚えてる?」

と雄太がキキョウの側に来て言った。


約束、そういえば、約束をした。


「覚えてるよ、一緒にパインストアに行くんでしょ」

とキキョウ。


キキョウの返答に安堵する雄太。


「じゃあ、明日、どう?」

と雄太が言う。

明日は試験採点のため、自宅学習となっていた。


「遠出してもいいの?」

とキキョウが言うと、


「パインストアでプログラミングの勉強しに行くんだよ」

と雄太。


自宅学習日、まあ、先生たちは試験の採点でいそがしいから、生徒は家で自習でもしてろ、ってことだ。

ふらふらと遊びに行くのはもってのほか、と釘を刺されていたが、

まあ、一応、言い訳はできるだろう。


「じゃあ、明日、白崎駅に10時待ち合わせでどう?」

と雄太。

キキョウが頷くと、雄太は満足げにそのまま部活に向かった。


試験終了のこの日から、部活動が再会される。

そのまま下校するのは帰宅部の面々だけだ。


キキョウと岳が二人で校門を出る。

二人とも部活はやっていない帰宅部だ。

玲奈もこの日は部活動に参加するため、岳と一緒ではない。


二人の後姿を、校舎の窓から雄太が眺めていた。

「なんで一人で帰らないんだ」

と言いながら。


「まあ、明日。勝負だ」

と独り言を続ける雄太。何か思うところがあるらしい。


翌日、約束の時間、朝10時。

その10分以上前から白崎駅の改札口で雄太が待っていた。


時間通りにやってきたのはキキョウだ。

早めに行くなどと言う思考は彼女にはなかったようだ。


「おはよう」

そう言いながら、小走りでやって来たキキョウ。


その日のキキョウは、モスグリーンのワンピースにクリーム色のカーディガン。

髪をハーフテールに結い、きれいな髪留めを付けていた。


その姿に、思わず見とれる雄太。

キキョウは、全精力をかけ「おめかし」をしたのだ。


メイクこそしていないが、唇にはリップが塗られツヤツヤと輝いている。

黒く長いまつげはカールされて、知的な瞳を際立たせていた。


私服姿のキキョウを見るのはこの日が始めてだ。

いつも学校で見るキキョウとは別人のような姿に、雄太は少し戸惑いさえ覚えていた。


「で、行こうよ」

とキキョウ。


そう言う雄太はジーンズにシャツ、そしてリュックを背負っていた。

まるで「オタク」と呼ばれるいで立ちだが、

雄太は雄太で、精いっぱいのコーディネートのつもりだ。


二人で電車に乗り、パインストアのある都心ど真ん中に行く。

ラッシュ時刻を過ぎた平日。

電車内はすいていた。


座席に座り、二人でたわいもない話をする。

雄太としては、聞きたいことがたくさんあったが、あえて黙っていた。


いまはキキョウと二人の時間を楽しみたい。

と。


電車が地下に入った。

二人が座る正面の窓に姿が映った。


車窓に映る、雄太とキキョウ。

その姿を見た雄太が、


「キキョウさん?」

と驚いたように言い、隣のキキョウを見た。


「どうしたの?」

そう言うキキョウに、


「いや、窓ガラスに映ったキキョウさん、別人のように見えたから」


その時、電車の車窓には、本来のアトロ・キキョウの姿が映っていた。

そして、それを見ることができるのは「女神伝説」の関係者だけだ。


「そうなんだね」

とキキョウは小さく呟いた。


キキョウが雄太を「確認」した瞬間だった。

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