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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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2か月目~第4週~それはデート?

試験の前なのに、デートの相談

「私さ、試験が終わったら雄太と一緒にパインストアに行く約束したんだよ」

とキキョウが言った。


ここは岳の部屋。

そこには岳、玲奈、そしてキキョウがいる。

どういうわけか、チャミュは姿が見えない。


さっき、雄太と一緒に下校し、白崎駅で降りたキキョウだが、力を使いこっそり岳の部屋に来ていた。


「なんだよ、お前まで」

と岳。


今日は玲奈と試験の打ち合わせをするつもりだったのだ。


「試験対策、私がいてもいいじゃない。その方が役に立つし。

日替わり玲奈じゃ、情報共有が大変よ」

キキョウは言い訳をした。


「でもさ、キキョウは試験の事じゃなくて、パインストアの事を話しに来たんでしょ」

玲奈にそう言われ、


「そうなのよ」

と雄太に誘われた経緯を話した。


「それって」

と玲奈。


「それ、デートに誘われたってことじゃないの?」

と続けた。


「え?デート?」

とキキョウはきょとんとしている。


慌てて知識を補充する。


「デート」

男女が二人で出かけること。

映画を見たり、観光地に行ったり、ショッピングをしたり。


そして、いい雰囲気になると、その後の展開が起こることがある。


「なに?」

とキキョウは一人顔を赤らめている。


「キキョウはデートなんかしたことないもんね」

と玲奈。


「詳しいんだな、キキョウの事に」

と岳が玲奈に聞くと。


「だって、私は、女神の世話係だもん」

と玲奈。


「そうだよ、そして私たちを監視してる奴らだよ」

キキョウはそう言い、少し笑っていた。


「女神の世話と、見習いたちの素行監視役も兼ねているのよ」

そう言うと、玲奈は自分の姿を鏡に映した。


そこには、

中世が舞台のドラマに出てくるような長いスカートの女性が映っていた。


「ほんとに、見習いの子たちって、喧嘩ばかっかり。見てて嫌になるわよ」

と玲奈。


「嫌な奴らはそっちだよ」

とキキョウはその監視役が気に食わない様子だ。


「仲悪いのなんか当たり前でしょ。みんな他を蹴落とすことしか考えてないんだからね。

大切なことに、気づいていない」

とキキョウ。

悟ったような言い方だ。


「ねえ、玲奈。キキョウはどうなの?見習い女神としては」

と聞く岳。


キキョウを見ながら、玲奈が話し始めた。


「キキョウはね、特別な存在。有能な見習いよ。」

と。


「ふうん、有能なんだな。女神になる日も近いのか」

岳が感心したように言うと、


「そんなに簡単じゃないんだよ」

とキキョウ。


「それに、仮に近かったとしても、ここでいうなら数百年って単位だよ。時の流れが岳たちとは違うんだ」

そう言いうつむくキキョウ、そのまま黙り込んでしまった。


自分が女神になる日が来たとしても、岳たちはもうこの世にはいないだろう。

時の流れ、キキョウはここでの生活で初めて意識していた。



「で、デート、どうするの?」

少し重くなった空気を断ち切るように玲奈に言われて、


「だってさ、行くって答えちゃったもん」

とキキョウ。


「じゃ、俺たちこっそり後を付いて行く」

岳が言う。


「わー楽しそう。その日の玲奈が私じゃないの残念よ」

と玲奈は笑った。


「楽しいといいね」

そ玲奈がキキョウに言った。


「楽しい?そんなことあるの」

とキキョウが言うと、


「きっと楽しいよ。ここはあっちの世界(ファンタジーワールド)じゃない。

都留田キキョウとして楽しんでおいでよ」


その言葉に微妙に顔を曇らせるキキョウ。

あっちの世界(ファンタジーワールド)、そうあっちの世界でのキキョウに楽しむことなどあり得ない。


「でもさ、雄太とはあまり親しくならない方がいいんじゃない?」

と岳。


「雄太の家は女神伝説と関りがある。もしも好ましくない関わり方だったら敵対することになるんじゃないの?」

と続けた。


「校外学習で気付いた?」

とキキョウが聞いた。


岳はキキョウや朝陽から自分が「腹痛」のため留守番をした白崎の森への調査の事を聞いていた。


「女神に関連する人物があの中にいる。一番有力なのは自宅に女神の首飾りがある雄太だ」

とふんでいる。


「大丈夫よ、キキョウなら。それくらいの気持ちのコントロールは出来るから」

と玲奈。


「でしょ?」

とキキョウに同意を求める。


「そうだよね」

とキキョウ。


「あまりやりたくないけどね」

と。


「で、なに?私が雄太と仲良くなると、いやなの?」

とキキョウが岳に言う。


「嫉妬とか」

と。


「おい、俺はだな、お前の事を思って言ったまでだ。

誰が嫉妬だなんて。」


「そうだよ、岳ちゃんは私にぞっこんなんだから」

と玲奈も言う。


その時、岳の部屋のドアが開き、白猫のチャミがすーっと入って来た。

いつにも増して、毛並みがきれいだ。


部屋に入ると、いつものチャミュの姿に戻った。

それでも、金色の髪がさらさらになっている。


「あのね、僕、トリミングに行ってきたんだよ」

とチャミュ。


猫の美容室だ。

身体を洗ってくれて、毛先をカットしそしてきれいにブラッシングしてくれた。

最後に、いい匂いのオイルまでつけてもらって、お肌はすべすべ、髪の毛はつやつやだ。


「ママがね、僕の事をかわいいかわいいって言って、いっぱい写メ撮ったよ」

とチャミュ。


「トリミングはお前だけか?セバスチャンは?」

と岳が聞いた。


「もちろん、セバスチャンも一緒だったよ。

今度ドッグランデビューするから身だしなみを整えに。

だから僕はオマケでセバスチャンのために行ったんだよ、トリミング」


「へー、セバスチャンもドッグランに行くのね。大きいから広いところで駆け回らないとね。

そのために、おめかしするなんて、ママさん気合入ってるのね」

と玲奈。


「おめかし?」

キキョウの解析が始まった。


「何かのイベントのある時には、気合を入れて洋服を選び、髪型やメイクにも気を遣う」

そんな理解だ。


「じゃあさあ、私もパインストアに行くときは、おめかしした方がいいんだよね?」

とキキョウが言うと、


「そりゃあ、そうだ。でもあの雄太、鼻血出すぞ」

岳はそう言いながら笑った。


「じゃ、キキョウのおめかしに協力。申し送りしておくね」

そう言ったのは玲奈。


「まあ、その前に試験、これを乗り切らないとだな」

岳がそう言うと、


キキョウも頷く。


「頑張るぞー 試験!」

元気よく言う玲奈に、


「いい気なもんよね、あんたは関係ないからって」

とキキョウがつぶやいた。

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