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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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2か月目~第4週~課外授業の余波

キキョウはモテますね

自分の魔力を邪魔するものがいる。

物なのか、者なのか、それはわからないが。

課外授業での一件以来、キキョウは周囲の様子に今まで以上に敏感だ。


「ねえ、キキョウちゃん」

萌が話しかけて来た。


「キキョウちゃん、最近目つきがするどいよね」

と。


「何かの拍子に、キッとした目で見るからちょっと怖くて。怒ってるのかな、って思っちゃう」

そう言う萌に、


「え、そう?そんなことないよ。怒ってるわけないじゃん。

あのショッピングモールでスリ集団に遭遇して以来、不審者?って思ってみちゃうだけかも。

気を付けるね」

とキキョウが言う。


「そっか」

その言葉を聞き、萌は納得したかのように、頷いた。



「私、目つき悪くなった?」

その日の帰り道、いつものように一緒の岳と玲奈に聞いてみた。


確かに、あの校外学習で「オーバーパワー」を起こして以来、周囲が気になる。

自分の力を抜き取ったもの、それは敵対勢力だ。

無意識のうちに、「敵」を見極めようと凝視していたのかもしれない。


「えー、そうかな。別に悪くないけど」

と玲奈。

岳もそうは思わない、と答える。


「萌ちゃんはキキョウにぞっこんだね、そんな些細なことにも気づくなんて」

と玲奈。


「雄太からも熱い視線を向けられてるよな」

そう言うのは岳だ。

岳はあの校外学習に行った日以来、田沼雄太がキキョウに好意を持っている

そう確信していた。

目つきが違うのだ。


「モテるな、キキョウは」

岳が言う。


「もう、そんなことないよ」

キキョウはそう言うが、実際にはよくわからずにいた。

自分は「好きだ」と言う感覚がわからない。

だから自分を「好き」になられても、どうしていいかわからない。


「私、少しの間、あっちの世界に戻るね」

急に話を変えるキキョウ。


家に帰った岳は、チャミュにキキョウが自分の世界に戻っていることを伝える。

しかし、チャミュはもうそのことを知っているようだ。


「この前の、オーバーパワーのことだね。あの原因を確かめに行ったんだ」

とチャミュ。


チャミュの話によると、キキョウの魔力はかなりレベルが高く、多少の事では力の使いすぎ、オーバーパワーなどにはならない。

キキョウの力を邪魔する、「何か」を確かめに行ったのだ。


「そっか、色々わかるといいな」

と岳。


と同時に、先日のキキョウを想いだした。

なんだか電池が切れたように、ピクリとも動かず自分のベッドに寝ていたキキョウ。

その様子は、あきらかに普通の人間ではなかった。

やはりキキョウは違う世界の住人なのだ。


翌日、キキョウは学校を欠席した。

転校してきて以来、初めての事だ。


「ねえ、キキョウちゃん、風邪だって。お見舞いに行こうかな」

萌が心配そうに言う。


「課外学習で具合悪くなってたし、体調良くなかったんだね。だったら、ゆっくりさせてあげようよ、

お見舞いなんか行ったら、気を使わせちゃうよ」

と朝陽。


ありがたい、意見だ

と岳は思った。


キキョウはあっちの世界に戻っているのだ。

自宅を訪ねられたら困るだろう。


その日は岳と玲奈、二人で下校した。

帰りに二人だけなのは、久しぶりだ。


「なんか寂しいね。キキョウがいないと」

と玲奈が言う。

その日の玲奈は、前日までの事はわからないはずなのに。


「申し送りがちゃんとしてるからね」

と玲奈。


「私は今日しかキキョウに会えないのにな。残念」


「また来ればいいのに」

そう言う岳に、


「私は来月結婚するから無理ね」

と玲奈。


「そうなの? それでも俺好きだって言わなきゃなんないんだけど、いいの?」

その日の試練、まだクリアしていないのだ。


「それとこれとは話が別なのよ」

と玲奈。


その後、しばらく格闘したものの試練をこなすことができた岳。

帰りの電車の窓に映ったその日の玲奈、背が高くとてもきれいな女性だった。

なにより、その顔に幸せの色があふれている。


翌日、キキョウが登校してきた。


「大丈夫なの?」

と駆け寄るのは萌。


萌と数人の女子生徒がキキョウを取り囲み、あれやこれやと世話を焼く。

ただ、カバンの中身を机の中に移すだけなのに。


その様子を見つめているのは雄太だ。

キキョウに声をかけたいが、弾き飛ばされでもしたような顔をして遠く離れたところにいた。


「おい、お前大丈夫か?」

女子の輪をかいくぐり、そう声をかけたのは亮だ。

亮は、雄太に比べるとずっと積極的だ。

その様子を遠くから眺めるだけの雄太、思わず唇をかんでいた。


「キキョウちゃん、一時間目、体育だよ。見学するでしょ?」

と萌。


見学、キキョウはその言葉を知らなかった。

分析をするが、どうやら体育の授業を欠席するには、親、キキョウの場合は叔父夫妻の


「今日は体育を見学いたします」

という一筆が必要なようだ。


そんなもの、書いてもらってきてはいない。

そもそも、病気などではないから、休むっていう考えに至らなかった。

しまった。


「でも、大丈夫よ。体育館だし」

とキキョウ。


それでも萌は心配そうだったが、キキョウは自分から体操服一式を持ち、

女子が着替える場所となっている家庭科室へと向かった。


他のクラスの女子も一緒だから、家庭科室は既に混みあっていた。

何とか場所を見つけ、着替えるキキョウと萌。


キキョウが、ブラウスを脱ぎ下着姿になった時、


「あれ、このネックレス」

と萌がキキョウが付けているネックレスを指さした。


「これ、女神の首飾りと同じよ」

と、そう萌は言った。

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