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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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2か月目~第2週~女神伝説

今日はキキョウと二人でのお出かけの岳です

日曜日、岳は白崎町の町内会集会所に行くことになった。

本田神父と会うためだ。


チャミュがあっちの世界へ行って確認をしてきてくれた。

あの神父にどこまで話していいのかを。


チャミュが言うには、

「本田さんに会うんだったら、キキョウを連れて行けって。

それから教会の事を話していいって。どうせしつこく聞かれるし。そしてたぶん連れて行けって言うと思うよだって」


「そうなんだ」


「でもね岳だけじゃ、教会は現れないんだって」


「なに?そんなことってあるの?」


そういえば、自分一人で教会を探した時には、見つけ出すことができなかった。

あんなに大きな建物なのに。


「そういうことか」

と一人納得する岳。


「それで、玲奈は一緒じゃなくていいの?」

と岳。


「別にどっちでもいいよ。

でも、できるならキキョウだけのほうがいいかな」

と言うチャミュ。


その言葉を受けて、岳はキキョウ一人を誘った。

白崎町の本田神父に会いに行こう、と。


日曜日、白崎駅で待ち合わせをした二人。

キキョウが下宿している叔父の家は、白崎町にある。


「岳、おまたせ」

そう言いながらやって来たキキョウ。


「帰りは岳と同じ駅まで行くわ。叔父さんに呼ばれてるの」

とキキョウ。


キキョウの叔父は玲奈の家のそばにある「都留田動物病院」の院長だ。

まあ、叔父一人で切り盛りしているのだが。


以前は病院と住居が棟続きとなっていたが、建物の老朽化で自宅を別の場所に新築したのだ。

そこが白崎町だった。


「手伝ってるの?」

と岳。


「そうよ。頼もしい助手なのよ。私は獣医になりたいってことになってるんだよ」


「ほんとのところは?あっちの世界(ファンタジーワールド)ではどうなの?」

と岳が聞くと、


「まあ、女神見習い兼、魔獣の医師もやってるわ」

とキキョウ。


「魔獣?」


「そうよ、いろんなのがいるわよ。火を噴くやつとかデカい牙とかするどい爪とか持ってるどう猛なやつらね。でも、ここでいうスズメや野良猫と同じ感じよ」

そう言うキキョウに、


「火を噴く魔獣がそこらへんにいるの?そのどう猛なやつらって、まさか肉食じゃないよね。

嫌だそんな世界」

と岳は驚いて言った。


「だから魔法使いや戦士や騎士がいるのよ。生身の人間じゃあ生き抜くのも大変よ」


「まったく、ファンタジーな世界だね」


そんな話をしている間に、二人は白崎町町内会集会所に到着した。

以前、女神伝説の話を聞きに来た時の玲奈はキキョウだった。


玄関で呼び鈴を押すと、すぐに本田神父が出て来た。


「やあ、よく来たね」

そう言いながら中に招きいれた。


「きみは」

とキキョウをみて首をかしげる本田。


「あ、初めまして。私は岳君の同級生の都留田キキョウといいます」

とキキョウ。


「そうかい、きみは」

本田はそう言うと口をつぐんだ。

そのまま岳とキキョウを集会所のリビングに通した。


女神伝説の講演会があった時にはたくさんの椅子が並べられていたが、

今日は4人掛けのダイニングテーブルが置かれているだけだ。


しばらくすると、お茶とお菓子をもって本田がやって来た。

テーブルにつく本田。


「この前の女神伝説、どうだったかい?」

と本田が話し始めた。


女神伝説でこの街の歴史に興味をもったか、など当たり障りのない話をしているが

岳はこれが本題ではないと分かっていた。


「キキョウさん、素敵なお名前ですね。キキョウノウエにあやかったのかな」

とキキョウを見ながら言う本田。

伝説の女神の名を持つキキョウに興味があるようだ。


「叔父から聞いたことがあります。女神伝説。叔父の妹である私の母もこの伝説のことが印象的だったのだと思います。私の名を付けたのは母ですから」

とキキョウが言った。


「しゃーしゃーとよく言うわ」

岳は内心思う。


「女神伝説にはこんな言い伝えもあるんですよ。この前は話さなかったけれど」

本田は息を吸い込むと、ゆっくり話は始めた。


「キキョウノウエと人間のトウイチロウの魂を慰めるために作った聖堂なんだが、

今でも存在しているという。選ばれた者の前にだけ、姿を現すと言われている。

岳君、君は古い教会を見たんだよね。それは聖堂ではないのかな。

もしよければ、今からその場所に行ってみないかい?」

と本田が言った。

最後の方は、言葉にかなり力が入っていた。


「そうですね、僕は見ましたよ、古い教会。この街の森の奥にあった」

隠すことなく岳が言う。


「この街の森、かなり昔に伐採されて今はもう住宅地だ」

と本田。


「でも僕はその森で教会を見たんです」

そう岳が言い切ったところで、本田が立ち上がり、


「やはり、その場所に行ってみないかい?」

と本田。

その言葉は有無を言わせない力があった。


集会所を出て歩き出す三人。

岳が教会を見たのは、白崎町の駅前を少し行ったところにあるショッピングモールを抜けたところだ。

そこに森があった。


同じコースをたどる。

白崎駅まで行き、そこからショッピングモール、そしてその先に進んだ。


すると、


目の前に、うっそうと木々の茂る雑木林が見えて来た。

岳が玲奈と一緒に来た時に見た光景と同じだ。


「ここです」

と岳。


「ここから森に入ったんだ」

岳はそのまま雑木林の中に進んだ。

本田とキキョウも後に続く。


入り口付近はまばらだった木々が、進むにつれてだんだんと密集してくる。

高く伸びた木は太陽の光を遮り、なんだか薄暗い。


前に玲奈と来た時と同じだ。


「この少し先、そこに教会がある」


岳の言葉通り、さらに先に進むと急に道が開け、そしてその正面に

古びた建物が現れた。


あの「教会」だ。


「やはりあったのか、そしてお前たちは」

本田がポツリと言った。

その視線が鋭く光り岳とキキョウをとらえていた。

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