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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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2か月目~第1週~後半

チャミュはすっかり猫のチャミとして馴染んでいます。

チャミュが岳の家のペット、白猫のチャミとなってからは

10日に一度、の担当者との特別な日というものはなくなっていた。


そもそも、20日目からチャミュが常駐することになったのだから、10日目に一度だけ、

特別な日を迎えただけだ。


「ねえ、チャミュ、1か月なんとか過ごしてきたんだから、なんかご褒美とかないの?」

と岳。


「1か月経過かあ、早いねえ。でもさ、岳。君たちは罰としてこの試練に挑んでいるんだよ。

ご褒美なんでおかしいでしょ」

とチャミュが文句を言う。


「でもさ、俺の例の力、貴重なんでしょ。それを作り出せる俺、すごくない?

少しは恩恵を受けてもいいと思うんだけど」

岳も引き下がらない。


「それは、そうなんだけど」

チャミュが急にトーンダウンした。


「じゃ、何してほしいの?」

とチャミュが聞く。


「玲奈に会わせて」


「それは無理」


「じゃ、期間を短くして」


「それも無理」


「じゃあ、成就の力を自分でも使えるようにして」


「それは」


「修行すればできるって言ったのに」


「使えるようになりたいの?」

チャミュが真顔で聞く。


「そりゃあ、望みが叶うんでしょ」

と岳。


「でも、玲奈を取り戻すとか、期間短縮とかは叶わないよ。女神の阻止が入るからね。それにそんな力こっちの世界では、あってはならないものだよ」

チャミュがそう言うと


「こっちの世界にも使える奴はいるんでしょ。なら俺もその力を持たないと

なんというか、守れない」


岳は成就の力を作り出せる自分は、使える力も持たないと均等が保たれない、と考えていた。

そして、その力は狙われることになるだろう、そうなると今のままでは守るすべがない。


「守るのは僕がいるでしょ」

とチャミュは言うが、


「一生、俺と一緒にいるわけじゃないでしょ」


岳の成就の力。

ファンタジーワールドでは、そう言う力を生み出す能力は生涯にわたり持ち続けるとされている。


「だってさ、1年たって玲奈を取り戻したら、チャミュやキキョウは帰っちゃうんでしょ」


「そういうこと」


「そのあとはどうやって守るの?、

それから、母さんや真帆が寂しがるよ、チャミ」


「たくさん、思い出を作っておくよ」

チャミュも寂しそうな顔になった。

岳を「守る」ことははくらかしたいのか、この時は触れなかった。


そう言う岳も、チャミュのいる生活がすっかり日常となっている、

毎晩、一緒に眠るチャミュ。

とても柔らかく、暖かい。


それがいなくなってしまうのか、考えたくない。

しかし、玲奈を取り戻へば、もうチャミュがここにいる理由がない。

でも、自分の成就の力を守る者としての頃事は出来るのでは?

と岳は思ったが、チャミュと同じく口には出さず、


「寂しくなるねえ」

そう言いながらチャミュを撫でた。


「やめろお」

チャミュは逃げ回る。


そんなある日の事、リビングで電話が鳴った。

たまたまそばにいた真帆が出る。


「はい、ああ、おひさしぶりです」

と真帆が電話口で話している。


そんな様子をちらりと見る岳。

知り合いからの電話だ、と思いそのまま部屋に戻った。


しばらくして、岳の部屋のドアを叩く真帆。

「ねえ、岳、入るわよ」

とドアを開けた。


岳は机に座り、真帆の方を見た。


「なんだよ?」

と言いながら。


「あのさ、白崎町の本田さん、歴史に詳しい神父さん、がね、一度岳と話がしたいんだって。

それで、うちに来たいって言ってるんだけど」

と真帆。


先ほどの電話は、白崎町の本田神父からで、かつて真帆の歴史の研究を手伝った際、

家の電話番号を伝えていたのだ。


「私も、久しぶりに会いたいな、本田さん」

と真帆、自宅に招く気満々だ。


「いや、来てもらわなくても、俺が白崎町の町内会集会室へ行くよ」

と岳。


本田神父が岳から聞きたいことはわかっていた、

自宅で、真帆の前で、廃墟と化した、今は見つけられない教会の中にはいった、なんて言えない。


「そっか、まあ、わざわざ来てもらうのもね、じゃ集会室に行ってくれる?

出来れば次の日曜日に」

そう言う真帆に、


「わかったよ、そう返事しておいて」

と岳、家に来られるよりマシだ。


「あらーチャミちゃん、こんなところにいたのね

とベッドの隅にいるチャミに言う真帆。


真帆がこの部屋のドアをあける寸前まで、天使のチャミュが岳を話をしていたのだ。

今はベッドの隅っこで毛布にくるまっていた。


「チャミ~、さ、下に行こうよ」

と真帆がチャミを引っ張り出そうとしたが、


「フーッ」

と言いながら拒絶するチャミ。


「あららどうしたの、ここがいいの?」

真帆はそう言うと、チャミを連れ出すのは諦め、一人で部屋を出た。


「どうしたの?そんなに嫌がらなくても」

と岳が聞くと、


「これこれ」

というかのように、自分の背中を見るチャミ。


その背中には羽が付いていた。

天使の羽だ。


天使の姿に戻るとチャミュが、

「あんまり慌てて猫になったから、羽しまい忘れてちゃったんだ」

という。


確かに、真帆がはやに入ってきたのと同時にすごい速さで猫になったチャミュ。

かなり慌てたようだ。


「そんなことあるんだ、羽、忘れるとか」

と岳が笑った。


「だって急いでいたんだもん」

とチャミュはふくれっ面だ。


「でもそんなの見つかったら大変だ」

岳の言葉に、チャミュも恐縮して下を向いた。


「さ、今度は女神伝説か。あの神父、教会のことにすごく食いついてきたもんな、

何がしりたいんだ?

教会のこと、話していいの?」

岳の問いに、


「うーん、わかんない」

とチャミュ。


「女神に聞いてくる」

そう言うとチャミュはすっと消えてしまった。


「おい、わざわざ行かなくても」

と岳がそう言った時には既にチャミュの姿は消えてなくなっていた。



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