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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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1か月経過~新しいクラスメイト

キキョウは同級生になりました。岳のこの生活も1か月に。

転校生として岳のクラスに編入してきた、都留田桔梗、それはアトロ・キキョウだ。

彼女は朝陽の隣の席に着くよう指示された。

岳の席の斜め前だ。


朝陽がなにやら話しかけている。

それに対して笑顔を向けるキキョウ。


制服姿のキキョウは大人びていて、白い肌に切れ長の目、長い黒髪。

どことなく年上を感じさせる風貌だ。

そんな姿に席についてもしばらくは男子がざわついていた。


1時間目の教科担任の先生がやってきても、クラスはまだ落ち着いていない。

男子だけでなく女子もキキヨウをチラチラとみている。


「貴女が転入生の都留田さんね。教科書はもうあるのよね」

教科担任が聞いた時には、キキョウはカバンから教科書やノートなどを取り出して、

静かに前を見つめていた。


休み時間になると、女子たちがキキョウの机を取り囲んだ。


「ねえ、都留田さん、桔梗って素敵な名前ね」

「都留田さん、部活とか入る?」

「ねえ、都留田さん、帰国子女なんだって?外国語は話せるの?」


キキョウの質問攻めだ。

キキョウは、両親の仕事の都合で外国生活をしていたが事情により自分一人だけ帰国し

叔父の家からこの高校に通っている。

そう言う設定になっているらしい。

叔父の家というのが、「都留田動物病院」なのだ。


「キキョウ、転校生だなんて、どういうことだ。このままこの世界に居座るのか。

そんなことができるのか」

そんな思いが頭をめぐる岳。

キキョウと話したいが、そんなチャンスはまったくなさそうだ。


昼休みになってもキキョウの周りは女子や、積極的な男子があふれていた。


「ねえ、都留田さん、部活見学来ない?2年生からでも大丈夫だから」

天文部の男子だ。


「とりあえず帰宅部やるなら、帰りに駅前のファストフード寄ってかない、

帰宅部のたまり場なんだ」

他の男子もキキョウを誘う。


「今日は、授業終わったらすぐに帰るわ。部活の見学はまたにさせてね。

帰宅部の皆さんご一緒させてもらえるかしら」

とキキョウが言うと、


「もちろんです」

と数人の男子が声をそろえて言った。


「おい、岳、お前も帰宅部だよな」

と声をかけられる岳。


しかし、

「でも岳は彼女とお帰りだからな」

とほかの男子が言う。


「え?緑川君って彼女がいるの?うらやましいなあ」

とキキョウがわざとらしく言った。


「緑川君の彼女、見たいな」

とも。


そう言うわけで、放課後、数人の帰宅部の連中とキキョウ、そして岳と玲奈が

一緒に帰ることになった。

その中には、佐伯亮と朝陽もいた。


高校のある希望ヶ丘駅の近くには多くの商業施設がある。その中に大型のフードコートがあり、

そこでよく高校生がお喋りをしている。

その日の岳たちもそこに立ち寄ることにした。

10人ちかい大人数だったが、まとまって席を取ることができた。


朝陽がキキョウに皆を紹介した。

玲奈の事は、


「この子が緑川岳の彼女。いつも一緒に登下校してるのよ」


そう言うと、玲奈がキキョウに小さく会釈した。

キキョウも、笑顔で返す。


「桔梗ちゃんには彼氏とかいないの?」

と男子が聞く。


「そうだよ、すごい美人なんだからモテるでしょ」

と。


「えーそんなことないよ。友達くらいかな」

キキョウが言う。


「じゃ、俺、告白してもいい?」

そう言ったのは佐伯亮だった。

朝陽が一瞬、ビクッとしたのを岳は見ていた。


「今はこの生活に慣れるので精一杯かな。日本の高校も初めてだし。

連休明けには試験があるんでしょ?もうそのことで頭がいっぱいなの」

とキキョウ。


「そうだよね、まずは友達ってことで」

と亮がいささかトーンダウンして言った。


1時間ほどファストフードでしゃべった後、皆それぞれ家路に着いた。

同じ方向の者もいたが、駅で寄り道をするとかで岳と玲奈とキキョウの3人だけで電車に乗った。

キキョウは岳たちの最寄り駅より3つほど手前の「白崎駅」で降りるのだ。


「キキョウ、やっと話せる。なんで転校生なんだよ」

と岳。


「あなたアトロ・キキョウよね、なんであんたが選ばれたのよ」

と玲奈。


「今日の玲奈って?」


「そうよ、私、アルベギーナ。玲奈になるのは2度目よ」


アルベギーナ、初めてキキョウが玲奈としてこちらへ来た日の前日が彼女だった。

女神の家系だというアルベギーナ。


「だって私の方が適任だもの。女神見習いだし。あんたは血筋的に女神ってだけでしょ、アルベ」


「でもさ、私だってちゃんと任務は果たせるのに。魔力だって持ってるし」

アルベギーナが言う。


「持ってるだけ、じゃダメなのよ。使えないと。これは私に任されたこと。

妬まないでよね」


そんなキキョウとアルベギーナも会話に、

「ねえ、なんで言い争ってるの?」

と岳が割って入った。


「あのね、私は、あなたの担当天使、あのチャミュが思いのほかダメな奴だったので、

女神の指示でチャミュの補佐兼監視役としてここに派遣されたのよ。

それをこのアルベギーナは面白くないって思ってるの。自分もこっちに常駐したかったって。

でもこれは女神の能力がないと無理よ。私はまだ見習いだけど能力としてはアルベギーナより格段にうえだもの。私が任命されて当然よ」

キキョウが説明をした。


「チャミュがダメな奴って。そうか、緊急通知なんとかって言ってたやつのこと?」

と岳。


「その通りよ。チャミュだって着任早々、救助要請の緊急通知が発令されて、

女神アテナがとてもチャミュだけに任せてはおけないって、私が派遣されたのよ。

チャミュも私が来ればもう大丈夫」

とキキョウは少々自慢げに言う。


そして、まだ不満げにしているアルベギーナに、


「アルベギーナ、残念だったけど、これはキキョウでよかったのかもしれない。

僕と玲奈の運命がかかっているんだから。

アルベギーナはまた玲奈として来ればいいじゃない」

と岳が言う。


「優しいねえ、岳は」

とキキョウ。


「まあ、仕方ないわね。私が女神の血筋だけっていうのも事実だもの。

見習いとして弟子入りしておけばよかったわ」

とアルベギーナがしぶしぶい言った。


「アトロ・キキョウが女神見習いっていうのは事実だしね。任せて安心だわ。

優秀よ、彼女」


アルベギーナもその言葉に、

「そういうアルベギーナもかっこいい、好きだよ、玲奈」

と岳が言う。


「なによ、ちゃっかりクリアじゃない。

なんか安易すぎない?難易度どうなってるの?20日目過ぎてもう中級者レベルなはずなのに」

アルベギーナが少し不満げに言った。


「そうだね、でも本心だよ」


岳の言葉に、アルベギーナが顔を赤くした。


「まあ、岳の好きのツボもはいるテクニックが向上してるってことで」

とキキョウ。


「じゃあ、岳をお願いね、あとはチャミュも」

アルベギーナは、電車を降りるキキョウにそう言った。


キキョウはホームから手を振り、二人の乗る電車を見送った。


「明日からまた連休だね。毎日、勉強かな」

と玲奈のすがたのアルベギーナ。


「そうだね、毎日図書館で会おうって、申し送りしておいてね」

と岳。


そして、連休が終わり、定期試験が始まった。

試験は2日間渡り行われた。

それぞれ違う人物が玲奈としてこちらに来ていたが、どちらも全力を尽くしたようだ。


「そう言えば、先月の今日だったっけ」


そう、あの始まりの日から1か月が経っていた。


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