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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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21日目~白猫のチャミ

白猫のチャミ。犬のセバスチャンに加えて岳一家の家族に迎えられました。

皆が勉強をしている和室、そこに入ってきた一匹の猫。

そう、みんなには猫に見えている、チャミュ。


驚いた岳は、玲奈が面白そうに笑っているのを見た。


「何か知っているのか?」

と思いながら。


再びチャミュに視線を戻すとそこには毛の長い真っ白な猫がいた。


「あれ、岳、昨日急遽飼うってお父さんがもらってきたんじゃんない。

会社で保護猫がどうしたとか言ってて」

と真帆。


するとその白猫が岳にすり寄ってきた。

「みゃあ」

鳴きながら。


その猫と目が合う岳。

「おい、どういうことだ」

と心でつぶやいた。


すると、するりの岳の側を離れる猫。

そして、すーっと和室を出て行ってしまった。


「かわいい、あの子、何て名前?」

と朝陽が聞く。


「チャミだよ」

と真帆。


「チャミ?」

思わず岳が声に出して言った。


「そう、この子、もともと何処かで飼われていたらしくてチャミって名前だったんだって」

真帆の説明ではそういうことらしい。


再び勉強を開始する4人そして先生役の真帆。


「このノートすごいですね、わかりやすくて。そこらへんの参考書よりもためになる」

と朝陽があのエルベのノートを指さしながら言った。


「まずい」

焦る岳。


「そうでしょ、苦労したのよ。玲奈ちゃんのためにがんばったわ」

と真帆。


「え?」

驚く岳、そしてその様子を見て楽しそうな玲奈。


「じゃあ、思いっきり活用させていただきます」

そう言うと玲奈はノートに目をやった。

そしてこっそりと岳に視線をおくる。いたずらったぽく笑っていた。


しばらく皆それぞれの勉強に集中していた。

そんな時、佐伯亮が大きく伸びをして

「ふうー」

と声を上げた。


「ちょっと息抜き」

そう言いながら。


「そう言えば岳、お前この前白崎町の女神伝説の話、聞きに行ったんだって?」

と亮。


「なんで知ってるの?ちょっと成り行きで、玲奈と行ってきた」

岳が言う。


「そうか、俺の祖母ちゃんも行ってたんだ。岳の事は学園祭で会ったことあるからわかったみたい」


「へえ、そうだったんだ」

岳がそう言うのと同時に、


「へえ、岳、そんな趣味あったのね。だから私に聞いてたの?女神伝説の事」

と真帆が口を挟んだ。


「本田さんがまた会いたいって言ってるらしいよ」

と亮。

そうだ、あの本田という神父に廃墟の教会の事をしつこく聞かれたんだっけ。


「え、岳、本田さんに会ったの?だいぶ前だけどお世話になったのよ、本田さんには」

と真帆。

小学生の頃、地域の歴史を調べてた時に本田が真帆にいろいろと教えてやったのだ。


「会いたいって、岳に?」

と真帆が不思議そうに言う。


「理由はわからないけど、本田さん、なにかにつけてまた来てくれるといいんだが、って言ったるらしいよ。ほら祖母ちゃんは集会室に頻繁に出入りしてるから、本田さんともよく会うんだ」


「そうなんだ、じゃ岳、また集会所に行かないとね」

と真帆が言う。

余計なことを言われた気がした。

またあの本田神父に会うのか。


時折そんな「息抜き」の会話はさみながら、集まった4人は真帆の指導でびっちりと勉強をした。

予定では午前中で終わらせるつもりだったが、皆もう少し続けたい様子だ。

しかし正午も過ぎてしばらく経っている。

皆、空腹を感じていた。


「じゃお昼休憩にしようか。コンビニで何か買ってくるね」

と真帆、


「じゃ私も行きます」

と朝陽が後に続き、そして亮も一緒に出て行った。


残されたのは、岳と玲奈、そしていつのまにやら入り込んでいた「白猫」チャミ。


「おい、どういうことだよ、猫になんか化けて」

とチャミに向かって岳が言う。


するとチャミはスルリと元の天使の姿に戻った。

「かわいいでしょ、猫の姿した僕」

そう言うチャミュ。


「猫としてこのままここにいることになったから、よろしくね」

と。


「え、10日おきに来るんじゃないの?ずっとここにいるってどういうこと?」

岳が聞くが、チャミュは


「ちょっとね、成り行きで、ね」

と玲奈に振るチャミュ。


「ま、仕方ないわよね。女神の指示だもん」

と玲奈。


「あと、あのノート、真帆の力作って、どういうこと?」

その言葉に


「あれはキキョウだよ。今日の玲奈」

とチャミュ。


「こっちで魔法とか使っていいんだっけ?」

岳の認識ではあちらの世界での特殊能力はこちらでは使えないはずだ。


「だって、説明できないでしょ。致し方なく、よ」

と玲奈。


「それと」

と岳が改まって言う。


「それと疑問なんだけど、キキョウは何度目かの玲奈でしょ。

それでもそのつど言わなきゃいけないの?あの言葉」

と。


思わず顔を見合わせるキキヨウとチャミュ。

お互いに困った表情だ。


「ほら、突っ込まれたでしょ」

とキキョウ。


「だってさ、運営だって混乱してるんだよ。想定外が多すぎて」

チャミュも言う。


「なに、その運営とか想定外とかって」

岳が割って入った。


「あの、これはね結構大掛かりなプロジェクトで、運営委員会が管理しているんだよ。

ま、そのトップは女神アテナなんだけど。

それで、あれこれと決めてるんだけど。

なんか、さ」

チャミュが答えるがなんとも歯切れが悪い。


「なんか、って何だよ。

これ、本当に玲奈が天使の像を壊したことにたいする罰ってだけなの?

なんかほかの思惑あるんじゃないの?」

岳は疑問を持ち始めていた。


「まあ、岳くん、きみの役目は毎日玲奈に好きだと伝える。これが大前提、これだけは変わらないよ。

だから、ほかのことはあまり気にしないで」

チャミュが取り繕う様に言うが、


「本当に、365日その日の玲奈に好きだと告げられれば、玲奈は無事に戻してもらえるんだろうな」

と岳が語気を強めて言う。


「そうだよ、それは必ず。でもね岳、きみのその「好き」って言う言葉に成就の力があることが分かったんだよ」


「成就?なんだよ、それ」

チャミュに問いただそうとする岳。


「ちょっと言ってみてよ」

チャミュのその言葉に、


「うーん、玲奈、好きだよ」

と岳。


「言えたじゃん、クリアだ」

と喜ぶ。


その時、チャミュが岳の胸に手をあてると、小さな光の玉が出て来た。


「え?なに?」

驚く岳に、


「これがきみのちから。そしてそれを取り出せるのは僕しかいないんだ」

とチャミュ。

横で玲奈も頷いている。

彼女も承知していることのようだ。


しかし岳には訳が分からない。

さらに話を聞こうとした、その時、玄関からにぎやかな声が聞こえて来た。


「ただいま、さ食べよう」

コンビニに行っていた真帆と朝陽と亮が帰ってきたのだ。


「この話はまだ今度だね」

チャミュはそう言うと、スルリと白猫、チャミになっていた。

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