表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/83

20日目~チャミュ再び。

2度目のチャミュの訪問です。

明日はいよいよ20日目、チャミュがやってくる予定の日だ、

そして明日から連休となる。


「ねえ、連休初日、ま明日なんだけど、真帆さんが勉強教えてくれるって、岳の家で」

と言いながら朝陽が駆け寄ってきた。


「え?」

と岳。

いつの間にそんな約束を取り付けだんだ。


「明日、俺んちで?」


「そうよ、この前、駅前でばったり真帆さんに会って、試験の事話したの。

毎日岳と湯浅さんと放課後自習室に行ってるんだって、そうしたら連休中どうするのってことになって、

明日は予定ないから、家庭教師頼んじゃった。」

と朝陽が言う。


「湯浅さんと一緒に10時ごろに着くように行くから。

岳も参加するのよ」

朝陽に言われて呆然とする。


「でもね、真穂さんにあのノートすごいですねって言ったら、えっ?何、だって」

と怪訝な顔で言う朝陽。

そうだ、あのエルベのノート、真穂の手によるものだって言ったんだっけ。


「明日は父さんが予定あるとか言ってたような、確認するわ」

と白々しく話をそらした岳。


「明日は20日目だぞ」

慌てて、朝陽のもとから離れるこうつぶやいた。


休み時間に、真帆にメールを送る。

「家庭教師の件聞いた。明後日にならないか?」

と。


真帆の返信は完結だった。

「明日に決定済み」


やばい。

玲奈がいるのは都合がいい、かもしれないが。

真帆に朝陽、それからたぶん母もいるだろう。もしかしたら父も。

そんなフルメンバー揃っている中にチャミュが部屋にいるだなんて。


玲奈と二人きりになった時にも聞いてみた、

「明日、チャミュが来るのに朝陽もうちに来るってあんまし好ましくないでしょ」


しかし玲奈の返答は、

「チャミュ?誰それ」

だった。


「そうか、チャミュの存在を知らない、ぅて場合もあるのか」


明日の玲奈はどうだろうか。


不安はあったが、明日からは連休、ゴールデンウイークというやつだ。

4日も休みが続く、嬉しい限りだ。

ま、その後は試験突入なのだが。


20日目の朝が来た。

祝日とはいえセバスチャンの散歩は欠かせない。

いつもと同じ時間に起きる岳。

セバスチャンの散歩は今や岳の毎日の日課となっていた。


アラームの音で起きだす岳。

ベッドから出ようと身体を動かした時、何かにぶつかった。

柔らかい、あたたかい何か。


そっと見ると、そこにチャミュが眠っている。

10日前と同じ、あのチャミュだ。


安堵の気持ちが湧き出す岳。

またチャミュが来てくれた。岳は何とも言えない心強さを感じていた。


しかし岳の隣のチャミュはすやすやと眠っている。

そのままここに残して散歩に出るのはいかがなものか。


そっとチャミュの肩をゆすってみる岳。

するとチャミュはぱっちりと目を開けた。


「やあ、岳、おはよう。」

そう言いながら。


「セバスチャンの散歩に行かなきゃいけないんだけど、チャミュも行く?」

と岳が聞くと、


「わ、セバスチャン!行くよ」

と嬉しそうに言うチャミュ。

チャミュとセバスチャンは前回、すっかり仲良しになっていたのだ。


でも、どうやってチャミュを連れ出せばいいのか。

台所では母がすでに朝食の準備を始めていた。

その台所を通過しなければ、セバスチャンのゲージには行けない。


思案する岳、しかしチャミュは

「じゃ、僕は一足先に外で待ってるよ」

というが早いが、その姿が消えてしまった。


「チャミュ?」

と岳があたりを見渡すが、その姿はもうこの部屋にはなかった。


セバスチャンを連れ出し、玄関を出る岳。

するとちょうどそこにチャミュがいた。


「セバスチャーン」

そう言いながら駆け寄ってくるチャミュ。

セバスチャンもしっぽを振り、チャミュの顔をぺろりとなめた。

10日ぶりに会うチャミュだが、セバスチャンは覚えているようだ。


いつもの散歩コースをチャミュとともに歩く。

チャミュはセバスチャンに乗ってみたり、空を飛んでみたり。

ここは早朝にはほとんど一通りのない道だ。

しかし、いつ誰かが現れるかわからない。


「チャミュ、隠れてて」

そう言う岳に、


「大丈夫だよ、皆には僕は見えないから」

とチャミュ。


実際、珍しくすれ違った同じく犬を散歩させている人も岳には軽く会釈をしたが、

チャミュの事はスルーだった。

連れていた犬が、チャミュの匂いを嗅ぎ、吠えたてていたけれど。


「あら、まあ、ソラちゃん、なんでそんなに吠えてるの?そこには何もないじゃない」

と不思議そうな顔で言っていた。


「やるじゃん」

とチャミュに言う岳。


「すごいでしょ」

とチャミュ。


「でも長い時間は隠れられないから早く行こう」

と続けた。


玲奈の家の前に来た。

庭をのぞくと、玲奈が待っている。


「え?キキョウ?」

と岳。


「え、一目見てわかるの岳?さては私に」

と言うその「玲奈」はアトロ・キキョウだ。

岳は一目見てそれを認識することができた。


「恋はしてないよ」

と岳。


「キキョウにはね」


「はいはい、わかってますよ。今日はチャミュが来る日だから私が来たのよ。

ちょっと裏工作してね」

とキキョウ。


「そっか、昨日の子はチャミュの存在も知らなかったから不安だったんだ。

キキョウがきてくれてよかったよ」


「でしょ、あとで岳のお宅にお邪魔するわね。2度目ね、岳ん家に行くの」


「じゃ、あとで。今日は朝陽ってのも来るから」

岳の言葉に、キキョウが頷いた。



家に戻ると、既に朝食の準備ができており久しぶりに家族4人で食卓を囲んだ。

このところ、仕事が忙しくあまり顔を合わせることのなかった父もいる。


「岳、どうだ、学校は」

と父。


それ、聞かないと気が済まないの?

岳は心で思う。

いつもこう聞いてくるからだ。


「楽しくやってるよ」

と岳。


「もうすぐ試験だろう」

父が言う。


知ってるんだ、試験スケジュール。


「そうよ、今日はね私がカテキョよ。

10時ごろから、あっちの部屋使うから」

と真帆が口を挟んだ。


リビングの隣にもう一つ、普段は使わないい和室がある。

今日はそこで「勉強をおしえてやる」つもりらしい。


「そうか、真帆、よろしく頼む」


学業に関して父の真帆に対する信頼度は絶大だ。

その真帆が岳の試験対策に協力してくれる、それは父を安心させたようだ。


和室は母がきれいに掃除をしておいてくれたらしく、チリ一つなく整えられていた。

真帆が嬉々として、参考書やノートを運んできた。


「うれしそうじゃん、姉ちゃん」

と思わず岳が言うと、


「先生っぽいでしょ。教えるの好きなんだ」

と真帆が言うので、


「じゃ、教職取ればいいのに」

と岳。

真帆の大学では教職課程も選択できるはずだから。


「いやあ、それは無理、大変なんだから」

とあっさり棄却された。


やがて待ち合わせの10時になった。

玲奈が一番乗りでやって来た。


「お邪魔します」

そう言いながら、岳に意味有り気にほほ笑みながら和室へと案内されていた。


しばらくして、玄関で

「お邪魔しまーす」

という声がした。

朝陽のはずだ。


「いらっしゃい」

と出迎える真帆。

そこには、朝陽ともう一人。


「あれ?佐伯?」

と岳が言う。

そこにいたのは佐伯亮、岳と同じクラスの男子だった。


「あ、急に悪いな。昨日、森口から誘われて。お前に事前にメールしたんだけど見てない?」

と亮が言う。


「あ、悪い、メール、見てないかも。でも気にしないで、歓迎するよ」

と岳は亮を快く迎えた。


和室の座卓を、岳と玲奈、朝陽と亮、そして真帆が囲んで座る。

その上には真帆が用意した資料のほかに、それぞれが持参したノート類もあった。

もちろん、エルベのあの学習計画ノートもだ。


「岳から試験範囲は聞いているから、重要ポイントおさえていこう」

と真帆。


その時、和室のふすまがすっと開いた。

そこにいたのは、チャミュだ。


「部屋にいろって言ったのに」

と岳が焦りながらつぶやく。


人の気配に、チャミュは好奇心を抑えられなかったようだ。


「ま、見えないんだよな」

と岳。

しかし、ふすまは開け放たれている。それは皆目撃した。


「わあー岳んちって」

と朝陽がチャミュの方を見ながら言った。


「見えているのか」

青ざめる岳。

一方玲奈は平然としていた。


「わあ、岳、猫も飼ってるのね、かわいい」

と歓声をあげる朝陽。


「え?猫?」

驚く岳をみて玲奈が思わず笑っていた。

応援していただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ