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365日、すべての君に「好き」を告げよう〜17歳の高校生、女神の呪縛を乗り越え試練に挑む  作者: 明けの明星


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13日目からの計画

試験対策開始。

12日目の玲奈、自称優等生。

いや、魔法学校の首席だというから、本当に優秀なのだろう。


その玲奈が言うには

「かなりヤバい」

のだそうだ。


元々、玲奈はあまり勉強が好きではないようだった。

進路についてそこまで真剣に話し合ったことはないが、あわよくば推薦で大学に進学できればいい、

そんな感じだ。


しかし、現状は

「それ以前の問題」

とのことだ。


「次の試験で挽回しておかないと、マジでママに交際禁止されちゃうよ」

と玲奈。


その日の夜、そう12日目の夜。

玲奈からメールが来た。


「玲奈ちゃんのお勉強計画」

というタイトルだ。


翌日、つまり13日目からの毎日の学習スケジュールの予定表が作成されている。

岳が見ても、よく練られた計画だ。

短時間によく作れたものだ。


「この通りにすればいいの?」

と岳が返信をする。


「そう、これで大逆転間違いなしよ」

と玲奈。

メールまで自信満々だ。


「試験、私が受けられればいいんだけどね。それはたぶん無理。その日の玲奈に頑張ってもらうしかないよ。まあ、私が受けちゃったらぶっちぎり1位だからそれも困るでしょ」


そんなやり取りをしている間に、0時を過ぎた。


その少し前、

「私の名前はエルベ、覚えておいてね。またきっと会えるから」

とメールがあった。


翌日、その日は土曜日だ。

しかし岳たちの高校は午前中までだが登校だ。


13日目。

朝、駅でその日の玲奈と待ち合わせる岳。


「ねえ、今日は午後図書館に行こうよ」

と岳に会うなり玲奈が言う。


「図書館?」


「そう、図書館。申し送りの指示よ」


昨日の玲奈だ。


その日の放課後、校内の購買でパンを買い昼ご飯にする岳。

その隣に玲奈が来た。

手にはおにぎりを持っている。


「持ってきたの?」

と岳が聞くと、


「そうよ、自分で作ったの。お米、初めて見た。コンブと梅干を入れたの。おいしいよ」

と玲奈。


そこから二人で図書館に移動した。

自宅最寄り駅の近くに、最近リニューアルした図書館がある。

受験生や試験前の学生のたまり場だ。


図書館に着くと、大きめの机に陣取る。

空いていてよかった。

窓際の一人ずつ区切られたスペースはもう満席だ。


机に教科書や筆記用具を出す玲奈。

その中に一冊のノートが。


「私はここの担当よ」

そう言いながらノートをめくる玲奈。


岳がのぞくと、そこにはびっしりと何かが書かれていた。

それを真剣に読む玲奈。

教科書とノート、そして参考書をかわるがわるめくりながら。

没頭しているようなので、岳も自分の勉強を始めた。


1時間以上たったころ、


「うん、覚えた」

と玲奈。


「私の受け持ち箇所はもう大丈夫。申し送りにも記録しておくから情報は共有されるわ」


その言葉に疑いの目を向ける岳。

そんなに簡単に。


「なに、信じられないの?じゃ問題出してみてよ」

と玲奈がノートを岳に渡した。


「そう言うなら」

と岳が、昨日の玲奈がまとめたらしいノートを見る。

そこには試験科目、それぞれの要点がまとめられ、その日の課題が詳しく書かれていた。

それが、試験までの毎日の分が作られている。


「あの短時間で、こんなものが作れるんだ」

と岳。


「エルベ、すごいでしょ。秀才だもの」

と玲奈。


岳がそのエルベが作ったノートをみながら問題を出す。

範囲は高2で今まで習ったところが中心だ。まだ1学期は始まったばかり、範囲としては短いが

今までの積み重ねも重要だ。

岳の出す問題に軽々と答える玲奈、ほぼ完ぺきに。


「すごいね、本当にもう大丈夫かも」

と岳が言うと、


「私たちはね、覚えるのは得意なの。集中して読み込めば1時間もあれば全部覚えられるのよ」

と玲奈。


「それは、ファンタジーワールドのみんながそうなの?それとも君の種族だけ?」

と岳が聞いた。


「うーん、他の種族の事はわからないんだ。でも私たちはみんなそうだよ。

試験までは私たちの種族がくるといいね。それならもう心配ないもん」


「キミたちの種族って?」


「魔法族よ。魔法に特化しているの。ほかの種族でも魔法使いにはなれるけど私たちは生まれながらに魔法使いってわけ。でもプロの魔法使いになるには魔法学校に行かないとダメだけどね」


「じゃあ、昨日のエルベも」

岳がそう言いかけると、


「そうよ、エルベも魔法族。私たちの希望よ」

と玲奈、そして


「ここは種族とかないのね、うらやましい」

そう言うとそこで口をつぐんだ。


「そうだね、ここにはそんな」

岳が答えようとしたが、それを遮り


「私たちがこの世界に興味を持っちゃダメなの」

そう言うと玲奈は黙り込んでしまった。


「こっちに来るのに制約とかあるの?」

と岳が思い切ってきいてみた。


「そうだね、こちの世界に変化をもたらさないってことは言われてるかな。

玲奈としてではなく本来の自分が何か騒動を起こしたりしてはいけない、って言うと分かりやすい?」

と玲奈が答えた。


それから、図書館を出て二人で歩く岳と玲奈。

その日はクリアだ。


そしてよく14日目、試練が始まって2度目の日曜日だ。

その日も、二人で図書館に行った。


その日の玲奈もエルベの作ったファイルを熱心に読み込んだ。

1時間もすると、

「もう大丈夫」

と胸を張った。


「キミも魔法族なの?」

と岳が聞くと、


「私はね、妖精だよ。魔法族じゃないけど魔法は使えるの。暗記も得意よ。そしてもっとすごい能力もあるんだけど、

こっちでは使用禁止。残念だな。

私は愛の妖精だから色んなカップルの縁結びができるの。

見て、あの二人。もじもじしちゃって友達以上恋人未満って感じね。

あういう二人の背中をバンって押してあげるのが私の特技」

と玲奈。


図書館の窓ガラスに、全身光に包まれた美しい女の子の姿が映っていた。

背中には羽がある。天使のチャミュとは少し異なる透き通った羽だ。


その姿に見入っていると、さきほどの目の前の二人、友達以上の。が、手をつなぎ歩いて行った。

すっかりいい雰囲気だ。


「なにかしたの?」

と岳が聞くと。


「つい、背中、押しちゃった。つい、うっかりよ。なんか職業病なのよねこういう時、勝手に動いちゃうのよ」

と玲奈が笑いながら言った。


「ごめん、ペナルティあるかもしれない。今度担当天使が来たら聞いてみた」

と玲奈。


「え、きみがやったことでしょ?僕のペナルティになるの?ってペナルティとかあるんだ。貯まるとどうなるんだろう。試練の強制終了とか?」

思わず叫ぶ岳だった。



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