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12日目、学校生活と玲奈

岳と玲奈、学校生活も大切です。

11日目から、「好き」と言える難易度があがった。


「レベルアップか」

と岳。

これがゲームなら喜ばしい事だが。


「10日過ぎればレベルアップってあと何回あるんだよ。ある程度まで行けばMAXとかないのか」

そう言いながらも、すべては次回のチャミュ訪問日に聞くしか今は思いつかない。


翌日、12日目。

朝から、セバスチャンの散歩に行った。

玲奈の家の前を通ったが、彼女は現れなかった。


「今日の玲奈はあせっていないんだ」

そんな風に考える岳。


その後、駅で玲奈を待った。

道の向こうから、手を振りながら走ってくる玲奈。

いつもの笑顔、いつもの玲奈の姿。


「おはよー」

そう言いながら。


「ねえ、来週から連休なんでしょ。どうする?」

と玲奈が言う。


「そうだね、ゴールデンウイーク突入だ。別に遠出の予定はないから近場でどっか行こうか」

そう言う岳だったが、その時の玲奈は今日の玲奈ではないことに気付きハッとする。


「そうね、申し送りしておくわ。うちは弟が受験生だから同じく遠出はしないって」

と玲奈。


「だね、学が来年には高校生か」

学、玲奈の弟だ。

勉強もスポーツもよくできて、自分たちよりもレベルの高い高校を狙っている。

「自称進学校」ではなく正真正銘の進学校だ。


「学、家ではどう?反抗期で大変だって」

と岳が聞く。

本物の玲奈も、前は素直で可愛かった弟が、最近は扱いにくくてたまらないとぼやいていた。


「そうだね、今朝も塾の宿題終わってないとか言い出してさ。早起きして手伝ってやったわよ。

そうしたらさ、ねーちゃん、そんなに頭よかったっけ?とか言うんだよ」

少し自慢げに言う玲奈。


「私はね、あちらでは魔法学校の首席なのよ」


地下を走る電車の窓に映った玲奈の姿は、

切れ長の目、知的な表情の「優等生」と言った女子だった。


「私がね、今日選ばれたのは、玲奈の学業がどうなってるか調査するためよ。

今までの子たちは、お勉強はさっぱりだったから、まあ、女神アテナの力でなんとかはなってるけどね。

私は自力でも全く困れない。玲奈の普段の実力くらい目をつぶってもこなせるわよ」

と玲奈。


「キミたちの世界、普通の子たちは学校とか行かないの?」

と岳が聞くと、


「まあ、種族によりまちまちってところね。共通しているのは魔法学校くらいかしら。

ここは魔法使いになるために色んな種族から選抜された子がいるわ」


「キミは魔法使いになるの?」


「そうよ、私は魔法使いの家の子だもの」

そんな会話をしている間に、学校に着いた。


「帰り、一緒に帰ろうよ、今日は部活ないから」

玲奈はそう言いながら自分の教室に向かった。


「部活は週に一度でしょ」

そう言いながら岳も教室へ。


教室に着くとしばらくして朝のホームルームが始まった。

そこで連休明けの試験について説明があった。


「ゴールデンウイーク、はめ外して遊びすぎないように。

連休が終わればもう試験前だ。2年生定期試験は大切だぞ、気を抜かないで準備すること」

担任の先生がこんなことを話していた。


「試験か」

クラスのほぼ全員がため息をつく。

もちろん岳もだ。


「シクったらまずい、なんとか現状維持以上じゃないと」

と岳。

岳の父はいささか岳の学力に不満を感じているらしく、いまから大学受験を心配しているのだ。

そろそろ塾か予備校へ行け、と言っている。


「ねえ、緑川君、試験まで放課後自習室いかない?

もちろん、湯浅さんも一緒でいいから」

後ろの席からそう声をかけてきたのは、森口朝陽だった。


それは、まずい。

玲奈と二人の時は、異世界の誰か、という認識で話をしているから、そんな事をうっかりと話してしまうかもしれない。

変な詮索をされるのは困る。


すぐに1時間目の授業が始まったので、朝陽には返事をすることはできずにいた。

そして放課後、


「じゃ、緑川君、連休明けから放課後ね」

と朝陽が声をかけた。


「ああ」

曖昧にうなずくと、そのまま教室を出る岳。


校門付近にもう玲奈がいた。


「はーい、今日もお疲れさま」

そう言いながら岳を迎える玲奈。


「なんか仕事終わったみたいじゃん」

と岳。


「ま、私にとっては仕事だからね」

と笑う玲奈。


「それよりさ、玲奈のお勉強なんだけど」

玲奈が表情を改めて言う。


「ボロボロよ」

と。


「何とかしないと、試験ヤバいわ。玲奈のお母さんも心配していて、あまりの成績なら岳くんとのお付き合いやめなさいって言ってるの」

と玲奈。


「え、そうなの?玲奈、そんなに勉強できなかったっけ」

岳の認識では、玲奈の成績はまあ普通、そんな感じだったのに。


「このところ、じわりじわりと下がってるみたいなの。

試練が始まってからは女神の力で現状維持だけど、その現状が酷いのよ。

交際、禁止されたらこまるでしょ?」

と玲奈が言う。


「それは困る、交際をしているってのが大前提でしょ?僕の試練って。

何とかならないの?」

岳も焦って言う。


「私がいる間に、対策を考えるわ。とりあえずは連休明けの定期試験ね。

まかせて、私は」


「魔法学校首席でしょ」

と岳。


その言葉に笑顔で答える玲奈、その顔には自信があふれていた。

本物の玲奈の見せる顔とは少し違う。

玲奈はこんなに、自信家ではない。


でも、この姿、言葉、なんだかかっこいい。

こんな玲奈もいいかも。


「玲奈、その笑顔、いいね。なんかパワーもらえるよ。好きだよ、そんな玲奈」

岳が言う。


「あらま、クリアじゃん、やるねえ岳。

いや、私のおかげかしら。感謝してよね」

と玲奈がまた自信にあふれた笑顔を見せた。

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