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  作者: 鬼畜原 末吉
第二章 芽生え
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英雄

第五話

「ぎぃゃぁぁ!」

猫たちは叫び、散り散りに逃げていく。俺は恐怖なのか憎悪なのかわからない感情に支配され、気付いた時にはその鳥に渾身の体当たりをかましていた。巨鳥は少しよろめいた。そして、報復攻撃をしようとしたとき、りんが巨鳥に何かを訴えているようだった。俺には聞こえない。周りは誰も気づかない。巨鳥は少し考えた後、飛び去った。

ほっとため息を付いていると、大歓声があがった。

「英雄だ!英雄だ!auだ!」

なんて声も聞こえる。よくやったと俺を称える、三匹の巨大猫。悪い気分ではなかった。

 少し時間が経った。

「金銀財宝ですか。それとも地位をお望みですか。」

と聞かれる。だが俺の答えは、自分でも意外だった。

「彼女を―あの生贄を解放してください。」

全員が目を丸くした。多分、俺も。攻撃して気分を上げるために、宴に生贄は必要らしい。だがそんなことはどうでもいい。

「それ以外は何もいりません。」

なぜ俺はこんな事を言うのか。わからない。ただ本能が彼女を守ってやらなければと―

出会ったときと同じ心であった。

彼らは英雄の要望をもちもん受け入れた。俺とりんは二人で森を出た。

 「ありがとう、じいさん。」

もう何も爆発しなかった。

「本当の英雄はりんだろ。ありがとう、りん。」

なんて返した。

彼女の傷口を舐めてやると、痛いよりもくすぐったいが勝ったようだった。

続く

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