出会い
第一話
夜空が世界を呑み込むような夜。
俺は行く当てもなく、そこにある草むらでねることにした。
「どうしたの?こんなところにいちゃ危ないよ。」
一人の青年警察官がかがんで少女に声をかける。少女は涙ぐんで、
「お、おにぃ、ちゃん…」
と警察官に近寄っていく。やれやれ、ガキの家出か。仕方がない。この世界一かわいい俺様が慰めに行ってやるか。とでも思ったその時だった。少女は警察官を突き飛ばし、全速力で駆け出した。
「あっ! 待ちなさい!」
警察官はすぐに追いかけたが、角を曲がったはずの少女の姿はどこにもなかった。俺も慌てて追いかけたが見つけられない。警察官は応援を要請して探し続ける。今どきのガキは人騒がせなもんだぜまったく。まあ俺様には関係のないことだ。俺は体を伸ばして草むらに入っていく。
「猫ちゃん女の子みてなぁい?」
とか言うアホみたいな声を無視しながら。
(ガサ)
ん?なんだ?俺様の領土に入ってくるやつは久々だな。いっちょやってやるか。
(ガサガサ)
ったく。どこだ?出てこいや!って…え?
お前かよ…
さっきの少女だった。よく隠れられたなこんなところ。まあとりあえず俺様のかわいさでなんとかするか。
俺はいつも通り甘えに行く。少女はもちろん俺の頭を撫でた―と思いきや、
「何が『俺様のかわいさでなんとかする』よ!ぜーんぶ聞こえてんだからね!ばーか!」
俺はつばを飲み込んだ。
続く