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碧眼の彼女  作者: さんれんぼくろ
第二章 プレイゲーム
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第一二六話 夢現つ

前回、斎が学校に来ないことが気がかりなまま、未来はゴミ箱巡回の当番へ。隆一郎は送り出しました。

 挿絵(By みてみん)


『――が死したと』


 チッ、チッ、チッ、チ……。


『相手は。――か』

『いや、――だったらしい』


 チッ、チッ、チッ……。


『まあいいじゃないか、あんな変態女のことは』

『それもそうだね。――が揃ってる限り何も問題は無いのだから』


 チッ、チッ……。


『しっ。御成だよ』


 チッ。


『騒ぐな、――たちよ』


 チッ、チッ、チッ、チッ……。


『しかし――様、――へ確認せずによいのですか』


 チッ、チッ……。


『――は、そのうち折り合いをつける。そろそろだ。好機がやってくる』


 チッ、チッ、チッ……。


『あと一週間程だ。……ウヅキ』

『は』

『今回はお前に任せよう。近々行くがいい』

『承知致しました。必ずや、――の首を獲って帰還致します』


 チッ……。



 ヂッ!

 俺の手に勢いよく叩かれた目覚まし時計は、鳴る瞬間床に落下した大きな音と共に解除された。


「……夢、か」


 知りたいことには膜を張っているみたいな変な夢だった気がする。

 だけどいつも通りの時間に起きた俺は、そんな夢などすっ飛ばして覚醒してしまったらしい。更にはその内容すらもほとんど覚えていなかった。

 落ちてしまった青色の時計を拾い上げる。

 時刻は朝の四時。

 寝ている間には未来からの連絡は無く、あと一、二時間もすればゴミ箱の巡回も終えてあいつは帰路につくだろう。

 やっぱり、心配はいらなかったみたいだ。

 顔を見るまでは油断禁物だけど、大丈夫なのはほぼ間違いない。


「うし、やるか」


 朝のルーティーン。顔を洗って、水分と糖分の補給。

 準備運動は念入りにして、地下へと続く階段を少しの音も出さずに下りていく。

 理由は家族を起こさないように――はもちろんだが、敵へ自分が来たことを悟らせないよう気配を消すための鍛錬でもある。

 鍛錬場じゃなくても、いつでもどこでだって鍛えることはできるということを、念頭に置いておくことが大事なんだと思う。


「よろしくお願いします」


 俺のベッドで寝ていたはずのおキクが鍛錬場に入ってきたのを背中で感じながら、ロボ凪さんに挨拶をして鍛錬を始める。


 なぜ、俺は勝てないのか。

 なぜ、ロボ凪さんはこんなに強いのか。

 探せ。探せ。理由を探せ。


 チッ、チッ。


 飛んでくる拳と蹴りの芯を捉え、避けて、避けた。


 チッ、チッ、チッ……。


 避けて、考えた。

 なぜなのだろうと。

 なんで、なんで、なんで。


 チッ……。


 ――なんで。


 チッ。


 なぜだろう。やけに今朝の時計の音が、耳にこびり付いていた。

お読みいただいてありがとうございます。


隆一郎の夢の中に入り込んできた死人達の会話。

ただの夢か、それとも、実際に話されている内容なのか。


ちなみに早起きに関しては本当、習慣づけが一番手っ取り早いです。最近になってようやく起きられるようになった作者です。

※初投稿時は早起きだったらしいですが2024年現在、朝はダメダメです。超夜型です。くそう。


《次回 隠し上手》

未来さん、帰還です。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 時計の音がこびりついている。果たしてどうなるのか楽しみにしています!
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