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テーマ詩集:昆虫採集

ホタル

作者: 歌川 詩季

 夏の夜の匂いが好きです。

 湿気(しけ)った匂いでむせた

 セミたちの眠りをさまたげないで

 花火がやぶるのは静けさと

 青くて くすんだ夜の闇だけでいい


 (まよ)い子たちよ ついておいでと

 街灯のひとつもないこの街に

 (はかな)い光はまだ 見えますか?

 帰らぬ夏の()へと導いてくれるかな



 湿(しめ)った空気でむれた

 スズムシの眠りはまだ深くて

 季節の変わりめ 虫の()

 教えて くれるけどまだ知らんぷりした


 (まよ)い子たちよ はぐれないでと

 道標(みちしるべ)ひとつもないこの街で

 (つたな)い光はまだ かすれずに

 忘れぬ夏の()へと連れてってくれたなら

 線香みたいな、湿った火薬の香りがする夜。

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― 新着の感想 ―
[一言] 夏の夜、すこしだけ寂しいような、そんな雰囲気がまたいいですよね。 賑やかに人々が踊り歌うのも、季節の変わり目に少し乾いた風が吹くのも、長い夏が見せるそれぞれの夜の顔だなぁと思いました。 なか…
[良い点] >花火がやぶるのは静けさと  青くて くすんだ夜の闇だけでいい この部分の言葉が、何だか好きです。 後、あとがきの「線香みたいな、湿った火薬の香りがする夜。」という言葉もよきです。 言葉…
[良い点]  秋の入口に、去る夏を思い返す。  そんなどことなく物寂しい感じなのに、描かれているのは温かさのような気がします。 [気になる点]  タイトルからも。  文体からも。  思わず浮かぶ誰かの…
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