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★★★しつこく行くよ★★★

 それは早業、矢をつがえ、放つ。その連続。俺に向かって飛んで来る矢が止まらない。


 ソレを俺はエルフから離れる様にして逃げ躱す。この程度の密度の攻撃じゃあ俺のこの「ドラドラクエスト」の主人公カンスト身体には通じない。


 しかし三十本程でソレは止まった。しかしこれに油断してはいけないのだと、何故だか俺の脳内では警鐘が響いていた。


 そしてそれは正解だった。矢の形をした「炎」が俺に向かって飛んできていたから。


 一瞬にしてコレを俺は「ヤバい」と感じて大きく横に飛ぶ。

 エルフとの間は相当に離していたが、その「炎の矢」が飛んで来る速度は矢の速度の二倍ほどであり、この速さに俺は避けるタイミングが若干遅れている。


「のああああああ!?」


 ドカンと爆発。俺が飛び退る前に居た場所で。

 俺はコレをギリギリで躱して直接的な被害は免れていたが、耳がキーンと耳鳴りで良く聞こえなくなってしまう。


「あばばばばばばば?めっちゃ飛来してきてるやんけ!」


 エルフはもうなりふり構わずに俺を殺す気でいるらしい。その爆発する「炎の矢」を既に連発してこちらに放って来ていた。


 もっと距離を取らないと不味いと感じた俺は二発目の爆発を躱した後にダッシュで走る。エルフから遠ざかる方向に。


 本気ダッシュだ。これには追い付いて来れ無いだろうと思った。

 実際に相当に離れる事に成功したし、俺の姿は既にエルフから見えない程の距離を取れているはずだった。


 このまま隠れて一時的に姿を眩ませてしまおうかと思って近くにあった木の陰に隠れて一息ついたのだが。


「まあああああてえええええええええ!」


「追い付いて来てるやんけエ!?」


 思わずこれには俺は驚かされた。向こうからは多分俺の姿は見えていないはずだったのにこれである。

 真っすぐに俺の寄り掛かっている木の方に近づいて来ているのだエルフが。


「そこかあああああああ!」


 そしてまたエルフは「炎の矢」を一発放って来た。しかもピンポイントで俺の隠れている木に向かって。

 俺は即座にその場を離れた。また走って。本気で。


 しかし今度は「炎の矢」が俺を追尾してきていたのだ。


「ええええええ!?」


 あのエルフが何かしらの方法で俺に「目印」を付けていた事にここで気づいた。


「抜け目無いな!?アレだけ憎悪に目が眩んでいたっぽいのにね!?と言うか!俺はこのまま逃げ続けるだけってのも嫌だぞ!」


 腹を決めた。エルフを無力化する。それしか無いと思えた。

 殺したら殺したで後々で余計に問題が拗れたりとかして事が大きく膨らむ可能性を考えてしまったから。


 そもそも俺にとってこのエルフを殺す事なんて簡単なのだ。


「グーパンで顔はダメ!そもそもグーパンで殴ると高い率で手心が加わらずに殺す可能性「大」!なら平手で頬でもパチーンと行くかぁ?いや、そもそも顔ってのがヤバいな!駄目だわ!」


 俺は追跡してくる「炎の矢」に一発「ウォーターガン」を当てた。

 するとどうやら威力を相殺したのか?どうなのか?両方とも綺麗に消滅した。


「おおう・・・相殺システム的な?何も考えずに魔法撃ったんだけどなぁ。っと!考えるのはそこじゃないな。」


 追いかけて来るエルフ。実にホラーである。その顔は怒り心頭、そんな相手がこちらに迫って来るのだから恐怖を感じるのは当たり前だ。


「うっわぁ・・・アレを俺は直にぶっ飛ばさにゃならんの?魔法でどうにか気を失わせる何か無いかなぁ・・・考える時間、無いよねぇ?」


 エルフは「炎の矢」を相殺された所が見えていたらしい。お次はまた接近戦でも挑むつもりか、ナイフを手に持っていた。


 ソレを俺は警戒する。さっきからこのエルフ、何かと狂気に身を任せている様でいて、しかし冷静に俺を嵌めようとしてきているからだ。


 だからこの再び手にしたナイフにも何かしらの手が仕込まれているのではと思って警戒心を二段も三段も上げた。


「これだけ殺意満々で向かってくる相手を殺さずに無効化するってホント、難しいな!?」


 ここで「オレツエエ!」をしてしまうとアッサリこのエルフを殺してしまうだろう。そして俺はその力を持っている。

 迂闊にもその力加減を間違えてしまえば無力化、生け捕りを簡単に失敗するレベルで。


 そう、だからコチラから積極的に手を出すと言った事が難しいのだ。

 ちょうど良さそうな、エルフが一発食らえば気絶する魔法などは咄嗟に思いつかない。


 と、ここでエルフの持つナイフが僅かに光った。警戒を上げていた俺はコレを見逃さずにいれた。


 まるで如意棒の如くにそのナイフの切っ先がこちらに伸びて来たのだ。


 真っすぐに俺の腹に向かって伸びて来るその切っ先を俺は体を捻って躱す。

 その際に剣を抜いて俺はその切っ先を思い切り弾いた。


「ギャイン」


 金属が擦れぶつかり合う音がして、その伸びるナイフが大きく宙を舞う。


 エルフの手からそのナイフは離れた。しかしエルフの突進は止まっていない。

 寧ろソレも想定内だと言わんばかりにニヤッと笑ったのだ。


 エルフの手の平が俺の顔に向けられている。次の瞬間には氷の塊が俺目掛けて飛んできていた。


「手の内が多いな!?コンチクショウ!」


 俺はソレを顔を逸らして躱すが、エルフはその間にまた大きくこちらに接近していた。

 今度は何をして来るか分かったモノでは無い。後手後手に回され続けている状況に俺は焦りを若干覚えるが。


「手の内全部迎撃してやんよゴラァ!もうこうなったらトコトンやってやらぁ!」


 ぶっちゃけ、投げ遣りになった。考えるのが面倒、と言うか、こちらがちょっとでも隙を作るとエルフが攻撃を仕掛けて来るのでそう言った考える時間も無い事にイラつきが急上昇してしまった結果である。


 俺との距離が3m、そんな所でエルフは急ブレーキをかけて止まりやがった。


「今度は地面からかよ!?」


 鋭く尖った三角錐が地面から突き出してくる。


 これの前兆として足に僅かな振動が感じられたので避ける事が出来た様なモノだ。

 ラノベあるあるが思い浮かび一瞬にしてその場を離れる判断を取れた。


 二本、三本と連続で俺を刺し殺そうと出て来るソレを大きく後ろに跳んで俺は躱す。


 そしてその跳び躱した着地のタイミングを狙ってちゃっかりエルフは「炎の矢」を俺を狙って飛ばして来る。


「ウォーターガン」


 ソレを俺は魔法で迎撃して先程の様に相殺する。その間にエルフは先程に手から弾かれたナイフを拾ってこちらにまた切っ先を向けて警戒を強めていた。


「・・・おい、話が出来る位には怒りは収まったかよ?」


 俺は問う。エルフに。コレが駄目であればとうとう反撃をする事を考えねばと思って。


「お前を殺さねば戻る事すら叶わぬ。死ね、私に殺されろ。この私の深く大きな憎しみ、存分に味合わせてやる!」


「あーあーそうかよ!分かり合えないねぇ!だったらしょうがないよなぁ!?」


 俺は覚悟を決めた。殺してしまうかもしれないけれど、もうしょうがないと思って。


「ウォーターフォール」


 エルフへと大量の水が。これには逃げ場も無く水流に呑み込まれるエルフ。


「!?ごぼげがぼぐべらば!?」


 全身びしょ濡れでしかも強い水の圧力を受けて体力が削られた様子。


 俺はここで一気にエルフへと踏み込んだ。そしてゼロ距離で。


「ウインドボム」


「ぐぶふっ!?」


 風の爆発がエルフをぶっ飛ばす。しかしまだこれではエルフの意識を立つ事は出来なかったらしく、キレイに、とまでは行かないまでもエルフはしっかりと着地を成功させた。


 だけどその程度の事は想定していた。俺はその隙にダッシュして近づき再びエルフのその懐に潜り込む。そして。


「ウインドボム」


 再びエルフを俺はぶっ飛ばす。


「うぐっ!」


 このウインドボムの威力は相当な物であるのだろう。エルフの表情は苦悶に歪んでいた。


 この二度の魔法でどうやらエルフは相当に体力を削られた様で着地を今度も決めはしたが、膝立ちになって呼吸は荒くなっていた。


 そんな隙を見逃してやる程の優しさを俺は持っていない。何せ向こうは俺の事を殺そうとしてきた相手だ。

 ならば情け容赦は無用である。エルフが意識を飛ばすまでコレを俺は繰り返していく覚悟は既にある。


「ウインドボム」


 三度目も突っ込んで魔法。流石にコレはエルフも抵抗しようとしてきたが、ソレは遅かった。再びぶっ飛ぶエルフ。

 でもコレはどうやら自身に何やら防護?の魔法でも掛けたのか、エルフの身体が一瞬だけ緑に光ったのが見えた。


「でも、そんなの関係無いのよね。」


 四度目。流石にエルフは着地と同時にこちらを迎撃しようとしてきた。

 掌を俺に向けて氷の礫を飛ばして来る。だけどもこんな物を今さら食らう俺じゃ無い。


 ソレを躱して即座にまたエルフの元に。そして。


「ウインドボム」


 しつこいくらいにこれで押す。押しに押す。と言うか、一応は死なない、殺さない為に使える魔法がこれくらいしか無い。思いつかない咄嗟には。

 でもこれ、下手すればエルフが死ぬ。吹き飛ぶ最中に気を失って着地に失敗、首の骨を折って即死、などと言った結果もあるかもしれないのだ。


 けれどもこれで行くしか俺には方法が無い。いや、違う。他の方法を考えてる時間の余裕が無いというのが正しい。


 今やらねば、ここで止めねばエルフは逃げを選択するかもしれない。そしてまんまとソレで逃げられたら面倒にしかならない。

 逃げられて、エルフが再起し俺の命を再び狙ってくる時にはきっと「暗殺」を仕掛けて来るに違いないと思うからだ。


「逃がさない・・・ぜっ!ウインドボム」


 五回目。六回目。七回目。同じ展開が繰り返される。


 これにエルフ、粘る粘る。しかし俺のこの攻撃を防げる訳では無かった。逆転の策も無い様だった。

 ジリ貧と言うのか、どうなのか?エルフは耐え忍ぶと言った選択をしたらしく、吹き飛ばされる度に体が緑色に光っていた。


(多分体力を回復する魔法か何かなんだろうな。でも、そんなの関係ねぇ!)


 もう、やると言ったらやる。やり切る。俺はエルフにずっとしつこく「ウインドボム」を食らわせ続ける。


 そんな事を繰り返し続けてようやっと十五回目にエルフが白目を剥いて吹っ飛んで行く。

 着地を決められずに地面をゴロゴロと転がってそこでようやっと止まった。


 ここでやっと俺は慎重にエルフに近づく。そして完全に気絶しているのを確認出来てやっとホッと息を吐き出した。


「・・・後で説明するって言っちゃったからなぁ。殺すと後々で不味い可能性高いとか思ってこんな手間の掛かる方法で気絶させたけどさー?・・・ここでやっぱ殺しておいた方が良いかなぁ?」


 今更にこのエルフを捕縛して連行するのが滅茶苦茶メンド臭いと思ってしまって俺は暫くその場で悩んだ。


 マリやベラ、それとあの隊長さんには去り際に事情は後で説明すると言ってしまってあった。

 なのでこのままこのエルフを連れて行くと気が付いたらその憎悪で俺へとある事、無い事言いまくるかもしれない。


「うんざりだよそうなれば。その時は、ベラの邪眼でまた気絶させれば良いかぁ。」


 今俺は物凄く精神的に疲れている。マジック小袋から出したロープでエルフの手足を縛ってから俺は盛大な溜息を吐いて大の字に草原に寝転んだ。

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[一言] (`・ω・´)フィンガーフレアボムズ(ドラク◯参照)的なアレで黙らせればよかったのに。
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