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★★★やはり立ったフラグは回収されるが運命★★★

 さて、八階層に教会騎士団と、殿下率いる騎士団がまだ居るんじゃ無いのか?と言ったアリーエの発言で見事にフラグが建った訳だが。

 そんなフラグの回収はまだされていない。このまま何事も無くスルー出来ると嬉しいのだが。

 八階層の地図作りに慎重に進んでいるそんな中で、ポンスが今更に思い出したと言わんばかりにポロッと言葉を溢す。


「五階層のあの魔法陣を報告に上げれば私たちに妨害を仕掛けて来ている貴族たちを黙らせるのに充分では?そもそもアレを報告するにしても・・・タクマさんが居なければ発見できたかも怪しいモノですが。」


 この一言で俺たちは足を止める。確かにそう言われるとそうだなと皆で納得する。

 より長くこの試練場内に留まる事への比率に考えが傾いていてそこら辺の事を忘れてしまっていた。


「ああ、莫大な報奨金が出るんだったね。でもソレはタクマが確かに居てこそ見つけられたって言える代物だし?どう?タクマ?」


「そう言えばジェーウが言ってたっけ?魔法陣を見つけられたら五月蠅い奴らを黙らせられそうだって。別に良いけど?俺の目的はそれじゃねーし?」


 試練場攻略、これが俺の掲げる目的である。魔法陣発見の報奨金でこの世界で遊んで暮らすと言った事が目標じゃない。とは言え、金は幾らあっても良い物だからある程度の金額は懐に入れてはおきたいとは思うが。

 だから別に魔法陣の事はジェーウ達の功績にしても良い。俺は既に目的達成に必要になるマジック小袋を貰っている。これさえあれば大抵の事に対処が可能になる。

 その他の事に関しては別にどうだって良い、とは言わないが、試練場から脱出できる魔法陣の事はそこまで重要じゃ無いと感じる。俺の中の優先順位は結構下の方だ。


 ここでジェーウが少々嫌そうな顔をして話し出す。


「・・・その事は地上に戻って、侯爵様の屋敷で相談しよう。もちろん侯爵様を入れての話合いで。今はどうやらコレへの対処をせねばならないらしい。」


 何やら音が聞こえて来ていた。勢い良く金属がかち合う様な音だ。それはこの八階層にどちらかの「騎士団」がまだ居たと言う証拠である。

 他の挑戦者がこの階層にまで来ていると言う可能性は低い。なのでこの分だと殿下の率いる騎士団がこの先で戦闘をしている可能性がある。


「・・・聞かなかった事にして引き返さない?」


「マリ、お前って結構ヤバい事いうのな?そんなにあの王子様ってヤベー奴なの?」


 これは薄情とは違うのだろうが、マリは相当に殿下との接触をしたく無いのだろう。物凄く嫌そうな顔で「うん、帰ろうか」と小さく口にする。


 俺たちの居る通路の先は右へと曲がっている。なのでどの様な状況なのかは見えていない。しかしその場所はこちらへの音の漏れて来る響き具合からしてそこそこに広い空間の様に感じる。


 で、そんな所でガンガンキンキンと金属音が激しく鳴っているのにも関わらず、次の瞬間にはこのマリの僅かな声を聞き取った者の声がこちらにまで聞こえて来る。


「おお!我が麗しの姫の声が聞こえた!これは幻聴では無いな!そこに居るのか!マリエンス!?」


 これには流石のマリも「ウゲッ!?」と評していい、女性がしちゃいけない顔に変わっていた。


 ここでバリーダは口を開いた。


「取り合えずここで殿下に加勢すれば点数稼ぎになる。それで俺たちを妨害してくる奴らへの牽制が得られるだろうし、行くべきじゃねーか?」


 ここで殿下に恩を売っておけば、殿下を他の騎士や貴族からの嫌がらせへの壁にできると踏んだバリーダは中々にしたたかである。


「ソレにタクマの、その、なあ?事は隠しておいた方がいいだろ?ここは俺たちが前に出て戦った方が良い場面のはずだ。」


 俺の事まで気にかけてくれている様でその実、バリーダのその言葉は只単に自分が暴れたいだけなのだと思うが。

 これに乗るのは意外にもアリーエだった。その理由は。


「もう向こうにこちらの事がバレちゃってるみたいだし、行ってみるだけ行ってみて、どう言った状況かを確かめましょう。殿下の命が危ない、何て場面だったら流石に、ねぇ?洒落にもならないわ。」


 そう言ったアリーエはマリを見る。これにマリは少々のウンザリ感を出しながらも「しょうがないかぁ」と項垂れた。


 こうなったらもう行くしかない。動き出すのは早かった。

 通路の先頭を行くのは俺からバルツへ交代。その後をバリーダが行く。

 アリーエとジェーウがこれに続いてその後をマリとポンス。一番後方を俺がと言った陣形になった。


 そうして合流してみればそこでは三十を超える試練獣に囲まれて奮闘する殿下たちだった。

 状況はまだ粘れると言った様相ではあったが、直ぐにこれに試練獣の中へとバルツもバリーダもジェーウも向かう。

 その三人の到着前に先制攻撃だと言わんばかりにアリーエの魔法が試練獣に向かって放たれていた。


「あれ?俺、これ参戦した方が良くね?危ないんじゃね?」


「タクマ、まだダメだよ。タクマの強さはまだ殿下に知られない方が良いと思う。」


 マリが誰かしらの危機ギリギリまでは俺に手を出すなと説く。どうにも殿下が俺へと興味を示さない様にと気を使っている様子。まあ確かに目を付けられたくはない。なので大人しくしておく。

 しかし流石に全員に命の危険が迫ったりした様な状況に押し込まれたりしたら手出しをしても良いだろう。

 今ここで俺が力を出し渋る事で死人が出るなんて真っ平御免だ。そんなのは絶対に勘弁である。


 しかしそんな心配はしないでも良さそうだった。アリーエの魔法が炸裂した後はその威力で散った試練獣を地道に各個撃破して行って確実に数を減らす事に成功していた。

 アリーエの魔法の威力は抜群で、その爆発の直撃を食らっていた試練獣はそれで多くが光と消えていっている。


 まだ油断はできないが、しかし心配もそこまでしないでも良さそうであった。騎士たちは全員がキビキビと動いて試練獣を片づけていっている。

 殿下もどうやらその剣の腕前は高いらしく、掛け声と共に試練獣の息の根を一撃で止めている。


 アリーエの魔法で相手の形勢を崩し、試練獣からの攻撃をバルツが守り、バリーダとジェーウがその隙を突いて確実にソレを屠る。

 この勢いに乗じて守勢だった殿下たちも攻めに転じてドンドンと試練獣の数を減らして行った。


 こうして終わってみれば危ない場面も少なく、危機を脱するのに成功していた。


「ポンス、出番無かったけど?いや、そうか、回復の必要になる場面なんて、そりゃ必要無い方が良いんだったな。」


「そうですなぁ。こういった場面では怪我人が出ている事の方が多いですが。どうやらソレは無いみたいで何よりですねぇ。」


 そうした回復など使える回数が決まっているに違いない。ならばソレを使わなくて良いと言うのは万が一への備えを減らさないで済んだと言う事。


「うむ、助太刀感謝する。よくぞ来てくれた。こうして誰もが無事に試練を乗り越えられたのは正しく運命だな。もし助けが入らずともこの数を全滅させる事は可能だっただろうが、そうなれば怪我をするだけでは無く死人も出ていたかもしれない。危ない所だった。そうなれば試練場から撤退は避けられ無かった。」


 殿下が深刻そうにそう述べる。どうやら虚勢を張ると言った事も無い様子。素直な性格なのだろう。いや、本当にそうだろうか?マリの前で猫被って無いか?


「しかし我が姫には情けない所を見せてしまったな。我を受け入れて貰う為にも今後はもっと精進してより強くならねば!」


 こんな時であるのにマリに対するアピールはしてくる。メンドイ。イケメン顔をマリへと向けて演技染みた臭い笑顔でこっちを見て来る。

 そんな殿下の視線から逃れる様にしてマリはサッと俺の後ろに隠れて来る。


(おい、俺を盾に使うな!盾に!王子様の興味が俺に向かない様にって事じゃなかったのか!?)


 だがしかし殿下の目には俺の存在などは入らないのだろう。全く持ってして俺になどお声が掛かる事は無い。

 こんな場面だとラノベなんかじゃ「ん?何だ貴様は?一体何様だ?」といちゃもんを付けられたりする場面である。

 しかしそれが無い。一向に無い。それはソレで後で何と言われるか分かったモノでは無いので俺の中の警戒度が上がってしまう。


 しかし勝手に状況は進む。殿下を無視してその付き人らしき人物がジェーウと既に情報共有をして話し込んでいた。

 そんなのはお構いなしで殿下はずっとマリに視線を向け続けているし、これにマリはずっと俺の背に隠れたまま。


 そうこうしている間にジェーウの口から今後の事についてどの様に動くかを質問された。


「どうにも殿下たちはこの八階層で迷っていたらしい。急いで準備した八階層の地図はどうやら情報の古いモノだったんだそうだ。そこで一つ道を間違えて今の状況だそうで。・・・タクマ、どうする?」


 最後に小声で俺の名を口にして来たジェーウは「殿下と行くか」「ここは地上に帰るか」と聞いているのだ。

 状況がもうフラグ回収してしまっているので、ここで選べるのは「殿下と行く」しか無いと思われる。

 何せこのまま殿下たちを放っておいて「じゃ、俺たちは帰ります」などとは言え無いだろう。

 教会騎士たちにだけデカい顔をさせない為に殿下はこうして試練場に潜っているのだ。これに協力しない、と言った事はしずらいだろう騎士団の皆は。


「何かもうゴチャゴチャになり過ぎて一度まっさらにしちまいたいなぁ。頭の整理が追い付かねーんだが?もうとりあえずジェーウ、殿下を九階層にまでお連れしよう。そんでもってそのまま付いていって戦闘の時に危なかったら助けるって事で良いんじゃ無いか?九階層で放っておいてそのまま俺たちが帰った後に殿下がやられちゃいました、じゃあお話になんないよな?」


 俺がそんな事を答えたらこれに「むん?」とこんなタイミングで殿下が俺に意識を向けて来た。


「そなたは何者だ?どうやら見た所は挑戦者の様だが?どうして騎士団と行動を共にしているのだ?しかも、何故我が麗しの姫がそなたの背後にずっと隠れる?マリエンス、知り合いなのかその男は?」


「彼は私の友人です。」


「・・・友人?いや、私がマリエンスの友人関係に対して口を挟む様な事はせんつもりだが、どの様な経緯で知り合ったのか教えては貰えまいか?」


 どうやら殿下、自分の好いた女の「男の友人」に警戒心、或いは嫉妬を覚えたご様子。

 だけど今はそんな事を気にしている場合じゃ無いんじゃ無いのかと俺はつっこむ。


「教会騎士を追いかけないで良いんですか?今頃どの程度まで進んでいるのか予想できませんよ?九階層にご案内しますので向かいませんか?」


「ぬぬぬ・・・まあ、今は追及はせんでおこう。しかし貴様、我が麗しの姫に手を出したなら容赦はせんぞ?もし万が一など起こして見よ?生きている事を後悔する様な拷問を味合わせるからな?」


「えぇ、えぇ、分かっておりますとも。手を出すなどと滅相もございません。さて、参りましょう。」


 もうこうなったら流れに乗って無難に乗り過ごす立ち回りをするしかない。

 ここで俺は心底願う。俺がでしゃばらなきゃならない場面になりません様に、と。

 これ以上殿下に目を付けられるなど堪ったモノじゃ無い。

 俺たちはこの後に殿下たちを案内して九階層に向かった。

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