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★★★厄介そうなのが来た★★★

 その後は元に戻って綺麗サッパリになったその行き止まりを俺たちは軽く調べて何も無さそうだと言う共通意見を出した。

 行き止まりにはギミックか、或いは何かのヒント、もしくは重要キーアイテムなどがある、と言った俺の勝手な認識はここで空ぶったと言える。


 ソレに気落ちせずに四階層の地図作りを続けて行けば順調にそれは進んで三階層へと移動である。

 一応は既に一階層から四階層までは八割、九割が解明されているので残りを埋める感じで地図作りをしているから断然早い。

 まあ細かく作り直しをしているので結構そこで手間と時間を食っている感は否めなかったが。


「異様な速さだって事を認識してるか?お前が全部出て来る試練獣を歩みも止めずに即殺してるから俺たちは只歩いてるだけみたいになってるんだぞ?そこら辺をちゃんとわかってるか?」


 バリーダが俺にツッコミを入れて来る。どうやらいい加減にしろと言いたいらしい。

 これまでずっと戦闘を行っていないバリーダはどうやらここに来て「ちょっとくらいはこちらに回せ」と。

 これにジェーウがバリーダに言う。


「控えろバリーダ。思い出せ。私たちの今回の仕事はなんだ?マリエンス嬢の護衛だろう?戦闘をしないで済むのならソレに越した事は無い。安全最優先だ。タクマに全て任せればより安全なんだ。勝手な行動は取るんじゃ無いぞ?良いな?」


 この注意にバリーダは大きく一つ溜息を吐いてガクリと首を落とす。

 そんな時に響いて来た声。それはどうにも俺たち、と言うか、マリに向けられたもので。


「おお!こんな所で会えるとは思ってもみなかった!マリエンス!我が愛しき姫よ!」


 俺は思わず「うぜぇのが来たっぽいな」と溢してしまった。しかし幸いにもコレは誰にも聞かれずに済んだ。

 その「ウザそう」な奴は騎士団の面々を無視してマリに近づこうとする。

 だけど悲しいかな。そいつは大きな盾に阻まれた。バルツだ。マリに接近するそいつの前に素早く立ち塞がったのだ。


「おい、貴様!そこをどけ!我が姫の側に行けぬでは無いか!無礼討ちにされたいのか!?」


 この男のそのセリフに俺は思う。「うぜぇ」では無く「クソ面倒」の間違いだった、と。

 ここでマリの言葉でこの男の正体を俺は知る。


「ポーリス殿下、彼は私の護衛としてここに今日いるのです。幾ら殿下であろうとも、ここは試練場の中。何が起こるか分からないそんな状況ですので、いきなりその様に近づくと言った行為を阻むのは致し方なき事であります。彼の行動は私の身の安全を第一に考えての事、その様な罰を与えると言うのであれば侯爵家が訴えを起こさせて頂きます。」


「む?そうか。ならばここは我の寛大な心で許してやろうでは無いか。お前たち、感謝をしろよ?さて、マリエンス、我が姫よ。どうして今日はこの様な場所に?良ければ私がこの試練場でのエスコートをしよう!我が側に居ればどの様な危険が迫ろうともその全てから君を守って見せようじゃないか!」


 くせぇ、クソ面倒でいて、一々その行動と言動が下手糞な演技染みていて見ていられない程に、くせぇ。

 そんな思いを一切出さない様に俺は我慢して今の流れを見守る。俺がどうせ口を挟んでもロクな方には転がらないなと分かっていたから。


 俺と同じ感想でも持っていたのかどうなのかは知らないが、その殿下の付き人?護衛?の騎士たちの顔に「かったりいな」と言った感情がありありと出ていた。

 どうやら普段からこんなキャラなのだろうこの殿下とやらは。


「殿下はどの様な御用事でコチラに?大事な御用では無いのですか?」


 逆に質問で返したマリだったのだが、コレを別段失礼だとも思わないのか、これに殿下は答える。


「おお!そうだった!本日教会騎士がここの九階層の攻略に挑むと言う情報が入ってな!これに我々も負けてはいられぬと、急いでここへと参った次第だ。我の強さがあれば難易度の低い試練場の九階層など即座に攻略して見せる!教会騎士などに遅れは取らんのだ!」


「ならば既に向こうは八階層に進んでいる所と見られます。お急ぎになられた方が宜しいかと。」


「なに!?マリエンス!それは本当か!?ならば我らも急がねば!奴らの思い通りにはさせんぞ!皆の者!行くぞ!我が愛しき姫よ!エスコートはまた今度にしよう!ではな!」


 そう言って駆け足で去っていく殿下一行。騒がしい奴が居なくなった後の静寂にマリが小さく溜息を吐く。

 これに俺は一応は質問をしておいた。


「何と無く今の奴が何者なのかは察したんだけどさ。詳しい所を説明して貰えると助かるね。」


 これにもう一度マリが小さく溜息を吐いてから口を開いた。


「簡潔に言うと、彼は王子。ポーリス殿下。私に対して「我が姫」何て言って婚約を毎度の事迫って来る方だね。父上はコレを了承も承諾もしていないから殿下が勝手に周囲にそう言いふらしているだけなんだ。国王陛下も私と殿下を結び付けようとは考えていないのだけれど。陛下はソレをずっと言い聞かせてくれているのだけれど、ソレに殿下はずっと聞く耳を持たないんだ。だから何か事ある事に顔を合わせた時には私を口説こうとして甘い言葉やお茶の誘いをしてくるのだけれど。幾ら断ってもしつこくて。はっきり言って、殿下は私の好みでは無いんだよねぇ。それをしっかりと告げた事はあったのだけれど、それでも「いつかきっと振り向かせて見せる」とか言って全然諦める様子が無いんだ・・・」


 結構きっぱり言っているマリのその顔はちょっと疲れ顔。これまでの殿下の行動に辟易していると言った様子。


「金髪碧眼のイケメンだったじゃん。顔の造形はこれ以上無いってくらい整っていたけど?・・・あー、まー、でも、あの言動だと相手するのが一々かったるそうだな。アレと普段から向き合え、って言われたらウンザリするなぁ。」


 俺とマリの会話に騎士の皆さんドン引き。立場上殿下の事は迂闊な事を言えないのだろう。

 だから怖いモノ知らずと言った感じで言いたい放題している俺とマリを難しい顔で見るしかないと言う訳だ。


「まあどうでも良いや殿下とやらの事は。続きの三階層の地図作りの続きをしよう。あ、その前に休憩しようか。」


 俺が「気持ちを切り替えて行こう」と言って手をパンパンと叩いて全員の意識を元に戻す。

 こうして休憩を一度挟んでから続きを開始する。もちろん三階層も素早く地図は完成した。

 そのまま早々に二階層に入って休む事無く続けて地図作成。しっかりと綺麗に詳細を書き込みながらの地図作成なのでポンスの負担が結構ある。

 その時は俺の方から休憩を入れるかどうかを聞いたのだが、全員が「全然疲れていない」との回答をしてきたのでこうして連続での作業だ。


 そしてこの二階層で俺たちは幸運にも見つける事が出来た。と言うか、ドロップした。何をか?ソレは。


「なあ、今倒した試練獣が落としたこれって、完全にあそこに刺し込む「鍵」じゃ無いか?」


 ソレはあの壁の魔法陣の所にあった四角い穴にぴったりサイズの四角の棒だった。

 そしてソレにはまるで「ここに嵌めてください」と言わんばかりの穴が規則正しく連続で開いていた。ソレも側四面全部に。


「なあ?コレ見覚えある大きさの穴なんだけど。どう考えても魔石だよな?」


 全部で二十ある穴。大きさは一定。これまで大量にゲットしてきている魔石の大きさがぴったりとハマるサイズ穴に俺はジッとその「鍵」を見つめてしまう。


「うん、そうだね!どこからどう見ても怪しいとしか言い様が無いね!」


 俺の意見にマリも同意だと口にする。俺は他の意見を求める為に皆に視線を巡らせた。


「もしそうだとしても危険だ。」

「実験は重ねておきたいわね。いきなり本番は勘弁して欲しいわ。」

「俺の思ってる事言って良いか?タクマ、お前ソレいきなり使う気だっただろ?」

「本当にソレがあの壁の魔法陣を起動させる為の鍵であるならば、では、使い方はその小さな穴に魔石を入れて刺すんですかな?穴に詰める魔石の数で何かしらの変化が起きて危険に晒されると言った可能性は?」


 バルツは安全の為に慎重に行こうといった意見。アリーエはやるにしても実験を重ねたいと、本番をこの身でぶっつけは止めて欲しいとの事。

 バリーダは俺を完全に疑った意見だ。まあ外れていなかったので俺は言い返せなかった。

 ポンスは使わない方が良いのでは?と言った感じである。

 ここでジェーウが一言。


「私たちの意見を聞いたとしてもタクマは使う気なんだろう?あの魔法陣が何であれ起動させるって気が顔から簡単に察せられるぞ?」


 ソレにジェーウが追加で「俺たちは部屋の外に退避だな」とぼやく。

 俺は図星を突かれて何も言い返せなかった。ならばとぶちまける。


「いやー、どうせなら穴全部に魔石詰めて起動させたいよな。どう言った事になるのか?試練場外にワープして戻れるとかだったらソレが一番良いかもな。魔石の数が足りないと起動しないってのが一番あり得ると思うんだけどなぁ。だってこれ、何処をどう見ても上下左右なんて無さそうだし?」


 もしも向きがあってソレに対して穴に入れる魔石の数のパターンで飛ばされる階層が変わると言うのであれば、あの魔法陣は階層ワープ用と言う事になる。初期◯ックマンのパスワードかな?と言った感じだ。

 もしそれが本当に実現するのであればこの試練場は早々に攻略の目途が立つ。

 まあ他の階層に辿り着いてその階の魔法陣を発見しておかないと効果を発揮しないと言うのであればちょっと問題もあるけれども。


 とは言え実験してみない事には始まらない。と言う事で俺たちは一階層の地図をサクッと作って五階層に戻る事に。

 一階では俺たちを他の挑戦者たちが珍しい物を見るかの様な視線を向けて来ていたが、ソレを気にしていたのはバリーダくらいだ。

 そしてその気にした理由は何なのかを魔法陣の部屋に着く迄に俺はバリーダに聞いてみたのだが。


「あいつらは俺たちの事を馬鹿にしてんだよ。所詮は国が恰好だけ付ける為に組織した奴らだってな。実力何てありもしない貴族のボンボンが拍付けだけで宛がわれているって言われてんだよ。だからムカつくんだ。俺たちがそんな目で見られるのはな。第一隊だけはそんな中身じゃねーのに同じに扱われて見られるのがな。」


 どうにも試練場騎士団の内情が透けて見える。俺はまだ関わった事も無ければ見た事も無いのでバリーダが言う様に他の隊はそう言った風なんだなと思うしかない。

 ここでソレを少しだけ否定したのはマリだった。


「殿下の隊はそうでは無いけれどね。まあ・・・殿下だけがヤル気で他の隊員は物凄くヤル気が無い者たちばかりが集まっている事が疑問になるけど。それでも実力は確かで活動も頻繁に行っているからソコでバランスが保たれているって感じはするね。しっかりと殿下の隊は功績を幾つか残しているし。」


「え?あの王子様そんな実力者だったの?何かちょっとイメージ無いんだけど。ああ、でも一応はそれなりには鍛えるのが当たり前か。なんたって国を継ぐ者なんだし?簡単に死なれちゃ困るもんな?あれ?そんな簡単に死なれちゃ困る存在をこんな場所に潜らせちゃっても良いの?試練場なんて危険の代名詞じゃねーのかこの世界で言えば?え?あの殿下、要らない子なの?」


 俺の思い付きにこの場の全員がドン引きした所で魔法陣の部屋に到着した。

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