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★★★もう使っちゃダメ★★★

 熱が冷めるまでの間に俺は色々と質問をする。俺が放った「ファイアウェーブ」の熱気がそもそも高温過ぎてソレが落ち着くまでは先程の「行き止まり」に向かえ無かったからだ。


「なあ?何で嫌味騎士は俺の事が視界に入っていたはずなのにそこに言及してこなかったんだ?あの性格だと絶対に俺を弄って来るはずだろ?」


「いや、向こうは挑戦者を下に見ている。しかも話しかけたり話題にする価値も無いとも思っているんだ。だからタクマの事に触れなかったんだよ。寧ろ視界に入る事自体が向こうにとっては嫌悪するべき程の事だったと思う。」


「え?それ凄く失礼じゃね?」


「余程の事が無い限りは絶対に向こうは挑戦者と関りを持とうとはしないからな。」


「と言うか、俺は別に挑戦者とかじゃ無いんだけどな。こんな見た目だから勘違いされてるって感じか?まあそこは別に気にしないでも良いか。向こうが勝手に阿呆なだけだからな。そんな大層な問題じゃねーか。」


 どうやら教会騎士はそもそもが挑戦者を見下しているとの事である。

 ならソレを利用して今後も関わり合わない様にしていくだけだ。


「で、話がいきなり変わるんだけどさ。ジェーウの身に着けてる全部、神具なんだよな?良くそこまで集まったじゃんね?何か特別な事とかあったのか?」


「ああ、コレは違うんだ。全て「運」でしかない。本当に私たちもどんな条件が理由でこれ程の物をこんなにも手に入れられたのかサッパリなんだ。」


 ここで突っ込んで話を聞いてみた。どう言う事だってばよ?と。


「まさか連続で宝箱が出続けた?あれ?でも待って?罠解除のできる者が居ないから諦めろ、なんて言ってたよな?」


 矛盾。しかし今と昔は違う。


「コレは結成当初の勢いでだったんだ。最初は成果を求めてひたすらに突っ走っていた。私たち五人はこの騎士団が出来た当初は別に貴族たちに睨まれていた訳じゃ無かったんだ。」


 ジェーウはその時の事を語った。それを俺は簡単にざっくり纏めて一言で締めくくる。


「ビギナーズラックみたいなモノか。しかも異常な引きってやつだな。きっかけはソレ?」


 この第一隊騎士団は最初ここでは無い別の試練場に入っていたのだと言う。

 そしてそこでジャンジャンバリバリと試練獣を倒していれば何故か魔石の出現では無く、宝箱がバンバンと出て来たらしいのだ。

 どうやらボスだけでは無く通常の試練場内で出て来る試練獣を倒しても宝箱は出て来るみたいで。


「あー、ソレで他との差が出過ぎた?やっかみかぁ。ソレで難癖付けられて厳しく警戒される様な展開に?分らんでも無いな。」


「それからというモノ、今日までの期間で入れた試練場はここともう一つだけ。それぞれ一回ずつだな。しかも短い日数だけ。流石に宝物も見つけられはしなかったし、下層に潜る事が出来るだけの物資も許可が下りなかったな。それで、まあ、あの十階層の主をアレだけの数倒し続けて出て来たのが完全炎熱耐性のマントばかりで驚かされた。しかもそれで倒し続けてやっと出て来た宝箱にそんな物が入っているとは想像もしていなかったんでな。七十体近く倒して宝箱が出現、と言うのも、私たちの少ない経験では驚きでしか無かったんだ。」


 こんなに出ないものなのか?と言った呟きを十階層でしていたジェーウである。そこにはこれまでの事情と言うのが入っていたと。


「で、ポンスはどう言った経緯だったんだ?鑑定できるって凄い事だと思うんだけど。」


「ああ、そう言ったモノは特定の敵を倒すと不思議な力を身に付ける事が出来る様になると言う噂だな。しかしポンスにも、私たちにも身に覚えが無いんだ。ポンスはそもそも戦闘に参加する事は基本無い。どうして?と私たちにもそこは分らなくてな。だがポンスは試練場内である日突然に「物の見え方がおかしい」と言い出してな。そこから検証を幾度も繰り返して、得た神具などもポンスに触って貰ったりして次第にその中身を把握していった感じだな。」


 どうやらそう言ったチートスキルは何が切っ掛けで会得できるかは不明らしい。俺もそうした鑑定スキルが欲しい所だが。


「なあ?手に触った物だけしか詳細が分からないのか?もしかして試練獣にソレを仕掛けたりしたらその詳細とかが判ったりしないかね?」


 鑑定スキル万能と言った物語なんて吐いて捨てる程ある。

 中には敵モンスターには鑑定が通じ無くて「弱点看破」みたいなのしか通用しないとかのパターンもあったりした覚えはあるが。

 取り合えずポンスの鑑定とやらが試練獣に通用すると言うのであればソレはどう言った条件か?などを検証してみる価値はある。

 これが遠距離から一目見て敵の詳細を得られると言った事になれば、まさしくそれはチートである。ポンスはコレだけで今よりもずっと、もっと上へと成り上がれる代物である。


 これに驚いたのは当のポンスだった。口を開いて「それは考えた事もありませんでしたなぁ」と真剣な顔で深く考え込んでしまった。

 ここで俺はまた話題を変える。俺が購入したコンロの話だ。


「なあ?この道具って誰かが発明した物なのか?燃料は?構造は?原理は?」


「ああ、コレはそうだな・・・試練場内で得られた物を元にして錬金術師たちとドワーフが共同研究の後に再現された魔道具だな。と言うか、ソレも知らないのかタクマは。かなり田舎の出身なのか?これは首都ではもう既にかなり出回って結構な広がりを見せたよ、その便利さからそう時間も経たずに口コミで拡散されてね。これはこうして・・・と。」


 このコンロ、燃料は魔石だった。ジェーウは「構造も原理も知らないが」と言ってから次には「使い方は分る」と言ってコンロの横に付いていた小さな蓋を開ける。

 俺がソレを見ると中にはここまでに大量に俺たちがゲットしてきている魔石と同じ物が入っていた。大体その数は十個程。


「あー、なるほどなぁ。試練場内からはそう言った類の物も出て来るって事なのか。誰かが発明したって感じでは無かったんだな。」


 試練場と言う物がどの様な目的の為に存在するのかが何となくこれで確定したと見ても良いのだろう。

 多分この世界を作った神様ってのは面倒が嫌いでせっかちで、そして億劫な性格をしていると言った要素が出て来た。

 発展、多分この試練場はそう言った名目でこの世界に存在していると言った推測が出て来る。


(じゃあ何でそんな所に俺をぶち込んだ?って話が出てくる訳で)


 そんな部分に思考を割いてみてもどうせ俺の頭の悪さでは答えなど導き出せないんだろう。その点に関しては考えないで置く事にする。その内に分かるかもしれない事は後回しだ。そこら辺の考察をするにしても情報が足りてい無さ過ぎるし。


「うーん、じゃあ熱も引いて来たみたいだし、ちょっと向こう確認しに行きたいんだが、良いか?」


 ファイアウェーブの影響が無くなるまでの間に四階層の他の部分の探索をしていれば良かったのだろうが。

 俺はそんな事よりも自分の放った魔法の威力の確認の方が優先だった。

 こんな危険な魔法の事を確認する前に試練場内を歩き回りたくない。

 知らなかったこれまでは、まだいい。しょうがない。だけどここで一度使用してしまった。だからその結果を確かめずにはいられない。

 もし、そう、もしも四階層を先に探索、地図作りをしていた際にこの魔法をまた咄嗟に使ったりしたら?


 今回は行き止まりに対して使った。しかしこれが一直線の遥か彼方まで続く道であれば?


 眼前の見える範囲まで俺の魔法が全てを蹂躙して何もカモを灰にしてしまうだろう事が想像付く。

 そこに他の挑戦者たちが巻き込まれてしまったら?ソレは事故だ。盛大なやらかしだ。

 そんな不注意で何らの関係無い挑戦者たちを俺は殺したくは無い。


「・・・うん、臭いが全く持ってして消えたね。そして試練場内の壁がガラス質に変わってるのヤバい・・・いや、ソレがまたグネグネと少しづつ元の壁に戻ってる光景がもっとヤバい・・・」


 今俺たちは全員で魔法を放った場所に来ていた。そしてその魔法の威力がどれほどの物であるのかをこの目にしている。

 ハッキリ言って神様に文句を言って良いレベルの破壊力である。おい、威力調整ミスってんじゃねーぞコラ。と。これに「仕様です」と返されたらそれ以上は何も言えないのだが。


「・・・」

「噓でしょ・・・」

「逃げて良かった・・・死なずに済んだ・・・」

「この様な光景になってしまう威力とは一体どんな魔法を?それと・・・壁が再生、いや、コレは逆行?」


 バルツは言葉が出て来ない様子。アリーエは魔法を使える者として目の前の光景が信じられ無いと言った感じだ。

 バリーダはあの時の自分の判断、逃げると言う事が正解だった事を噛み締めている。

 ポンスは冷静に目の前の状況を見つめて試練場の不思議をしっかりとその目に刻み付けている。


 くっきりと俺が魔法を放った位置と炎で変質した通路は分かたれていた。

 ハッキリと「目の前」と言った範囲が炎で炙られており、きっちりと「魔法の説明文」の効果が出ている。


 そんな通路は僅かずつだが修復されて元通りに変わって行っている。流石にこのままとは行かないのだろう。

 もしこうして修復再生されなければ通路を真下へ穴を掘れば最下層まで行けてしまう、と言った事にもなりかねない。


(そう言うパターンでダンジョンを下りて行く話ってのは大体が信じられ無いくらいのチートパワーでぶち壊して下りて行くとか、極大魔法とか言った馬鹿げた威力を撃ち込んで無理やり穴を開けたりだとかだしなぁ)


 瞬間火力、力こそパワー、みたいな頭の悪い言い回しは俺も嫌いじゃないのだが、俺にもソレがもしかしたら可能であると思うと、そこは拒否したい。

 学校の成績は下の上と言ったくらいだった俺ではあるが、だからと言ってそこまで物事を極単純化する脳味噌では無い。

 俺は力押しで何事も解決をしようとする脳筋キャラでは無いのだ。そう言った脳みそ筋肉と同類と思われるのは流石に勘弁願いたい。


「さて、タクマ。ここを先ずサラッと確認をしてから四階層の地図作成に入ると言う事だったが。私たちから今後の御願いだ。こんな魔法を試練場内で使わないでくれ。我々は死にたくないのでな。」


 ジェーウから注意された。確かに言わずにはいられないだろう、こんなのを見せられちゃ。


「ああ、分かってる。今後は威力を把握してる魔法しか使わない様にするから安心してくれ。」


「タクマ?その言葉には不安しか感じないよ?何だい?威力を把握している魔法しか?じゃあ把握していない魔法はあと幾つあるの?他の魔法も、もしかしてこれと同じ位の威力が出るのかい?」


 マリに即行でツッコミを入れられた。俺はこれに只苦笑いだけを返した。

 この苦笑いに騎士の皆さんにドン引きされたのは言うまでも無い。

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