異世界のお勉強
異世界は大変!
この世界には大きく分けてつの五つの大陸がある。
金の大陸
水の大陸
砂の大陸
影の大陸
緑の大陸
金、砂、影、緑は、それぞれに国境が敷かれるほど近くにある大陸である。
水、は緑に近いが、海に囲まれ独立した大陸である。
五大陸には必ず大陸を治める帝国があり、帝都には大陸を守る守護が座す。
守護の形はそれぞれである。
砂は、砂海で暮らす鯨と聞く。
金は、輝く鉱石と聞く。
水は、素朴で愛らしい花と聞く。
緑は、木彫の人形と聞く。
影は、夜空の色を集めた鴉と聞く。
が、数年前に、影の守護は逝去された、と聞く。
守護がいない大陸はどうなるか。
魔が増えるのだ。
魔霧が生まれ、魔獣がわく。
それらは元々、生活の傍にあるものであるが、守護が消えると発生する頻度が桁違いに上がる。
作物が食い荒され、困窮する。
魔霧で子供や年寄りが患う。
そこへ魔が襲いかかり、村や町が死ぬ。
やがてそれらは王都をのみ込み、最後に帝都を喰らい尽くす。
大地は魔に覆われ、餌場を求める魔も、生き残った人も、大陸を渡るのだ。
いま緑の大陸は、流れてきた影の大陸の難民と魔の討伐で、一国が傾きはじめている。
東の王国イスタ
西の王国ウスタ
南の王国サルルカ
北の王国ノッカ
そして中央に帝国トルカス
影の大陸に近い国は、北のノッカである。
前線にはノッカの国軍とトルカスの帝国軍が共闘して抑えている。
守護人形が座すおかげで優勢ではあるが、一大陸を飲み込んだ魔の軍勢を根絶やすことは難しい。
なんせ魔は無尽蔵にわいて出てくるのだ。
あれらを止める為には、影の大陸に新たな守護を置くしかない。
金、砂、水、にも呼びかけて守護たるものの捜索を続けているが、そもそも、守護がどのように現れるのかもわからない。
緑の次に、影に近い大陸が金である。
緑が倒れれば、水もその余波が近い。
緑の大陸に座す守護人形に何事かが起これば、残り三大陸も共倒れの未来しかないのである。
2021/08/06