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6)近習筆頭代行(エリック)は、従兄弟(エドガー)に、この妻(メアリ)は勿体ないと思っている

エリックは近習の筆頭代行だ。ロバートがいない今、王太子宮を預かる身だ。いくら本人達が張り切っていても、ティモシー達小姓だけに任せてはおけない。


「失礼いたします」

エリックは、従兄弟のエドガーの部屋を訪れていた。

「どうぞ。お入りくださいな。あなたが私を訪ねてくるなんて、珍しいこともあるものね」

エドガーの妻、メアリが出迎えてくれた。

「針子としてのあなたに、教えていただきたいことがあるのです」


メアリの顔は目元以外が分厚いベールで覆われている。顔にある、流行り病にかかった痕を隠すためのものだ。


 流行り病の痕はあっても、メアリは物静かな優しい女性で、エドガーにはもったいない、出来すぎた妻だ。エドガーによく似た二人の腕白息子の、優しい母親でもある。エドガーは、メアリを、おとなしいだけのお嬢さんだったというが、人を見る目がないのだろう。


「西の館、女性たちの間で、最近、問題はありませんか」

「私達針子は、あまり他の方と会うことはありません」

エリックもそれは知っている。針子達は専用の部屋で、一日中仕事をしている。


「ただ、噂話が好きな子はいます」

メアリと目があった。

「たいてい他愛もない話ばかり。ただ、最近、悪口を耳にする機会が多くて、不愉快な話に、皆困っていました。女同士の嫉妬ゆえのくだらない悪口です。誰かに訴えようにも、あまりに幼稚なことで、くだらなくて逆にどうしたものか」

ベール越しにも、メアリが顔をしかめていることはわかった。


「ローズが関係していますか」

「ええ。ただ、私もあまり詳しくは。他の方々とは、距離を置いているものですから」


メアリにはあまり、親しい人はいない。メアリの事情ゆえ、それは仕方のないことだ。

「私が知っているのは、ローズの悪い噂を振りまいているのが、若い侍女であること、高貴な御方のお気に入りだということを鼻にかけ、仕事に熱心ではなく、他からは疎まれている子たちであることくらいです」

「それだけで、十分です」

十分な情報だった。エリックが知る、ティモシー達の報告と一致していた。


「ありがとうございます」

もうすぐ、視察の一行は帰ってくる。きちんとした報告が出来ることに、エリックは安堵した。




幕間のお話にお付き合いいただきありがとうございました。

この後も、本編でお付き合いいただけましたら幸いです


この後、ティモシー達は、エリックの指導をうけながら、書類を制作しました。


メアリさんは、第一章幕間 悪夢と添い寝と1 が初登場です。




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