第一章、⑧
残念ながら、やりとりは平行線をたどるばかりだったので、シスコ達は先へ進むことにした。
「で、私はここで何をしたらいいの」
「言い伝えでは、ここに夏王朝の秘宝があると」
「どこに」
「さぁ、どっかにあるでしょう」
「もう」
憤りを越して、シスコは呆れる。
2人はとりあえず、辺りを見渡すが、あまりの眩しさに長く目を開けてはいられない。
「どこ」
「見えませんね」
「・・・・・・」
シスコはしゃがんだ。
それから地に手をつけて探り這いながら、辺りを探ってみた。
「全然分からないよ」
全くの手ごたえなしである。
「ですね」
モエは気の抜けた声で答える。
「ですねじゃない!」
シスコは彼女にきつい口調で言う。
「はい、じゃあなんとかしてみます」
モエはそう言うと両手を広げ、光りを集めるよう念じる。
「・・・あ!」
モエの手の平に光が集まりだすと、次第に部屋の煌めきが薄くなっていく。
「媛!」
「誰!」
「シスコ様!」
「はい!」
「光を集めてみてください」
「・・・どうやって?」
「胸の前で手を重ね、光が集まるよう念じてください」
「こう?」
「そうです」
シスコはモエに従い光を集めはじめる。
手の平が温かくなり、光は大きくなる。
「あれっ?」
シスコの両腕が勝手に天高く掲げられると、光のすべてが集約され瞬時に収束する。
「!」
「さすが」
モエは感心する。
「・・・・・・」
ゆっくりと腕を降ろすシスコの手の平は、しばらく輝いていた。
それから明滅しながら次第に光が消えると、彼女の手の中に何かがあった。