第一章、➆
それからモエは目を閉じ瞑想すると、両手に光を集めはじめる。
「モエ・・・あなたも光を」
「ふふ、これが夏王朝の者たる証ですよ。媛」
「ひめ?」
「門よ、我が主の名において命ず。開門!(古代語)」
モエはシスコの手に手を重ねた。
扉全部が眩しく光る。
響く轟音、あっという間に光に包まれた。
「!」
シスコ達は光に飲み込まれた。
眩くも暖かい光。
「ここは?」
シスコは次第に目を慣らし薄目をあける。
「さぁ?」
モエの返事はつれない。
「さぁって・・・」
「私もはじめてなのです。媛・・・ただ」
「ただ?」
シスコは怪訝そうな表情を浮かべた。
「夏王朝の正統なる者が現れた時、扉は開かれる」
「夏王朝?」
「そうです」
「誰が」
「媛が」
モエは右の手の平を広げ彼女に見せる。
「私?」
自分を指さすシスコ。
「何で?」
「何でと言われましても・・・そういうものなので」
「ものって・・・そんなのでいいの?」
「いいんです!」
モエは自信を持って言い放った。
「そんな・・・」
「媛」
「だから、媛って何?」
「夏王朝の媛」
「私が?」
「そうです」
「何で?」
堂々巡りのやりとりが繰りひろげられた。