第一章、➃
「さあてと」
ユンは男の首を右手で掴むと、少しずつ締めあげていく。
「一体、アンタらは何者なんだ」
「・・・・・・」
男は苦痛に耐え頑なに黙っている。
口を割るつもりはないようだ。
「ふーん、そう、ま、想像はつくけど」
ユンは泡を吹いて気絶した男から手を離す。
屋敷の二階で爆音が響いた。
ガラスの割れた音や屋敷が崩れる音が轟く。
まわりが衝撃でぐらぐらと揺れる。
「なっ」
シスコは咄嗟にモエを抱き寄せ彼女の身を護る。
「敵はまだいるってことね」
ユンはぺろりと下唇を舐めた。
「シスコ様、心当たりは?」
身に覚えのないことに首を振るシスコ。
「あなたのお父上への恨みか・・・それとも・・・いずれにしてもおもしろい」
ユンは光剣を右手に出すと単独で駆けだした。
「ユン師!」
シスコの声は彼女には届かない。
「・・・」
モエが襲われ、屋敷が爆破される。
いきなりの派手な非日常にシスコはただ呆然となる。
「シスコ様」
意を決し真剣な表情でモエが言う。
「何?」
「私、心当たりがあります」
そう言うと、モエはシスコの手を取った。
「行きましょう」
「へっ?」
驚くシスコを引っ張りモエは走り出した。




