第三章、➆
Bブロック準決勝。
ユンは順調に勝ち上がり、ここまで辿り着いた。
対する相手は、
「久しぶりだな、夏の者よ」
「お前は!」
現れたのは、玉璽を巡る争いにて、彼女達を苦しめた弁髪の男だった。
「死んでなかったのか」
ユンは一瞥する。
「夏の秘宝、玉璽を手にするまでは死ねぬわ」
「・・・まぁ、いいわ。戦う前にあなたの名前を聞きましょうか」
「ふふ、俺の名・・・闇の・・・闇人でも言っておこうか」
「闇人・・・お似合いね」
「はじめ!」
審判の開始の手が上がった。
「光破剣」
ユンは光の剣を作り出すと、闇人へ駆ける。
「ふふふ」
闇人は薄気味悪く笑うと、その両手に闇の渦を作りはじめた。
ユンは跳んだ。
「闇の力、侮るではないぞ」
闇人は両手の中に捻りだした闇の渦を離した。
すると、巨大な闇の渦がユンに襲いかかる。
「暗黒渦」
「はっ」
ユンは光の剣で裂いた。
真っ二つに両断された闇の渦は、消える事はなく再び渦を形成し、ユンの身体は闇の渦に包まれる。
「どうした。夏の者よ」
ユンは闇の中で、もがき苦しむ。
「終わりか」
闇人は冷徹に言い放つ。
ユンは歯をくいしばり、気合を入れる。
「光破破!」
叫びと同時に、全身を光が包み、闇を瞬時に払いのけた。




