第三章、⑤
シスコは準決勝へとコマを進めた。
対戦相手はユンに強制参加させられたモエ。
「モエっ!」
「私は媛と戦うことは出来ません」
「・・・そんな戦う前から」
「・・・とてもシラフでは・・・」
「?」
「なので、お酒の力を借りています」
モエの腰にはひょうたんの酒入れが括りつけられていた。
「名付けて光破酔拳」
「酔拳?」
「はじめ!」
審判の合図と共に両者はぶつかり合う。
モエは千鳥足ながらも、悉くシスコの攻撃をかわす。
「媛~当たりませんね~」
お酒の力で饒舌なモエ。
「では~今度はこちらから行きますよ~」
モエの千鳥足から繰り出される不規則な攻撃が開始された。
突きの連打から、背後から足が伸び首を刈る強烈な蹴り。
シスコはその攻撃をかろうじて避けるも明らかに劣勢だった。
モエの一撃がシスコの右頬をかすめる。
「すいません媛!」
思わず我に返るモエ。
「モエ、手加減はなしよ」
「・・・そうでした」
2人は再び対峙する。
猛然と動いたのはモエ、シスコへと迫る。
「光破璧」
シスコは光の壁をつくった。
「光の技を使いはじめましたね」
モエは突進するスピードを緩めない、身体を思いっきり捻ると跳躍する。
「砕けっ!光破蹴」
右足に光が宿り、光破璧を粉々に打ち砕いた。
モエは地に着くと、シスコの懐に入り込み、鳩尾に肘を打ち込んだ。
「うっ!」
すっ飛ぶシスコ、かろうじて踏ん張り場外免れるもダメージは大きい。
さらにモエの攻撃は続く。
シスコは、
「光破弾」
彼女は光の弾を連弾で放ちながら体勢を整える。
モエはすべての光の弾を回避すると、ニヤリと笑った。
「媛の力はそんなものですか」
「・・・・・・」
シスコもニヤリと笑い返す。
「?」
訝しがるモエ。
観客席の大きな鏡に、モエが避けた光破弾があたる。
鏡の光屈折作用により光破弾は角度をかえて、モエへ向かう。




