第三章、②
審査が終わり、16人の選ばれし者が集った。
決勝トーナメントが開始される。
シスコ、モエ、トラマツ、ユンも決勝へ名乗りをあげている。
直径10数mの円形闘技場、舞台には太極マークが描かれている。
武術会ルールは、勝負続行不可、気絶などによる審判の制止。自ら負けを認める。闘技場から出る(場外)。その他は何でもアリ、つまりは武器(極端ではないもの。審判の判断に委ねられる)の使用も可となる。
一回戦、シスコはトラマツと対峙していた。
「なんで・・・君が・・・」
シスコは驚きが隠せない。
「・・・お姉ちゃんこそ」
それはトラマツも同じだ。
あまりにも想定外の再会だったから。
「私は君とは戦いたくないな」
「ボクもだよ・・・でも」
「ね」
「勝負は勝負」
トラマツは身構えた。
「・・・分かった」
シスコも静かに構える。
2人はじりっじりっと間合いをとる。
トラマツは歯を食いしばった。
「そっちが来ないんだったら、ボクから行くよ」
トラマツは先手を打つべく駆けだす。
「早い!」
シスコの視界からトラマツが消えた。
「上っ!」
上空からの一撃を彼女はバック転で避ける。
トラマツの攻撃は不発に終わったが、間髪入れずシスコに迫る。
彼の俊敏な動きによる突きの連打。
シスコは身を捻りながらかろうじてかわす。
だが、トラマツの圧に押されシスコは防戦一方となる。
やがて、シスコは闘技場の縁まで追い込まれてしまった。
トラマツは勝利を確信する。
「ごめん。お姉ちゃん」
彼は拳を固め渾身の一撃を放つ。
「光破光」
シスコは両手を重ねると、眩い光をくりだす。
瞬間、視界が光に包まれる。
彼女はジャンプ一番、トラマツの一撃をかわし、頭上を飛び越え回り込んだ。
「ごめんね」
シスコは右手でちょんと、トラマツの背を押した。
「えっ?」
場外へ崩れるように倒れていく。
「勝者、シスコ!」
審判の勝ち名乗りがあがる。
会場からはどよめきの声、シスコは一礼をすると場外へと降り、転んでいるトラマツに手を差し伸べた。
「強いね。お姉ちゃん」
トラマツは差し出された彼女の手を掴んだ。




