第二章、⑫
やがて、燃えさかる豪邸からすべての人が避難した後、ユンはゆっくり広間へ出た。
炎で崩れ落ちる屋敷。紅に染まる世界。
「そろそろ出てきたら」
ユンは静かに言い放った。
「さすがだな」
ユンは物音もたてずに現れた。
「ヤン・・・」
静かに間合いをとりあう。
「もう、おやめなさい」
ユンは言う。
「何を・・・だ」
ヤンの瞳には怒気をはらんでいる。
「闇に未来はない」
「ふざけるな」
ヤンは闇の弾を繰り出し、連射する。
ユンは光破璧を作り出し、ヤンの攻撃を防ぐ
「この裏切り者!」
ヤンの連弾が激しさを増す。
しかし光の壁がそのことごとくを打ち消す。
「闇呼法」
ヤンは言霊を闇の力へ変えて、彼女を狙う。
愛憎する光と闇がぶつかりあう。
相殺する力と力。
光破剣を抜くユン。
どす黒い闇の剣を構えるヤン。
にじりにじりつめあう。
勝負は刹那。
ユンはヤンの一撃を光で硬化させた腕で止めると、左手で光破弾を放った。
ヤンのみぞおちに無数の光破弾がヒットする。
ヤンは止められた一撃を力で強引にねじ伏せに行く。
ユンはそれを受け流すと、光破剣でヤンに致命の一撃を与える。
「ぐっ」
ヤンは仰向けに倒れた。
彼の右手で虚空を震えさまよい落ちた。
ユンの目には、うっすらと光るものがみえた。




