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第二章、⑪
「な!火事!」
「皆、逃げて!」
ユンは叫んだ。
それを聞いて逃げまどう人々。
警部は我先にと逃げ出した。
「さあ、行きなさい!」
ユンはシスコを促す。
シスコは右手でモエの手を繋ぎ、左手でトラマツの手を取ると走り出す。
「ユン師あなたは?」
彼女は後ろを振り返ると叫ぶ。
「私は大丈夫」
ユンは大きく頷いた。
「逃げなくっちゃ!」
モエが姉に必死に叫ぶ。
「決着を・・・つけないとね」
ユンがそう自分に呟くと、周りが炎に包まれた。
「必ず、無事で!」
シスコの言葉に、ユンは柏手を叩いて一礼をした。
「ユン~!」
モエの声が響く。
最後にシスコ達が控室を出ると、ユンを除きすべての人が退出した。
一瞬の静寂それから、バチバチと火の燃える音、部屋が砕け落ちる音が聞える。
ユンは静かにその時を待つ。
「・・・!」
空間を裂く音ともに、ユンの顔目掛け何かが迫る。
寸前、顔をそむけ回避する。
「光破剣」
光の剣でロープを一閃する。
犯行に用いたであろう鉄製の祭器がごろりと落ち転がる。
「・・・ヤン」
ユンは呟いた。




