第二章、➆
一同は現場である控室へと移動した。
遺体はすでに片付けられてあったが、部屋はそのままであった。
女性が倒れていた場所には、生々しい血痕がそのままにある。
「うっ」
その生ぬるい部屋とたちこめる匂いでシスコはむせてしまった。
彼女はハンカチで口元を覆う。
それを見た警部は失笑する。
「おや?どうされましたかな」
(簡単には言ってみたものの。リアルな探偵って難しいんだ)
勢いで行動した自分に少し後悔はするが、すでに賽は投げられている。
「大丈夫ですわ」
シスコは姿勢を正し虚勢をはる。
ハンカチで鼻元を抑え、彼女は捜査を開始する。
まずは手がかりとなるものから、注意深く床面を探すが、凶器になりそうな犯行道具は見つからなかった。
血痕でダイニングメッセージなどもない。
だが、遺体のあった部屋の中心部から部屋の奥まで血痕が飛び散っているのが、彼女は気になった。
他にはと、部屋中をくまなく探し回るが、手掛かりは見つからず、刻一刻と時間は過ぎていく。
「なにか分かりましたか」
警部が催促にも似た言葉をかける。
「ええ、うっすらと」
「本当に?」
言葉とは裏腹にシスコ手詰まり感を覚えていた。
(うーん)
彼女は思わず天を仰いだ。
すると天井の一部に何かの金具があった。
「・・・・・・」
気にならないようで気になる。
シスコは思考をフル回転させる。
ついに閃いた。
犯行の方法は分った。
後は真犯人・・・だが、それは分らない。
が、彼女は見切り発車を試みた。




